⑥責任の所在
「王都の住民達には何と?」
せめてものとの意見として、ジェールが発言した。
既に住民達には東部から来た商人や旅人、そして街から逃げてきた難民達によって様々な情報が行き渡っている。必要以上に公表すれば、不安をさらに煽り、公開した情報が少なければ、王国や騎士団への不信が高まる。彼の意見には、どこまでを公表すべきかという意味が込められていた。
「大体の事は公開するつもりだ」
イーチャウの予想外の即答に、隠蔽するものばかりと思っていたデル達がやや驚きを見せる。
「同時に王国騎士団内でもけじめをつける必要がある」
そう言ってイーチャウはデルとヴァルトに交互に視線を送った。
「お二方には、今回の遠征の責任をとってもらう………ああ、もちろん紅虎騎士団のザルーネ卿にも傷が癒え次第、同様に伝えるつもりだ」
責任。指揮をする者にとって最も重い言葉に、名を呼ばれなかった者達でさえ、背筋が自然と伸びる。
「イーチャウ騎士総長代理。それはつまり………上位騎士団の団長三名を処罰するつもりなのかい?」
マイヤーが驚き、本気なのかと呆れた顔で口を開けた。
「うむ。この時期に団長級の実力者を抜いては、戦力としては大きな痛手になるのじゃが」
レジハーザも彼女に視線を送り、その意見に続く。
デルやヴァルトは何も言えない立場だったが、他の団長らも、イーチャウの決定に反対の様相を呈していた。
「イーチャウ騎士総長代理、私も同意見です。その判断は性急すぎませんか?」
今まで沈黙していた王女殿下も言葉に出す。
だが、多くの反対を受けながらも、イーチャウは悲しい顔で首を振る。
「王女殿下までそのような発言をされるとは、残念でなりません」
肩を落とし、仕方がないと説明をする。
「………皆さんは何か勘違いをされている」
イーチャウが立ち上がり、今度は真剣な表情になる。
まるで役者である。
「これだけの問題を起こして誰も責任を問われない。本当にそれで王国の民達が納得するでしょうか? 大切な人を失った遺族が、仕方がないと理解してくれますか?」
本来責任を問われるべき騎士総長は既に戦死している。ならば生き残った人間の中で責任をとらなければならないと、彼は自分の胸に手を置き力説する。
「不敬を覚悟で言わなければなりませんが、王国騎士団遠征の決定を最終的に承認したのは、他ならぬ王女殿下ではありませんか」
「………それは」
イーチャウの視線が背後の王女に向けられる。




