第137話 村内動乱
場の中心に居るのはハジメ、カスペル、ケーニヒ、そして管理人。 そんな彼らを取り巻くように、村人がまばらに状況を見守っている。
陣営としては、ハジメとその他という対立。 しかし感情的にはハジメおよびケーニヒ、それに対してカスペルが居り、管理人がどちらに流れるかと言ったところ。
「皆んなが事実を知れば、あんたらの悪事は確定的だ。 その場合、どうするつもりだ?」
ハジメは内心の焦りを隠しながら、虚勢を気取られないよう声を落としつつも強く出た。
このままであれば、程なくしてカスペル排斥の流れが出来上がるだろう。 ハジメは彼女がそれを嫌ってくることを期待しているが、そう上手くは行っていない。
当初ハジメは、自分一人で問題が解決できると思っていた。 カスペルの存在を知った上でも、彼女の考えを改めさせることこそ重要だと思い込んでいた。 しかし彼女は、ハジメに村の管理を任せて自らは死んでも良いとさえ言い放っている。 そうなると困るのはハジメであり、村人全員分の命を負わなければならなくなる。
アルスは基本的に、犠牲を支払ってさえ結果を得られないばかりか、不当に人間が死に続ける世界。 誰もが幸福な環境など皆無であり、市民という大を捨てて一部の権力者という小を生かすことこそが当然だとされている。 無駄な死を許容することで、小を生かすという結果が得られているのかも知れない。 そんなアリスト村を生かすことに意味はあるのか、ハジメの中に疑問が立ち上がる。
(俺はどうしてこの村に関わろうなどと考えた? そこに何かが見えたからじゃないのか? 俺の意識の外側から語りかけた何かに、呼応したからじゃないのか?)
ハジメは自らの行動が意識的なものなのか無意識的なものなのか分からなくなってしまっている。 それでも、ここで何かを成すことが今後に繋がると思えて仕方がない。
(もしかしたら、御神木を擁する村や管理人のような存在、そしてアースティカの動向を知ることが俺に必要なことだったのか……? ここで無理しなくても、十分な成果と言えなくはないか?)
順当に行けば、ハジメとアースティカの敵対関係が出来上がる。 カスペルとエヴォルを始末しても、この村には彼女らの後任がやってくるだけだろう。 偶然の事故で二人が死亡したと偽ったとしても、村人の記憶などを読まれれば事実は白日のもとに晒される。 そうなればアースティカに追われる身となり、ハジメの目的達成難易度が上がる。
(それならここで全員──いや、何を考えてる……?)
ハジメの中に一瞬、黒い感情が湧き上がった。
ハジメはどうにも、思考が少し変化しているように思える。 この世界で生活していく中でゆっくりと変化したのか、ヴィシャ兄弟の一件が原因か、それとも元来の性格が表出しただけなのか。 いずれにしても、ハジメとしては受け入れ難い変化だ。 一方で、その変化が必要だとも考えている。 今回はどう動くべきだろうか。
「本当にエヴォルが罪を犯したというのであれば、当然のことながら罰します。 それだけです」
「あんたの責任はどうするんだ?」
「エヴォルを処罰するという形で果たしましょうか。 ただ、件の人物が何かしらの被害を受けていたとして、それは本当にエヴォルによるものなのでしょうか? あのエマという少女の発言のみが信用される状況というのは、いささか不自然でなりません。 貴方たちが共謀して、私を陥れようとしているとしか思えません。 このような一方的な扱いを受ける謂れもありませんし、これに対する私の心境を慮ってほしいものですね」
