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Barを出て数分歩いたところに、目的地である町道場はあった。
「町道場にしては、大きい方ですね」
ザンサスが、道場を囲む石塀を見ながら言った。夜のため、外灯の少ない道場周辺は暗く、人気がなく、とても静かだった。
後ろで直立していたハナは、道場の隣に建っている家に目を向けた。
すると、家の玄関の明かりがつき、中から人が出てきた。
「こんばんは」
ロードとザンサスは、その声に振り返り、家の玄関から出てきた女性を見た。
「あなた方ですね。お待ちしていました」
女性は30代後半頃だろうか。背筋が伸び、姿勢の良い凛とした佇まいである。
「……私達が到着したことに気付いて、出迎えにきてくれたのですか」
ザンサスが女性に向かって尋ねた。
「そろそろかなと思って、出てきたところですよ」女性は優しげな目元に皺を作った。「どうぞ、寒いでしょう。中に入ってください」
女性はそう言ってから、ロードとザンサスの後ろにいたハナに気が付いた。
「あら……女の子。男性お2人だと聞いていたのですが」
ハナは女性の言葉にはっとした。慌てて、ロード達の前に出てきた。
「す、すみません! 私もこの人達と同じく、旅をしている者なのですが…」
「3人、泊めてもらえると助かります」
ロードが単刀直入に言った。ハナは申し訳なさそうにしていたが、女性は微笑み、頷いた。
「部屋は余っているので、問題ありませんよ」
ハナは深く頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「いえいえ。こちらこそ、お手伝いをしてくれると伺っていますので」
そう言うと、女性は再び、3人に玄関から中へ入るように促した。
ロード、ザンサス、ハナと続き、3人は家の中へ入った。




