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地味子のフリしてる私をいじめてパシリにする一軍男女。メガネ外して生配信したら、フォロワー500万人インフルエンサーだと知り社会的に詰んで死にました

掲載日:2026/08/03

 「ねー地味子。喉乾いたから売店でジュース買ってきて。」


 朝のホームルーム前。クラスのカースト頂点に君臨している(つもり)の姫花が私の机に使い古しのプチプラコスメを放り投げながら言った。


隣では、サッカー部で一軍男子のリーダー気取りな翔太が「おい地味子、姫花様に頼まれてんだから早く行けよ」とへらへら笑っている。


ぼさぼさの黒髪お下げに、顔の半分を覆うようなダサい大きな眼鏡。サイズの合わないダサい制服の着こなし。

どこからどう見てもスクールカースト最底辺の『地味子』――それが、この高校での私、澪の立ち位置だ。


「で、でも……。」


「は?ウィンスタグラムフォロワー5000人の私に最底辺のお前が何逆らってるの?早く買いにいきなよ?」


スマホを目の前に突きつけてトントンと画面を長いネイルチップを貼った爪で叩いた。

画面には❤︎ひめか❤︎と書かれた名前と、その下にフォロワー5000人の文字。

ふと投稿している内容に目がいった。


〈MIO様プロデュースのリップ発売するんだって〜!即買い案件すぎる(>_<)〉


あ、これ、私(が作った)リップ。そう思った瞬間デスクがドンと叩かれ我に返った。


「そうだぞ地味子! 姫花様に頼まれてんだからさっさと動けよな! 頼まれただけで光栄に思えってのw」


隣の翔太が待ってましたとばかりに声を張り、取り巻きの女子たちもドッと下品な笑い声を上げる。


――うん、完璧。

姫花ちゃんの自慢の『フォロワー5000人』という小さな数字。そして翔太くんたちの痛々しいイキり発言。バッチリ私の頭の中の録音用メモに保存完了。


(その姫花ちゃんがドヤ顔で見せてるMIOプロデュースの限定リップ……開発段階で『発色悪いからボツ』って私が弾いたけど知らぬ間に出されてたやつなんだけどな……。あとフォロワー数5000人って言ってるけど、私500万人こないだ行ったから私のアカウントの五千分の一……。)


「……わ、わかりました。買ってきます」


私はわざとらしく肩をすくめ、小さく体を縮こまらせながら怯えたフリをして席を立った。


売店で指定された限定ジュースを買い、教室に戻って姫花に手渡す。

「遅いんだけど」と感謝の言葉ひとつなくジュースを引ったくった姫花は、手鏡で自分の顔を覗き込みながら、露骨に嫌そうな顔をして眉をひそめた。


「ちょっと、前通らないでよ〜。ブスが伝染るんだけどw いくらメイクしたところで、アンタじゃ『豚に真珠』だしね!」


いや、私日本で一番可愛いとか言われてるインフルエンサーですけど。


「ギャハハハ! 豚に真珠ww 姫花、うまいこと言うな〜! たしかに地味子がメイクしたって無駄無駄!」


翔太をはじめとする一軍男子たちが、腹を抱えて爆笑する。教室にいる他のクラスメイトたちは、巻き込まれたくないのか関わりたくないのか、見て見ぬふりを決め込んでいた。


「あ、そうだ地味子。来週の文化祭だけどさ、ウチらのクラスのファッションショー企画の衣装補修とゴミ捨て、ぜーんぶアンタがやっておいてね? あ、当然裏方だからステージの前に出ようとか思うなよ? 雰囲気がぶち壊しになるからさ」


