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79、見つけ出す弥勒。

遅くなりました!

「改めて紹介するよ。兄の如月ヨミ、元シャイニーズ事務所所属で、僕と一緒に『アルファ』としてアイドルをやっていた人だよ」


「うむ。弟がいつも世話になってる」


「で、こちらが僕の恋人の大崎ミハチさん」


「大崎……ミハチです……」


「まぁ、綺麗な方!」

「うむ」


未だショックの抜け切れないミハチが何とか挨拶すると、嬉しそうなシトミの横で大きな体をゆっくり前に倒して礼を取るヨミ。椅子がミシミシ音を立てていて、喫茶店の店員が少し心配そうに見ている。


ちょっとした騒ぎになっていた店内で、気を使った店長が彼らを追い出すこともなく、奥の円卓に案内してくれた。

普段はそこで少人数のクラフトワークやフラワーアート教室などが行われる場所らしい。


「叔父さん、お父さんが『アルファ』だったって、本当?」


フミが恐る恐る問うと、ヨイチは驚く。


「兄さんの所に、俺たちの写真がたくさんあったじゃないか!」


「だって、物心ついた時から今のお父さんだったんだよ? 別人かと思ってた」


何とも言えない空気が流れる。娘にも知られて(信じられて)いなかったという事実。その中でシジュが首をかしげる。


「体を壊して『アルファ』は解散になったって話だろ? 見た所、元気そうに見えっけど」


「兄さんは体を壊したのは本当だよ。それで鍛えようって事になって……」


「ああ、確かにヨイチのオッサンは筋肉付きやすいよな。お兄さんもかぁ」


「ムキムキのバキバキになっちゃって、シャイニーズの社長はショックのあまり寝込むし。兄さんはその頃シトミさんと結婚したいっていうのもあって……まぁそんな感じ。追いかけてくる記者も誰も兄さんだって気づかなかったよ……はは……」


さらに何とも言えない空気が流れる。遠い目をしているヨイチの肩に、苦労したんだなとシジュがポンと手を置いた。


「あの頃『アルファ』のYOICHIとYOMIといえば、中性的な美少年二人。しかも兄弟でアイドルっていう話題性もあったから、こんな二人が学校にいたらって夢見ていたものよ。私の年代は皆ファンだったと思うわ」


若干回復してきたミハチが、あの頃について語るも「信じられない…」とフミは未だに疑っている。


「まぁ、とにかく今回の兄さん達の上京は、僕のアイドル活動の確認と、僕の恋人ミハチさんを紹介してほしいという、二つの目的があったということで良いかな?」


「いや、まだだ」


ヨミは自分の娘の隣にいる青年に目を向ける。

その眼光は、心臓の弱い方は見ないようにと、注意書されるであろう鋭いものだ。

フミが無意識にミロクの服の裾を掴むのを見て、尚更眼光は鋭くなる。


「兄さん、落ち着いて(まだ付き合ってないし、え? 付き合ってないよね?)」

「何かあった訳じゃねーし(スキンシップ多いけど、あ、それも問題か?)」


344メンバーがフォローするも、何だか雑念が多く上手くいかない。

ヨミの熊をも射殺す眼光を受け、その鋭い目をミロクはただじっと見ていた。


ただただ見ていた。


その目はひどく澄んでいて、見られているヨミはだんだん落ち着かなくなってくる。

なぜこの男は目を逸らさない? なぜこんなにも澄んだ目をしている?


なぜか大量の汗をかき始めたヨミに向かって、ミロクは嬉しそうに微笑んだ。その美しさに思わずヨミは息を飲む。


「やっと見つけました」


「……な、なんだ?」


「ヨミさんとフミちゃんとの共通点ですよ。色素の薄い髪と目の色と、鼻の形がそっくりです」


「!?」


衝撃のあまり思わず立ち上がったヨミ。戦く筋肉。

そのまま彼は膝から崩れ落ちた。


「フミが……生まれてから今まで、家族以外誰も気づかなかった、親子の共通点を見つけ出す……だと!?」


ショックを受けるヨミを見て、ミロクは首を傾げる。


「ちょっと見れば分かりますよね?」


「分かんねーよ」


呆れた顔でシジュは即答した。


ズシャァァァ回。


お読みいただき、ありがとうございます!

話が進まず申し訳ないです…ヨミさんが書きたくて書きたくて…

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