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Lost19 人形の紐は誰の手に  作者: JHST
第六章 貴族の戦い
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③その先へ

「既に、金竜騎士団まで………」

 バイオレットが息を飲む。

 団長のイーチャウを中心とした、貴族のみで構成された『色付き』の騎士団である。


 デルが一歩前に出た。

「気を付けろ。鼻もちならない貴族だからと油断したら殺されるぞ。ここにいる奴等は、性格こそイーチャウ(あいつ)と同類だが、実力が見合った上での貴族だ」

 コネや家柄で入ったとしても、実力が伴った上でその地位にいる。決して口だけの存在ではないと彼の表情が険しいまま固定される。

 黄金の騎士達が無言で武器を構えた。


「………貴族にしてはもう少し気品溢れる口上を期待していたんだがな」

  先頭にいた金竜騎士団の騎士が、白銀の槍を下から上へと無駄なく突き上げる。

 だがデルとの間にバイオレットが入り込む。彼女は腰まで上がっていた一撃を左の盾で受け止め、天井へと反らした。


「デル団長は先に行ってください」

「はぁ!?」

 彼女の突拍子もない二度目の提案に、デルが声を上げる。

「馬鹿か! 相手は腐っても上位騎士だぞ!? ついこの前まで下位だったお前が、まともな装備もなく戦えるか!」

「ですが守りにだけに集中すれば、私でも時間を稼ぐ事くらいできます!」

 バイオレットは率先して自分を危険に晒している。デルは彼女が自分のした行為の清算をしようとしているのだと、その行動を理解する。

 だが彼女にとって苦戦は免れない、それどころか、ここを任せれば殺される可能性の方が高い。

 それでもデル達が最短で目的を達成するには、彼女の案が一番でもあった。この先何が待っているか分からない以上、立場を逆にする訳にもいかない。


「………階段だ」

 力が籠るデルの言葉に、バイオレットは首を傾げた。

「階段の上で戦え。広間よりも狭い分、一度に攻撃される数と範囲を制限できる。何よりも裏に回りこまれないから、有利に立ち回れるはずだ」

 高低差から剣で攻撃しづらい短所はあるが、守りに徹するならば、そこは問題でなくなるとデルが師事する。

「後を頼む」

「はい。任されました」

 バイオレットは小さく頷いてみせた。


 デルは彼女の肩を軽く叩くと、そのまま中央階段を目指した。金竜騎士団の騎士達がデルに顔を向け、その行く手を阻もうと一歩を踏み始める。

 だがデルを追いかける彼らの視線の先は、間に割って入るバイオレットの姿があった。

 バイオレットは両手の盾をぶつけて大きな音を響かせる。

「ここから先へは行かせません!」

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