「そうそう。あとウチら一軍が使う特設のVIP控えスペースの掃除も完璧にしとけよ。ホコリっぽかったらマジ許さねえから」


憧れの存在によくそんな態度取れるなぁ。


「……はい、わかりました」


「マジで地味子は裏方がお似合いだなー!」と追い打ちをかけてくる翔太たちの嘲笑を背に受けながら、私は押し付けられた大量の雑用プリントを大人しく受け取った。


……VIP控えスペース、ね。

申し訳ないけれど姫花ちゃん、翔太くん。

そこ、学校側と生徒会が「あのMIO様が来校してくれるなら」って、私専用に用意した控え室なんだけどな。まあ、綺麗に掃除してくれるなら助かるけれど。


自分の席に戻り、胸のポケットに入ったスマホをこっそり操作する。画面には個人事務所のマネージャーからのメッセージ。


『MIO様、文化祭当日のゲリラ生配信機材の手配と、VIP控え室の設置、予定通り完了いたしました』


私を「豚に真珠」「裏方がお似合い」と嘲笑う一軍のみなさん。

君たちが主役気取りで威張っているその場所、最初から全部――『私』のために用意されたステージなんです。


さて、文化祭当日が今からとっても楽しみだなあ。



そして迎えた、文化祭当日。


出番一時間前。体育館裏に設営された特設のVIP控えスペース。

パイプ椅子に座った私は、姿見の脇に小さくスマホをセットし、手慣れた手つきでゲリラ生配信のアプリを立ち上げた。


「みなさん、今日は緊急配信なんですが……ちょっと正体隠して地味子のフリしてる私をいじめてくるやつらを、ちょっと見返したいと思いまーす!」


私がそう小声で画面に向かって微笑むと、フォロワー500万人を超える私の公式アカウントには、通知を見た視聴者が怒涛の勢いで流れ込んできた。

開始わずか数十秒で、同時接続者数は一瞬で数万人を突破。


『え!? MIO様いま学校!?』

『地味子ってどういうこと!?』

『MIO様をいじめてるバカどこ!? 許さん!!』

『そいつら猿かな?』


コメント欄が凄まじいスピードで大荒れしていく中――


バンッ!


控え室の扉が、乱暴に叩き開けられた。


「ちょっと、お前さ、ここ姫花の席なんだけど? 何勝手に座ってんの?」

「おい地味子、聞こえてんのかよ。姫花様に席譲れよ。身の程知らずすぎ。てかお前がメイクしたって豚に真珠だろw」


バッチリ(のつもり)のメイクで決めた姫花と、その後ろでイキり散らす翔太たち一軍グループが、土足で部屋に踏み込んでくる。


私はスマホの画面に向かって、静かに、そして最高に楽しそうな笑顔を向けた。


「お、来たきた! あいつらです」


『例のいじめっ子ね』

『身の程知らずはお前な』

『豚に真珠w。美女に真珠な。言葉選びミスってますよー。』

『意外といじめっ子たちブサイク……。』


「は!? なに独り言言ってんのキモっ! 早く退きなさいよ!」と金切り声を上げる姫花を、私は完全に空気扱いする。そのままスマホのカメラに向かって、プロのトーンでマイペースに語りかけた。


「今日は校内のファッションショーのランウェイに出るので、ステージ映えする透明感メイクをしていきますね〜! まずはスキンケアでしっかり保湿した肌に、ピンクパールの入ったトーンアップ下地を塗っていきまーす。内側から発光するみたいなツヤを仕込むのがポイントです❀(´◡`)❀」


「無視してんじゃないわよ! あんたなんか――」


姫花がしびれを切らして腕を掴もうとした瞬間。

私はすっと、顔の半分を覆っていたダサい大きな眼鏡を外した。


ふわりと前髪が持ち上がり、隠されていた素顔があらわになる。

途端に、翔太たちの動きがピタリと止まった。


「……え? こいつ……まつ毛長っ……っていうか、めちゃくちゃ顔整ってね……?」


動揺する一軍を視界にすら入れず、私は手慣れた手つきで解説を続ける。


「次はコンシーラーですね。厚塗り感が出ないように、小鼻の赤みと目元の影にだけ点置きして、スポンジで優しく叩き込みます。……あ、ちなみに後ろで大声出してるのが、毎日私にゴミ捨て押し付けてくるクラスの一軍(笑)のみなさんでーす」


