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01:某中学校内強制召喚事件

「おぉ、成功だ!勇者様!!」



荘厳の雰囲気の謁見の間、玉座から立ち上がった豪奢な服装の男が声を上げる。

この男がいわゆる「王」なのだろうか。

玉座の前に敷かれたレッドカーペット、その上に複数人の魔術師と思しき服装の男女数名、そして彼らの足元に大きな魔法陣が光っており、その陣の中心に黒髪の少年がわけもわからないといった感じで周囲をきょろきょろ見渡している。


「え、え?何??どういうこと!?」


少年は学校で授業中に突然光に包まれ、気が付くとこの王城にいた。

玉座に座り直した王と思しき男が語り掛ける。


「驚くのも無理はない、そなたはこの国を救う勇者として召喚されたのだ。」

「え、しょ、召喚!?」


少年は『召喚』という単語を聞き、不安な表情になる。

王はかまわず続けた。


「今この国は魔族の襲撃によって危機に瀕しているのだ。優秀な戦士達も次々倒れ、もはや我々に猶予は残されていないのだ。どうか勇者よ、魔族達を討ち果たし我々を救ってほしいのだ。」


少年は頭の中がぐるぐると回っていた。

(これって有名な異世界召喚!?でもいきなりそんなこと言われても…勇者とかいきなり言われても…)


答えられず困惑し続ける少年に対し、周囲の魔術師達が何やら様々な魔法で少年を鑑定し始める。

結果を見て驚きや喜びの声を上げる魔術師達。

「素晴らしい!これなら我が国は安泰だ!!まさに救国の勇者様!!」













『はーい、そこまで!!』












突然、謁見の間に知らない女性の声が響き渡った。それも、メガホンでも使ったかのような大ボリュームで。




「な、なんだ!?何者だ!!?」

「不届きものめ!姿を見せろ!」

「陛下!お下がりください!!」


王は驚き狼狽え、周囲の兵達が王を守るため配置についた。

声は、いつの間にか表れていた天井付近の空中の『空間の歪み』から聞こえていた。

歪みからの声はどうやら複数人いるらしく、向こうでの会話も聞こえてきた。


『毎度毎度思うんですけどこれちゃんと向こうに聞こえてますよねぇ?音声は一方通行ですから実感ないんですけど…』

『問題はない。今までの任務でもちゃんと聞こえているのを確認している。』

『そういうことです。いつも通りこなせばいいのです。それより早くDバンカー用意してください。』

『わかっている。』


空中から木霊する声に困惑する兵士達、何とか分析しようと魔法をかける魔術師達。


「なんだこの声は!?まさか魔族どもが!?」

「今分析魔法をかけています!し、しかしこれは…未知の術式!?」


そんな中、召喚された少年は聞こえた会話から聞いたことのある単語を思い出した。

同時に少年は安堵の表情へと変わった。


(よかった…誰か通報してくれたんだな…)


空中の声が再び謁見の間にいる人達に語り出す。




『あ”~あ”~、改めまして~…こちら境界警察局です。連盟からの承認なき異世界召喚は立派な誘拐事件であり取り締まり対象となっています。これより取り調べのためそちらの世界に介入します。今のうちに投降姿勢を取っておくことをお勧めいたします。』




境界警察局。

かつて地球に異世界との扉が繋がり、様々な異世界との交流が盛んに行われるようになったことにより各世界間とで締結された「境界協力連盟(Organization to promote Border peace and cooperation)」。

この連盟からの支持の元結成された2つの治安維持組織。

一つが大規模な境界事件対応のために軍事行動を主とする「境界連盟機構(Federation of border mechanism)」、

そしてもう一つが異世界召喚を含む小規模な境界事件を取り締まる「境界警察局(Border police department)」である。

特に地球では、連盟締結後に行われた世界各国での調査により、実に多くの人達が「異世界召喚」によって攫われ行方不明となっていたことが次々と判明。地球の科学技術と異世界の魔法を組み合わせた「魔科学技術」によって境界介入が比較的容易になったことでそれら多くの境界事件が解決へと導かれ、これらの実績を基にICPOから分離再編成されたのが「境界警察局」である。



声を聞いた兵士達は更に殺気立つ。

「何を言う!陛下の御前であるぞ!!」

「不届きものめ!貴様等こそ大人しくお縄につくがいい!」

「勇者様!今こそ使命を果たす時で御座います!」

「え、いやその、これって…」



次の瞬間。




ビキッ!!!




