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七夜の海と、星空の鍵

作者: 逢乃 雫

彼方の山々から


吹き渡る風は



まるで季節という


バトンを冬が


春へと渡すように



初名草(はつなぐさ)が風に


薫る雨上がりの



水たまりに映る


空は青く輝き



小径に咲いた


面影草はいくつもの



月のかけらを


道にちりばめるように




花つ月の


風の丘から



見わたす彼方に


海はまばゆく



虹の色と同じ数だけ


風にそよぐ


フリージアの花の色



夕闇の風に浮かぶ


切り絵のような


街のシルエットから



目覚めるように現れる


おおぐま座の星々




七夜の星は


宙を渡る船のように



北の空から


こぎ出していく



北斗七星は


(そら)をゆく船星



青くはてしなく


広がる宙を



春の(みなと)へと


光をまといながら




七夜の星は


宙を渡る船のように



南の空に浮かぶ


らしんばん座の星



光が導く


星でつくる羅針盤



その星につける


名前はきっと



それぞれがこころに


描く夢たち



時に春北風が吹き


雨粒が頬を


伝うこともあるかも


知れないけれど



心の羅針盤を


握りしめながら



春という


湊へ向かって




七夜の星は


春を拓く鍵のように



少しずつ開いていく


季節の扉から



獅子や女神たちが


宙の舞台へ


上りゆくとき



アークトゥルスは


あたたかな光と


春をふりまいて



七つの星を


つないで春の扉の


鍵を描くように



こころがつなぐ


言の葉があり



言の葉がつなぐ


こころが、きっと




夜空に浮かぶ


星の船が



春という湊へ


向かいゆくように


 

花つ月の夜空に


未来(はる)への扉を描いて



星空の鍵を瞳に


そして


夢を、握りしめながら

















春先から北の空高く上る、おおぐま座は、背から尾の七つの星、北斗七星がひときわ輝き、その形から「ひしゃく星」「船星」「鍵星」のほか、「七夜の星」とも呼ばれます。うしかい座のアークトゥルスは、春先には東の空でオレンジ色に輝きます。


らしんばん座は、3月下旬の南の空に、三つ星が縦に並んだ形です。航海で方角を調べる羅針盤に由来し、18世紀にできた新しい星座で、星にはまだ固有の名前がありません。


初名草はつなぐさは梅、面影草おもかげぐさは山吹で、様々な色の花を咲かせるフリージアには「感謝」「希望」などの花言葉があります。花つ月は3月のことです。


季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] >まるで季節という >バトンを冬が >春へと渡すように なんて素敵な描写なのでしょう。言葉に出来ないです。 >心の羅針盤を >握りしめながら 羅針盤が単なる機器でなくなりました。 >こ…
[良い点] らしんばん座、って聞いたことがなかったので、思わずネットで調べてしまいました。 他にも初名草、面影草、花つ月、と綺麗な言葉が散りばめられていて、楽しく拝読しました。 北斗七星の星々の鍵で春…
[良い点] いつも地上から空へ展開されているところに毎回様々な工夫をされていて、素敵だなあと思って拝読しています。 好きなフレーズが沢山ありまして(n*´ω`*n) 月のかけらを道にちりばめたように…
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