「なっ……! あんた何勝手に喋って――」


姫花が私の手元を見て言葉を失った。私が使っているのは、MIOプロデュースの未発表新作アイシャドウパレット。


「アイシャドウは、締め色を使わずにコーラルベージュのグラデーションで抜け感を出します。で、ここが一番大事! 涙袋の真ん中にだけゴールドパールをのせて、黒目を立体的に見せまーす。仕上げは粘膜カラーのローズリップ。輪郭を少しオーバー気味にぼかして……はい、完成です!」


ほんの数分。

ダサ眼鏡の地味子だった私は、完璧な計算とプロのテクニックによって、画面越しの誰もが憧れるトップインフルエンサー『MIO』へと完全に変貌を遂げていた。


「はい! 今同接18万人くらいかな? みんな、応援ありがと〜! そして……私をいじめてた姫花さんと翔太くんだよ〜」


私がスマホのインカメラをくるりと回転させ、絶句して固まっている一軍たちの顔を画面にドアップで映し出す。


画面上の『MIO公式アカウント』の文字と、怒涛の勢いで流れる『いじめっ子顔出し乙ww』『プロのメイク解説の裏でイキり散らかしてて草』『MIO様を豚呼びとか正気?』という炎上コメントを見て、姫花と翔太は血の気が引き顔面蒼白になった。


「は……??? え……??? MIO……様……!?」


がたがたと震え出す一軍たち。

今まで威張り散らしていた翔太が、赤面しながらへらへらと媚びを売り始める。


「あ、いや! 澪ちゃん! 俺、実は前からお前のことめちゃくちゃ可愛いと思ってて……! 姫花に合わされていただけなんだよ!」

「そうそう! 私たち冗談で言ってただけで、本当は澪ちゃんのこと大好きで……! 私たち、友達だよね……!?」


取り巻きの女子たちまで必死になって頷き、一斉に手のひらを返して媚びを売ってくる。

カメラの前で醜く言い訳を並べる彼らを、私は首をちょこんと傾げて、冷ややかな瞳で見つめた。これ以上怖い笑顔とはあるというのか、という笑顔で。


「え? 何言ってるの? あなたたちは立派ないじめっ子だよ?」


私のバッサリとした一言が控え室に響き渡る。


「毎日パシリにさせて、ゴミ捨て押し付けて、暴言吐いて楽しんでたよね? 18万人全員がその現場見てるから、今さらお友達ぶられても困るんだけど」


『ナイスMIO様!』

『醜すぎるだろ(笑)』

『こいつら女は皇姫花、男は三野翔太と特定〜』

『社会的にこいつら死んでるw。乙』

『絶好の切り抜き案件ですな』


次々と現れていくコメントを見てなのか、憧れの存在直々に縁を切られたショックか、姫花たちの顔はみるみる青ざめていった。


「「ヒッ……!!」」


自分の都合の良いように保身に走り、惨めに顔を歪める一軍男女。

彼らのその醜い手のひら返しの瞬間も、容赦なく全世界へ生配信された。


「じゃあみんな、ランウェイ行ってくるね〜! バイバイ❀(´◡`)❀」


ブチッと配信を切る。

ネット上で完全に社会的死を迎え、控え室で膝から崩れ落ちる一軍男女を完全にスルーして、私は優雅にステージ袖へと向かった。


「続きまして、我がクラスの誇る一軍女子グループによるファッションショーです!」


体育館に司会の生徒の声が響き渡る。


控え室での大騒ぎとネットでの大炎上を必死でうやむやにしようと、姫花たちは青ざめた顔に無理やり笑顔を貼り付けてステージへと上がった。


自称・クラスの主役。

自分なりに気合いを入れて頑張った「JK渾身のバッチリメイク」で、姫花は「まあ、ステージに立てば私が主役だし!」とドヤ顔でランウェイを歩き始める。普段なら歓声が上がるはずの場面だ。


しかし、観客席の生徒たちの反応はパッとしない。


「まあ、普通に気合入ってるね」

「いつもの姫花って感じ」


そんなパラパラとした拍手の中、続いてステージ袖から、スマホで自撮り生配信(※ネットのファン向け)をしながら私――『MIO』が一歩踏み出した。


その瞬間。

体育館全体の空気が、一瞬で凍りついた。


ざわ……っ!