空中、空間にヒビ割れが走った。




ビキッ!!!!!!!





ヒビ割れがさらに広がる。




そして、






ガシャーーーーーーーーーン!!!!!






空間が、大音響を鳴らして砕け散った。





割れた空間の向こうには、さっきまで少年がいた学校の教室が見えた。

同時に、下がって心配そうに見ている担任や校長やクラスメイト達、そして通報を受けて駆け付けた境界警察局員3名の姿が見えた。特に局員の一人は全身を藍色のパワードスーツで覆い、両手で巨大なパイルバンカーを抱えている。実は先ほどの空間破砕もこのバンカーで行っているのだ。

割れた空間の裂け目はやがて円形の門の形に変わって安定化。

そしてついに異世界側の謁見の間に、境界警察局員2名が突入した。

一人は先ほどバンカーで空間を破砕したパワードスーツ姿の大男。バンカーを放してアームキャノンに換装している。

もう一人は同じ藍色の軍服にも似たドレス型の制服に身を包んだ銀髪ロングヘア―の女性。


まず銀髪の女性局員が名乗りを上げる。

「私は境界警察局日本支部局員のメリス・ガーランドと申します。我々は境界警察局権限に則り、そこにいる少年の救助に参りました。」


兵士たちがそれに反発する。

「姿を現したかと思えば何を!?」

「この者はこの国を救う勇者様だぞ!」


局員メリスはその言葉に強く反発した。

「彼はただの善良な地球の一般市民です!勝手に連れ去って勝手に祭り上げた者が勇者であるはずがありません!我々側から見れば、あなた達はただの誘拐犯です!」


「メリス、落ち着け。まずは救助優先だ。」

パワードスーツの大男が諭す。

「…えぇ、ごめんなさい。」


落ち着いたメリスは再び姿勢を正し、玉座に立ち尽くす王に話しかける。


「改めまして、あなた方には違法な異世界召喚による未成年者略取の容疑がかかっています。とはいえ、この国にも事情があると言う事は察しました。まずは彼を速やかに引き渡して頂きますが、もしも緊急性の高い事情がおありでしたら境界協力連盟で対応いたしますよ。」


「何をわけのわからないことを…??」

突然のことに困惑している王に代わり、大臣らしき人物が答える。

「王に対して無礼であろう。そもそもその少年はこの国の勇者様だ。貴様らのような得体のしれない連中に渡すわけにはいかぬわ。」

「ではどうするおつもりですか?このままではこの国は我々境界協力連盟を敵に回すことになります。そうすれば国どころか世界を蹂躙しなければならなくなりますよ。」

「……なに?どういう意味だ??」

蹂躙、という言葉に大臣が反応する。

「この少年は違法に異世界召喚されたのであってこの世界の人間ではありません。よってこの世界から保護する義務があります。もし抵抗されるようであれば実力行使も辞しません。」

「ふん、そんなことが……!?」

「どうされましたか大臣殿?」

「なっ……なんだと!?!?」

傍らで見ていた王は驚愕する。

眼前の境界警察局員メリスと名乗る女と傍らの大男、その二人が『勇者など比較にもならない、尋常でないほどの高ステータス』を持っていることが配下の魔術師による解析で判明したのだ。

