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最強ギルド降臨!

王都に、新たな噂が駆け巡っていた。


──《神託の騎士》が帰還した。


王国最強ギルドにして、王直属の超精鋭集団。

その名が示す通り、彼らの剣は“神の意志”すら代行する――とまで称される。


そして、彼らの前に立つ者は皆、同じ言葉を漏らす。


「“格”が違う」と。



王都南門、広場。


その日、《星風の剣》の面々は次なる依頼の報告のため、ギルド協会本部を訪れていた。

戦いの傷も癒え、活気を取り戻しつつある王都の空気に、エムルが軽やかな声をあげる。


「平和だねー、もう教団の残党も見かけないし!」


「油断するな。平和は一瞬、戦は続くものだ」


エルシアが冷静に釘を刺す。

だが、その時だった。


――ザァァァン。


空気が、変わった。


地を這うような気配とともに、広場の中心に影が降り立つ。


銀の鎧に包まれ、黒銀のマントをなびかせた青年。

凛とした佇まいは、まさに“覇王”。

一歩歩くだけで、大地が震えたように感じた。


彼の名は――


「アマテラス=ライドスター……!」


ゼイドが、無意識に名を口にしていた。


《十剣》第一位。

《神託の騎士》ギルドマスター。

王都最強の男。


腰に携える剣は、伝説の剣――《ハルモニクス》。


その一振りは、かつて大地を割り、国境線すら変えたと語られている。


続いて、その背後に現れる二人の影。


一人は、銀髪の長身男。

その肩に担がれているのは、岩のように巨大な剣。重量は優に5トンを超えるという。


「ふぁあ……やっぱり王都の空気は美味いな。……で、星風の剣とやらはどいつだ?」


ラッシュウェル=グランド。

《十剣》第四位。

超怪力の剣士。その剣**《ディーバ》**は、本来動かすだけでも三人がかりでなければ持ち上がらない。


もう一人は、武士のような佇まいの男。

黒髪を後ろで束ね、静かに腰の刀へと手を添えている。


「……主らか。風変わりな連中だな」


コジロウ=コーエン。

《十剣》第五位。

その名刀**《武蔵丸》**を以てして、彼は過去百戦無敗の剣士。刀一閃の妙技は、風のように速く、そして鋭い。



「オシャル、ヤバいよあれ。ランキング上位が三人も揃ってるって、もうこれは……」


「うん。でも……引けないよな」


オシャルが、前に出る。


目の前の三人を見上げながらも、視線を逸らさない。


その瞬間。


「貴様が……オシャル=リヴァンスか?」


アマテラスが、口を開いた。


その声音は低く、だが透き通っていて――王命のような威厳すら帯びていた。


「貴様が、古代魔装剣リグルスを振るった剣士。そして“教団”を潰したという」


「……ああ。俺たち《星風の剣》がやった」


静かな肯定。


その言葉に、ラッシュウェルが大笑いした。


「マジかよ! 教団ぶっ潰したって? なかなかやるじゃねえか!」


「口の利き方に気をつけろ、ラッシュウェル。これは外交だ」


コジロウが冷たく一言挟む。


その刹那――空気が一段と冷たくなった。


アマテラスの足元から、見えない“圧”が広がる。


「我ら《神託の騎士》は、王の命を受けて存在する。貴様らのような無名の草ギルドとは、根本が違う」


その瞳は静かで、だからこそ、恐ろしかった。


「いずれ……“リグルス”は、王国へ返してもらう」


静かに宣告を残し、アマテラスは背を向けた。


ラッシュウェルも、コジロウも、無言で従う。


去っていくその背中から、ただならぬ威圧が流れていた。


そして誰も、追いかけることはできなかった。



しばしの沈黙のあと。


「……なんなんだよ、あいつら……!」


エムルが拳を握りしめる。


「最強だよ……あれが。剣士として、ギルドとして、王都のてっぺんにいる人間だ」


オシャルが呟く。


震えはない。


だが、悔しさが滲んでいた。


その瞬間、彼の心に火がついた。


(絶対に、負けない……!)


そうだ、終わりじゃない。


《星風の剣》の旅は、まだ始まったばかり。


そして今、新たな目標が現れた。


王都最強ギルド――《神託の騎士》。


その高みに手を伸ばすために。


オシャルは、空を見上げた。


吹き抜ける風は、もう恐くなかった。


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