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4.来訪者

コツコツコツコツ。

靴で歩く音が廊下にこだまする。


『ねーそうだよねー』会話する生徒の声が昼下がりの校舎内で、透き通っては消えていく。


コツコツコツ。コンコン『はーい』ゲーム部のドアが

ノックされ、たまたまそこにいた佐々木が出迎える。


『あ、あなただったんですか』少し驚いて、しかし安心したような声で来訪者と出会う。


『おや、瑞希か』オレはいままであまり話したことのない、生徒会長がそこにいた。


それもそのはず、生徒会には所属していないし彼女は3年生だし、ほとんど接点がなかったのだ。


生徒会長の用事はおそらくゲーム部のことだろうと

オレは思った。


『私もついに入部したんですよー会長!

今日は何のご用件ですか?』


佐々木は会長と懇意にしているような雰囲気を

している。


『ああ、ちょっと部活の活動を・・・』

言いかけたところで目線をずらし、教室の中を見る。


そこにはカードゲームのデッキを広げて対戦している

聡介の姿があった。


キング・タクティクスを気に入った聡介は、

リアルのボードゲームであるTCG


(トレーディングカードゲーム)も

やってみることにしたのだ


『あ、あのー』『ん?どうした?』

『いえ、その』もじもじ


対戦相手の立花が視線を気にしている。

じっとこちらを生徒会長が見つめているからだ。


『瑞希、もっとしっかりした部活に入れとあれほど』

『だって私の一番好きなものがゲームなんですもん』


もっとしっかり、か。気持ちは分からんでもないが、好きなものが否定された気がしてなんかムカツク。


まあオレはアンチ活動も(ギリまだ)趣味なのだから、人のことを言えた義理はないが。


立花も少しむっとしている。『会長!そんな言い方ないですよ!部長も何か言ってください』


むくれた立花が不服を申し立てる。

『まあまあ二人とも。これでもれっきとした部活動。文句はなしですよ』


すると会長が応える

『ん、まさにそのことなんだが・・・』


『は、廃部!?』

『そう気をはやるな、活動実績がないとだ』


『見てくださいよ!実際活動してますって』

『いやそういうことでなくて、

交流戦とか文化祭への出展がないとダメって意味さ』


どうにも、去年はどことも対戦せず、

文化祭にも出ないひきこもり部だったらしい。


『それが問題だという話が生徒会で出てね。なに、

どちらかをなしてくれれば公認されるはずだよ』


『部長~?小林先生~?』非難の目が二人を襲う。


『い、いやだな。出展申請を忘れていた私だけのせいでなくてだな』『すまんかった』

オイ!とツッコミの声が一斉に出た


___

____


『なるほど、地区大会への出場か・・・』

『ええ、今年は(先生も働かせて)文化祭への出展を

行うことにするわ!』


会長は何やら眼鏡をはずして眉間を押さえると、

正面を向きなおして、


『ん。わかったよ、満足いく回答だ。

生徒会に皆にも伝えておくよ』

と答えた。


『やったー!』部員総出でジャンプして喜んだ。


『ねーねー会長もボウル・ザ・3Dやろうよ~』

佐々木が遊びに誘っている。


『ん、また家でな』ヤッターと喜ぶうちに、

会長がオレのことを見る。

なになに?告白ですか~?(違)


『きみが噂の新人くんか、

瑞希から話は聞いているよ。

ここは部長も顧問も少したよりない』


『部員一人一人がしっかり見守るように』

ハーイ、とオレ含めた部員の皆で同意する。


『じゃあ、これで失礼します。』

『またね!会長!』と別れの挨拶が交わされた。


『うん』うなずく生徒会長に、

佐々木は満面の笑顔を向けていた。


___ _____ パタパタパタ。佐々木が帰り支度を

してる音だ、もう帰る時間か。


『あ、あのー・・・』『ん?なんだ?』立花だ。

まだなにかあるのかな?


『い・・いえなんでもないです』もじもじする立花

を、オレは少しかわいいなと思いつつ、

気になったので聞き返した。


『どうしたんだよ、言ってみなよ』

『えー、あー。。。』

『ほら、言っちゃいな!』


部長が肩を押しオレの前に押し出す。

『あ、あの、、今日も一生に帰りましょ!』


___

_____

あんな風に誘われるなんて、春来てるの、オレ!?


自室でゲーム機を胸に寝転がり悶えていると、

次第にあのTCGに考えが移っていった。


うーん、

部活の備品としてのカードだけじゃ完成度がな。


しかし買うとなると高いし。

家の中でそんなことを考えていた。


そうだ、そのことをアンチスレに書き込もう。

幸いあのボードゲームは中学までガチでやってたし。


本人は気づいていないが、

本当はハピモンが大好きなのだろう。


彼の中学時代を代表するゲームで、

他のゲームへのアンチ活動を抑止していた。


ようはハピモンに特に『お熱』だったのだ。


あー書き込みたい!

当事者になるとレビューしたいし

こき下ろしたくなる!


以前は抑圧された不満からのストレス解消としての

アンチ活動だったが、


いまは楽しい日々に不満感は無くなり、

当時のなごりとして加虐欲求が残った。


カタカタ『ゲームがどんどん高速化して、

じゃんけんゲーになってるじゃん』


カタカタ『一枚一枚が高額すぎて、

メインターゲットの学生が離れかねないぞ』

ヨシ!


>>189その的確な感じ、

アンチ・ハピモン神みたいだな。

対象を広げたのか?


げっっばれてる!黙ってスルースルー。

さて、ハピモン・リ・ヴァースでも進めるか・・・

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