表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/47

眼鏡で世界を斬る男、上位剣士ポッケル登場

王都・白銀騎士団訓練場――。

今日は、王立の剣士ランク登録者を対象とした「模擬戦評価日」。


「なんか、変なやつ来る気がする……」


エムルがふと呟いたそのとき、突如現れた声が場を割った。


「やあやあやあ~~! キミが黒鉄の子かい!? おっしゃるくん!!」


「名前違うわ! オシャルだわ!」


風を切って現れたのは、派手な白マントを翻し、メガネをピカピカに磨きながら登場した細身の青年。

登場からすでに全力のボケをぶちかましてくる。


「失敬失敬、私は《メガネ剣士》こと、ポッケル=グリムナイン! 王国剣士ランキング第十五位だよ!」


「思ったより順位上でビビるわ!」


「キミと戦いたくて、朝からメガネ磨いて待ってたのさ!」


「他にやることあっただろ!?」


「いや、メガネは戦友だからな!」


(この人ずっとこんなテンションなのか……)



◆◇◆


こうして、模擬戦カードは


《第十五位:ポッケル》 vs 《新規登録:オシャル》


観客たちがざわつく。


「ポッケルって“あの”メガネの人か!?」


「前回、あの人、メガネで岩砕いたって噂だぞ……」


「本当は普通の剣使えばAランク以上って言われてるらしいけど、“自分はメガネでいい”って言って拒否してるらしい」


「なんだその哲学……」



◆◇◆


試合開始の号令と同時に――


「“眼鏡剣技・一ノ式《視界斬》!!”」


光速で投擲されたメガネが地面を削り、風を裂く!


「ちょっと待てやっぱり強いじゃん!!」


「ふふん、これはあくまで“前菜”さ!」


そう言ってポッケルは、予備のメガネを次々とポケットから取り出す。


「“二ノ式・乱視乱舞らんしらんぶ!”」


大量のメガネを空中で回転させ、ブーメランのように飛ばしてくる!


「メガネの雨ってなんだよ!!」


「これが“視力の暴力”だッ!」


(セリフの意味は訳わからんのに、攻撃精度が高すぎる……!)



◆◇◆


「じゃあ、そろそろ本気出すよ!」


ポッケルが最後のメガネ――“勝負用”の黒縁眼鏡を取り出すと、空気が一変する。


「“三ノ式・多焦点閃破マルチフォーカスエクスプロージョン!!”」


ドオオオン!!


地面が抉れ、衝撃波が走る!


「魔法属性も乗ってる!? 眼鏡ってなんなんだよ!」


だが、オシャルは前を見据えたまま、剣を握る。


「“閃鎖・三ノ太刀――瞬破しゅんは!”」


ビシィィィン!!


一閃。空気を切り裂く斬撃が、ポッケルの眼鏡を正確に割った。


メガネは砕け、ポッケルは吹き飛ぶ――かに見えたが。


「すばらしい! すばらしいよオシャルくん!!」


ポッケルはふらふらと立ち上がり、ニッコリ。


「メガネ、割れたの何本目だっけ? 今日は6本目か~」


「なんでそんなに持ってきてんの!?」


「やっぱり君、強いな! でも次は“老眼鏡”モードも試してみたいな~!」


「やめとけもう!!」


観客たちは唖然としていたが――


「おい、あいつ……すげぇよ」


「ギャグみたいな戦い方してるけど、本当に強いじゃねぇか……」


「十五位って、あのノリで本当にそこなのかよ……」



◆◇◆


試合終了。

勝敗はオシャルの勝ち。だが――


「ポッケル、絶対まだ本気じゃなかったな……」


「あの人、“強くなるとバカが悪化する”って言われてるからね」


「何その成長代償システム!?」


ポッケルはメガネを直しながら言う。


「また会おう、オシャルくん! そのときは“遠視モード”で君を倒す!」


「いや、まずまともな剣持てや!!」



そしてその戦いの後、王都の高台にて。


「ふふ……面白い男が増えたものだな」


その言葉とともに、銀髪の剣士・ヴァロル=リーグスが静かにオシャルの名を口にした。


「剣士ランキングは――近く、荒れるぞ」


感想ブクマ執筆の励みになります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