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DARIA-鬼の数奇-  作者: 葉名
出逢うべくして出逢う者たち
5/6

……… 4 ………

 ハナは口ごもった。すぐに何か言い返そうとしたが、言葉を飲み込んだ。そして、ロードのことを睨みつけて、改めて口を開いた。

「……あなた、むかつくわ」

「同じ意見だな」

ロードはハナの方を見向きもせずに言った。

 ハナは椅子から立ち上がった。

「こんなにむかつく人間と出逢ったのは、2度目よ」

「甘やかされて育ったんだな」

ハナは握った拳を震わせていた。そして、ぽつりと呟いた。

「……エクス……あいつも、むかつく奴だったわ」

ロードとザンサスは、はっとしてハナの顔を見た。ロードが言った。

「お前、エクスと会ったことがあるのか?」


 そのとき、マスターが戻ってきた。

「こらこら、何をもめているんだ?」

マスターは心配そうに、ハナとロードの顔を見た。

「大したことじゃありません」

黙り込んだロードとハナの代わりに、ザンサスがそう言った。

「そうか。ならいいが……」

マスターは3人の顔を訝しげに見ながら、首を捻った。

「……それより、宿の交渉できたぞ」

ハナは暗い表情で、すとんと椅子に腰を落とした。ロードはじっとハナのことを見ている。

 マスターは白紙にペンを走らせながら話を続けた。地図を書いている。

「場所もすぐこの近くだ。若い夫婦でやっている小さな町道場なんだが、先月師範代である旦那が病気で倒れて、嫁が1人で大勢の門生の面倒を見ているらしい。そこに、まあ、素人に戦い方を教えろとは言わないが、人手があるだけ助かる、ということだったから。行ってやってくれ」

「ありがとうございます。とても助かった」

ザンサスはそう言って、マスターが地図を書いた紙を受け取った。

「早速行ってみますか、ロードさん」

「……ああ」

 ロードは財布から紙幣を数枚取り出し、マスターへ渡した。

「釣銭を持ってくる。ちょっと待っていてくれ」

「いや、釣りはいい。宿を紹介してもらった礼だ。あと……」

ロードはハナを指差した。

「こいつの分も、その中から支払っといてくれ」

ロードの言葉に、ハナは目を丸くして顔を上げた。コートを来て外に出る支度をしているロードとザンサスの姿が目に入った。

「今日は泊まるアテあるのか?」

ロードはコートを着ながら言った。

「……え、あ、いや……」

「じゃあお前も来い」

「ど……どうして!?」

ハナは面食らったような表情となり、声をあげた。

「あ、あなたがさっき言ったこと、間違ってないわ……あの、確かに、不用心だった……し……。だから、別にそのことだったら—」

「勘違いするな。ただの取引だ」

「……え?」

「その代わり、俺達が知っている情報を分けてやるって言ってるんだ。……不満なのか?」

ロードとザンサスが店を出て行った。

 立ち尽くしていたハナは、意を決し、すぐにその後を追った。


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