④明かされていく真実
―――翌朝。
先日に続いての団長会議。イーチャウ、クライルの両名が所用を理由に、三十分程遅れての始まりとなった。
「それでは先日の件の続きだが………その前に、重大な事実を話さなければならなくなった」
イーチャウの第一声に、周囲がややざわつく。
前線で何か動きがあったのか。しばらく安心できると思っていただけに、デルとヴァルトはテーブルに両肘をついて指を組み、彼の話を待った。
「蛮族達………いや、魔王軍と呼ばれる集団が過去にも存在していた事が、とある書物にて確認出来た」
イーチャウが席を立ち上がると、部屋の入口の扉を開け、一人の男を会議室に招き入れる。
「紹介しよう、我が王国の歴史を長年研究している、アミ―殿だ」
案内された男は中年から高齢へとなる途中で、口の周りは白黒混在の長めの髭で囲われ、いかにも権威のある学者にも見える。旅人が使う薄く茶色いマントを羽織り、中の服装も旅人程みすぼらしくはないが、文官や貴族と比べれば質素なものであった。
イーチャウ以外の団長達が互いに顔を合わせ合う。デルも王宮の人間に詳しい訳ではないが、彼は初めて見る顔であった。
アミ―と呼ばれた男は、団長らが座るテーブルの前で一礼すると、懐から一冊の本を取り出した。
「アミ―でございます。私は長年王国の歴史を研究しておりまして………実は王国の歴史の中に、資料が殆ど見受けられない時代が存在するのを、皆様はご存知でしょうか?」
彼は団長達の顔を一瞥する。
「さらに王国では、国王陛下の代ごとに歴史書を作成し、それらを専用の書庫で保管しております。現在の陛下は18代目ですので、歴史書は既に17巻まで存在している事になります」
それは聞いた事があると、魔法使い上がりであるレジハーザが小さく声に出した。
アミ―が小さく頷き、続きを話す。
「その歴史書の中でも、12巻に関しては王に選ばれた者のみしか閲覧が許されず、私達歴史家の中では、そもそも存在していないという噂すら立っていた程です」
12巻、つまり12代目国王の時代。その時代は歴代に珍しく女王が治めていた時代だった事もあり、数字で言えば凡そ二百年前の出来事になる。
二百年。デルの中で記憶が騒めいた。
「その書物が、今皆さんの目の前にある、その12巻でございます」
アミ―が持っていた本をテーブルに置くと、団長達が一斉に立ち上がった。レジハーザが震える指で真っ先に黒いなめし皮で作られた表紙をめくり、ウィンフォス王国の印が刻まれているページを見つける。