「よく回る口だな。 でも確かに、エヴォルがマルトっていう若者を殺した根拠は示せないな。 だけどな、あいつが多くの村人を攻撃した事実は彼らが身を持って証明してくれている。 これだけでも十分なのに、何をそんなに言い訳ばかり並べる?」
下らない言い合いばかりが行われる。 今や、会話はハジメの時間稼ぎにまで堕落してしまっている。 この不毛なやり取りさえも、村人の感情にはマイナスに働きそうな気配がある。 こんな無駄なことをしていて良いのかという不安がハジメの中にわだかまる。
「貴方は、何を焦っているのですか?」
「……質問してるのはこっちだ」
「どうやら、貴方にとって予想外があったのでしょうね。 未熟さと稚拙さが浮き彫りになっていますよ?」
「黙ってろ」
「では、建設的な話を。 貴方がアースティカに所属するのであれば──」
「それはできない相談だ。 アースティカにも、ましてやナースティカだって所属することは不可能だ」
「愚かですね。 敵対を選びましたか」
「あんたは喧嘩を売る相手を間違えてるけどな。 あんたは、俺から神の力を感じないらしい。 哀れだよ」
勧誘に対していつまでも曖昧な返事を続けることはできない。 神を信じる両陣営は、いつまでもハジメに対する勧誘を続けるだろう。 そうすれば、いつか強行的な手段に出てくるはずだ。 所属しないのであれば、敵組織に流れるのであれば、殺害するといった具合に。 後手になるくらいであれば、先手を打った方が良い。
「おかしなことを言うのですね」
「俺の魔法は神から戴いたものだぜ。 管理人、今のお前ならそれが分かるだろ?」
「……はい」
「管理人まで抱き込んだのですか。 私を排除する下準備は万全というわけですか」
「本当にそう思うのか? あんただって俺のマナに触れたはずだ。 なら管理人に聞いてみろよ。 あんたに対してなら、そいつは嘘をつかないだろ?」
「管理人、事実を」
「ハジメの異質なマナは、御神木のそれと類似して……いや、逆ですね。 ハジメのそれは、御神木よりも遥かに濃い──ウッ……!」
管理人が突如苦悶の表情を浮かべ、眼球を上転させた。 グシャリと地面に崩れ落ちると同時に、エヴォルの声が響く。
「カスペル様、何を悠長なことをしているのですか……!?」
エヴォルは未だ縛られたままの状態だ。 魔導書は彼の膝元に置かれているが、開かれてはいない。
「あいつ、魔法詠唱なしで……!」
それは、魔法使いが最も初期に与えられる技術。 魔法を習得する以前の魔導書具現化時点で使用する、わずかな魔法操作。 エスナの場合は水を生成する程度だったが、これが魔法発動に近しい効果を発揮するとなると、エヴォルの魔法技術が相当に高いことが窺える。
「《改定》!」
ハジメは即座に魔法を発動し、マナを集約。 エヴォルの意識を奪いに掛かる。
「っぐ、ぅ……! このッ、程度で……ぐぅううううう!」
エヴォルは耐えている。 ハジメがマナ濃度をいくら高めようとも歯を食いしばり、それ以上の効果が見込めないでいる。
「くっそ、直接触れないとダメか……。 だが──」
エヴォルもまた、意識を奪うような謎の魔法を行使できる。 今はハジメがマナで拘束しているが、近付けば位置を悟られて手痛い反撃を喰らう可能性がある。
「……なん、だ?」
村人の一人が倒れ込んだ。
ハジメは慌てて身を屈め、エヴォルから大きく迂回するように離れた。 その間にもまた一人、村人が意識を失った。
「馬鹿め! 自分を捕らえただけで勝ったつもりか!? 後悔しろ、ハジメぇええええ!!!」
(こいつ、どこまで器用なんだよ……!? 目も見えてなきゃ魔法詠唱もしていないのに、なんだこの強さは……!)