静まり返った客席から、地鳴りのような歓声と悲鳴に近いざわめきが巻き起こる。


「え……?? ちょっと待って、あの人誰!?」

「うそ、あれMIO様じゃない!? 本物!?」

「え、なんで!? なんでうちの学校にMIO様がいんの!?」

「やばい、めちゃくちゃ顔ちっちゃい……! オーラエグい!!」


カメラマン役の生徒たちが一斉に私へ一眼レフやスマホのレンズを向け、狂ったようにフラッシュの嵐が巻き起こる。


私は自撮り配信のカメラに小さく手を振りながら、ランウェイの中央でポーズを決めている姫花の隣へとゆったり歩み寄り、並び立った。


その瞬間――何も知らない全校生徒たちの「素の感想」が、容赦なく姫花の耳に飛び込んできた。


「おい見ろよ……MIO様の隣の子、誰?」

「あ、同じクラスの姫花じゃない? なんか……MIO様の隣に立つと、メイクケバ……」

「わかる、頑張って塗りましたって感じで浮いてるよね……。MIO様のメイクは素肌感あるのに超綺麗なのに」

「公開処刑すぎるだろ……俺ならあの隣に並ぶの耐えられないわw」


プロの計算し尽くされた美貌と、自分なりに頑張っただけの厚塗りメイク。


「ケバい一般人」「MIO様の引き立て役」として全校生徒から哀れみの目で見られていることに気づいた姫花は、顔を真っ赤にし、羞恥心と絶望でその場に膝から崩れ落ちた。


さらにランウェイの袖では、翔太が一軍男子のグループから「お前、MIO様に媚び売って惨めにバッサリ振られたんだって? 配信で見たわw」「マジでダサいな」とハブられ、完全に青ざめていた。


私は崩れ落ちた姫花を視界にすら入れず、ランウェイの先端で自撮りカメラに向かって最高の笑顔を作った。


「みんなー! ランウェイ無事に歩き終わりました〜! 応援ありがとね〜❀(´◡`)❀」


『現地の人たちの「ケバい」って感想聞こえて草ww』

『プロの神メイクと勘違いケバメイクの対比が凄まじい』

『MIO様、最後まで笑顔で公開処刑してて最高』


配信画面のコメント欄が大爆発する中、私は大歓声を背に受けながら、優雅にステージを後にした。



それからの学校生活は、劇的に変わった。


ネット上で顔と悪行が全世界に拡散された姫花と翔太は、学校ではあのMIO様に……!?と居場所がなくなり、ネット上でも切り抜きで『MIO様へいじめをした男女高校生、生配信で死ぬww』と拡散され、身元も特定され完全に社会的死を迎え、居場所を失って登校拒否になったらしい。


一方の私はというと――あの時に全校にバレてしまったためいつもの地味子で行っても仕方ないとインフルエンサースタイルで学校に通っている。


「あっ、MIO様……! おはようございます!」

「あ、あの、教科書運びましょうか……!?」


すれ違うクラスメイトや先輩たちが、恐縮しきった様子で私に挨拶をしてくる。もう、私を雑用係扱いしたり、パシリにしたりする人は誰もいない。


「ううん、大丈夫だよ〜。ありがと〜。」


私はそう優しく微笑むと、周りの生徒たちは「天使……!」「オーラが神……!」と拝むように溜息をついた。


やっぱり、静かでマイペースな高校生活って最高だなあ。


私はお気に入りのスカートを折りながら、今日も平和で快適な学校の廊下を、ご機嫌な足取りで歩いていくのだった。

読んでいただきありがとうございます❀(*´◡`*)❀。よければこちらも読んでみてください✨


『小6が神絵師を目指して描きまくるイラスト記録帳』


https://ncode.syosetu.com/n1205mm/


小学六年生女子が神絵師を目指すために描いた絵を載せていっています!ご覧になりましたら感想欄は閉じているため活動報告のコメントにて感想もらえるととても嬉しいです(*´╰╯`๓)♬

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