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1.自分ではない誰かと


緊張で強張った身体を何とか動かして礼をする。


「り、リファイン伯爵家令嬢の、

      ラ、ラウラ・リファインです…」


「あら、あのリファイン伯爵家の……」


「はっ、はい」


王妃様は微笑んで、後ろの令嬢に目を移した。



私は慌てながら後ろに下がろうとした。

すると並んでいた他の令嬢にぶつかり、

その令嬢を巻き込んで、絡まって倒れてしまった。


「あらあら……」


顔が熱くなる。

恥ずかしい。

失敗した。







「クスクス、先ほどのご覧になった?」


「ええ、もう私でしたら逃げ去っていたところで…」



私は今回の夜会の戦犯として、

誰も彼もに嘲笑された。


王妃様の前で私に巻き込まれた令嬢は、

きっと今後も私を恨むだろう。


「うぅ……」


いや、下手したらこの会場の全員が、

私を見下した目で見ているだろうなぁ。

自分のせいなんだけど……



久しぶりに出てきた社交会。


自分の部屋から出るのも、こうして着飾るのも、

随分と久しぶりだった。


着飾ると言っても、茶色のくすんだ古臭いドレスは、

周りの華やかなご令嬢たちとは浮いている。



…誰もが私を見下している。


(そうだろうね)






それからの記憶は曖昧で、

大して人と話もせず帰ってきてしまった気がする。


すぐに自分のベッドに身を任せた。


このまま消えてしまいたい……………




この身体、環境が…

自分の物じゃなくなってしまえばいいのに。







(ラウラ、しっかりしなよ〜〜〜)



ほら、私ってやっぱりおかしいのね。


(おかしい?そう?)


幻聴まで聞こえてきているわ。はぁ。


(私の声、もしかして聞こえてるのね?)


えぇ、聞こえてるわ。

あなたは…アレよね、クマのミミちゃんかしら?

それとも………


(私は人間の美結さんよ)


……知らない人だったわね


(あなたは私の転生した姿らしい)


…ごめんね、こんな私に転生したなんて…

嫌でしょ?


(いや、とっても嬉しいよ)


…なぜ?


(伯爵令嬢なんて、それも芋令嬢…燃えるじゃない)


……………え?


(成り上がって魅せよう!ってことよ)


わ、私には、そんなこと無理で…


(そんなのやってみなくちゃ分かんないよ?)


そ、そんな……こと…


(…私はただの平社員の美結だけど、

生まれにも人生にもプロ意識を持ってる。

要らない仕事も要らない命も絶対ないのよ)


…プロ、意識…でも、その……


(…じゃあ分かった。見てなさい)


…?えっあ、れ?…ど、どういうこと?)


さぁ、成り上がってざまぁしてみせーる!!






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