もしもこれが真実なら、うかつな発言は命取りになる。

「……お、お主らは一体何者なのだ?」

「ですから、境界警察局だと申し上げております。我々は市民からの通報でこの少年を保護しに来ただけです。」

「……そ、そうか。だが、やはりこの少年を連れて行くことは……」

口ごもる王。しかし局員メリスは営業スマイルに切り替えてこう返した。


「ですから、そちらの世界における危機的状況でご相談があれば我々連盟で対応できるかもしれませんよ。」


続けて、メリスは懐に手を入れる。

瞬間、周囲の兵士達が殺気立ったが、取り出されたのは1台のスマホ。

そして何食わぬ顔で電話をかける。門が開いたままなので電波も問題ない。


「あ、外務省ですか?境界警察局のメリスです。そちらにまた案件が行くと思いますのでよろしくお願いします~。」

『またですかメリスさ~ん…ここんとこ多くないですか~この案件~…』

「ホントそれなんですけどね~…、あ、今王様と思しき人物が目の前にいますけど、どうします?」

『あ、それじゃスピーカーモードで話せます?』

「わかりました~、じゃあ変わりますね~。」



電話を渡された王は、恐る恐る応答する。

相手は日本にいる外務官僚のようだ。

そして、交渉が始まった。

まず最初に向こうが提示した条件は、以下の2つだった。

1:そちらに身柄を拘束されている少年の即時解放。

2:境界警察局及び境界協力連盟に対する情報提供。

まずは少年の解放。

これについては兵士や大臣の反対があったものの、先程確認して驚愕した局員の尋常でないステータスの事もあって何も言えなかった。

続いて、境界警察局に関する説明がなされた。

境界警察局は異世界召喚を含む境界事件全般を扱う組織であり、地球において境界介入の容易な魔科学技術によって解決が可能であること。

異世界からの誘拐・拉致被害者は境界警察局が責任をもって保護すること。

今回の少年のように異世界召喚に巻き込まれた場合、元の世界に戻る術があること。

最後に、境界警察局への情報提供について。

境界警察局は現在異世界召喚が関与した境界事件を重点的に調査しており、境界警察局日本支部がその窓口になっている。

境界警察局日本支部はこの少年の救出と並行して、境界警察局本部を通じて異世界召喚"した側"の事件の捜査及び解決に協力する。

以上が、日本側が示した交換条件であった。

王の決断はすぐに下せた。

境界警察局という得体のしれない連中に頼るのは気が引けたが、もっと強力な戦力が協力してくれるかもしれないのだ。

少年の身柄については、すぐに開放された。



戻ってきた少年を待っていたのは、クラスメイト達による質問攻めだった。

「ねぇ、今の人達って一体誰!?」

「いきなり目の前で消えたときはびっくりしたぜ!」

「でも、無事でよかった~…」

「……うん、心配かけてごめん。」



こうして、一つの事件が解決へと導かれた。



開けられた門はその後境界警察局日本支部内にある境界門管理所、別名「ポータルステーション」に移設され、今後はここから異世界との交渉を続けていくこととなる。

帰還した局員3人は入念なチェックの後に部署に戻ってきた。


「やれやれ、今回は早期解決になってよかった。」

パワードスーツ『イージスMk=Ⅱ』の装着者である大男こと『烏山 雄二(からすやま ゆうじ)』がヘルメットを脱ぎ、装備を片付けてゆく。

「まぁ、今回はたまたま現場に境界転移門の痕跡が残ってたから良かったものの…毎回こんな感じで異世界を特定できたらいいんですけどね。」

メリスが愚痴をこぼす。

「まぁな。だが、そうも言ってられないだろう。俺たちは境界警察局の一員として境界犯罪の取り締まりを行う義務がある。」

「そうですね……。ところで、この後どうです?」

「お、そうだな。せっかくだし飯でも食いに行くか。」

「えぇ、行きましょう。」


そこに待ったをかける、3人目の局員である女性。

当人の趣味で局員制服の上に白衣を羽織っている桃色のミディアムヘアーの女性で、大きな丸メガネが印象的だ。

彼女の名は、エルメナ・エンジード。この部署でメリスや雄二を後方から支援するメカニック担当である。

「はいはーい、まだ報告書終わってないでしょ~?」

「うっ、そういえばそうでした……」

「まったくもう~!ちゃっちゃと終わらせてね~」

「うぅ……わかりましたよエル〜……」

銀髪の女性メリスはうなだれた。

「やれやれ、今日奢ってやるから元気出せ。」

見てられなくて雄二はこう言った。

すると、メリスはパッと顔を上げて笑顔になった。

わかりやすい奴だ、と彼は思った。





地球と無数の異世界、実に多種多様な交流が行われるようになって久しい、現在。

境界警察局では異世界と地球の平和を守るべく、日夜境界犯罪者と戦っている。

この物語は、その日本支部に所属する異世界出身の境界警察局員メリスとその仲間たちの物語である。


本小説は、2割ほどをAIツール「AIのべりすと」様に手助けしてもらいながら作成しております。


https://ai-novel.com/index.php


勢いで描いたようなものですが、もし興味ありましたらブクマしてくれると意欲が沸きますのでよろしくお願いします。

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