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DARIA-鬼の数奇-  作者: 葉名
出逢うべくして出逢う者たち
4/6

……… 3 ………

 ザンサスの目の前にパスタが置かれた。ザンサスはパスタにフォークを入れながら言った。

「ロードさん、これからどうしますか」

「そうだな……」

ロードはカクテルに口を付けながら、ぼんやりとしている。

「とりあえず、今日の寝床捜してみるか……」

ザンサスは「わかりました」と頷いて、マスターを呼んだ。

 マスターは、未だに女の相手をしていたが、ロード達の方へ顔を向けた。

「相談があります」

「なんだい」

「出来ることであれば何でもやります。その代わり、タダで寝床貸してくれそうな人がいないだろうか。いたら紹介してほしいのですが」

「寝床? ……ああ、あんたたち旅の人間か?」

「そうです。でもあまり金がなくて、昨日なんて野宿だった。力仕事でも子どもの守りでも何でもします。私とこの方を2人、泊めてくれそうなところを紹介していただきたい」

「何でも?」

マスターはそう言って、ザンサスの背中の刀に目をやった。

「……あんた、刀使えるのかい?」

ザンサスは頷いた。

「もちろん。伊達じゃない」

「そうか……なら一つ交渉できるかもしれない」

マスターは電話機の元へ歩き出し、子機を持ち上げた。

 その様子を、ロードとザンサス、そしてオレンジ髪の女は、黙って見ていた。

 ふと、女が初めて、ロード達の方へ顔を向けた。

「あなた達も、旅をしているの?」

女がそう言うと、眉間に皺を作ったロードが、むっとして答えた。

「そうだと先ほど言ったが」

女は、ふーん、と言いながら、2人の顔を交互に見た。

「……なんだよ」

「私も同じよ。まだ隣村から出てきたばかりだけど」

ロードとザンサスは、女の話に特に興味もなさそうにしていた。女はそれに気付いていないのか、そのまま話はじめた。

「私の名前はハナ。ある男を捜しているの」

「……エクスか」

ロードがそう言うと、ハナは目を丸くした。

「え、どうして分かったの!? あ、まさか、あなたたちも……」

「話の内容で分かる。今はそういう世界だ」

「……ま、まあ、そうね……」

ハナは興奮した様子を隠すように、こほん、と一度咳払いをした。

「じゃあ、あなた達、何かエクスについて知っ」

「知っていても教えるか。教える義理がねえ」

ハナの言葉を遮り、ロードは強い口調で切り捨てた。

 呆然となったハナを見兼ね、ロードの隣でパスタを食べ終わったザンサスが、ロードの代わりに口を開いた。

「この平和な世界で、唯一の兇悪と言っていい存在であるエクス。顔も、声も、素性も一切不明の謎の人間。数年前に突如この世界に現れて、どんな理由からかこの平和な世界の敵となり、そしてすぐ突然また姿を消した。エクスが何をしたかったのか、未だに不明」

ハナはザンサスの方へ目を向けた。ザンサスは手のひらを合わせて、「ごちそうさま」と小さく呟いた。

  ハナがザンサスの後の言葉を続けた。

「エクスの名前を知らない人間はいない……でも、情報は一切ない。むしろ、エクスなんて本当は存在していなかったんじゃないか、なんて噂だってある」

「だからこそ、エクスの存在が本当にあるのか、興味本位だけで捜そうとする輩は多い。そんな奴らは、エクスのことを大抵甘く見ている。エクスがどんな人間かも、どんな強さを持っているかも知らずに近づこうとしている。それがどんなに無謀で、命知らずのことか、分かっていない」

ザンサスはそう言って、呆れているように首を横に振った。

「……もしかしてあなた達は、何か知っているというの?」

ザンサスがその質問に答えず視線を落とすと、ロードがまた冷たい表情で口を開いた。

「だから、教えないって言っているだろ」

ロードの口調はとげとげしく、ハナを明らかに拒絶した態度だった。

「特にお前みたいな、誰が何を聞いているか分からない場所で、堂々とエクスのことを探っているような奴にはな」



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