目が見えていないことが幸いしてか、エヴォルの攻撃は精度が低い。 とはいえ、ランダム性を以て乱打されているであろう彼の攻撃は、むしろ危険度が高い。 ここでエマが居れば安全に回避できたかもしれないが、今は見えない攻撃に怯えながら反撃の機会を伺うしかない。
村人は離散してしまっている。 悲鳴や騒音が残っている今ここで奇襲を掛けなければ、仕留めきれない。
「おい、何とか言ったらどうだ!? いくら小細工をしたって、上級魔法使いは魔人化しないぞ? こんなことも知らなかったとは言わないよなァああ?!」
ハジメは知らない事実が述べられ一瞬だけ気を散らせたが、物音を殺してゆっくりとエヴォルの元へ近づく。
エヴォルはもはや隠す必要さえないと言わんばかりに、叫びを上げながら攻撃を繰り返している。
「なんだ、怖気付いたか? 人も殺せない雑魚が、アースティカに歯向か──っあ……?」
ハジメはエヴォルが括り付けられている木の背後から回り込み、その後頭部に触れてマナを送り込んだ。 エヴォルはビクビクと震え、またもや気持ちの悪い痙攣を繰り返した。
「馬鹿はお前だ。 もうお前を──って……」
御神木の付近には村人が数名、倒れ伏したままだ。 その他の村人は四方に逃げたためか姿が見えないが、問題はそこではない。
「カスペルは、どこに行った……?」
カスペルとともに、管理人も姿を消してしまっている。 ケーニヒが逃亡を手伝ったのか、それともカスペルに逃亡の手段があったのか。 いずれにしても、エヴォルが一定の働きをしてしまっている。
「魔法使いは生かしておいたら駄目なんだな、良く分かったよ。 だからお前は、徹底的に壊さなくちゃならない」
ハジメは再度エヴォルに触れ、マナを注ぎ込んだ。 更にその身が跳ね、ブクブクと泡を吹いては雄叫びにも近い悲鳴を上げている。
(体内を探られるってのはこうも苦痛なのか、使えるな。 だが、どうにもマナの中心が見当たらない)
ハジメはエヴォルの脳からマナの流れを遡行し、全身にマナを供給している中枢を探っている。 しかしその途中で、流れが切れた。 辿るべき道筋は深い泥の中へ潜っているようで、掘った先から泥が流れ込んで進行を阻むようだ。
これまでハジメは、魔物の脳を魔法的に壊すことでそれらに勝利してきた。 これは魔法使いにも有効で、意識を掻き乱すことで実質的な勝利を得られていた。 ところが、カスペルやエヴォルのように抵抗する者も現れている。
本格的に魔法使いを潰すとなれば、核たる魔法回路を探し出して破壊するしかない。
(くそ、どこにある……?)
マナ回路は、血管のように常時マナが巡っているわけではないようだ。 神経線維のような極微細な回路の一部に触れたとしても、そこから線維を手繰ることが難しい。 加えて、痙攣し続けるエヴォルの声や振動もハジメの集中力を削いでくる。
「やめだ。 つくづく、こいつは俺の邪魔ばっかりしやがる」
これ以上は不毛と判断して、ハジメは作業を諦めた。 その代わりとして、エヴォルの脳内回路をこれでもかといった具合に掻き回した。 最終的には、まともな声すら出せず項垂れるエヴォルの様子を確認して、ハジメは手を止めた。
「こいつで魔導書を奪う方法ってのを試してみるか? ……いや、待て。 俺は何をやってんだよ」
エヴォルに構っていた時間は数分だったが、今になって事の重大さに思い至った。
(管理人を連れたカスペルを軽視しすぎだろ……! あいつが向かうなら、墓所しかねぇだろうが! そっちにはエマと村人も居る……まずい)
問題は、ハジメの嫌うタイミングでばかり浮上する。
「チッ……なんでだ!? ここに来てマナ不足か?」
手元のマナ操作が上手くいかない。 マナ自体に触れることが出来てはいるが、空を掴むようにするりと抜けていく。
「いや違う、カスペルの仕業か……」
御神木が自律的に活動しているのか、ハジメの指示に背いている。 これまで自由に扱うことが出来ていた大気中のマナは今や、他人の手に渡ってしまっているかのようだ。
(カスペルが御神木の制限を取り払ったのか? 分からねぇけど、急がねぇと……!)
ハジメは駆ける。 一気に異質な空間とした村内を。
▽
「早くこっちに来るっす……!」
エマと村人数名は、マルトの遺体──到底そうは見えないものを確認した。 未だ彼の肉塊は各所が膨らんでは爆ぜてを繰り返し、腐敗の過程を辿っている。
そんな折、エマが異変を察知した。
「ど、どこが安全なんだ……!?」
「だからこっちっす!!!」
エマの視界では、断続的に危険色が見え隠れしている。
切れかけた蛍光灯のように明滅する、流動的な赤色。 エマのマナが枯渇しかけているのか、彼女の体現型の魔法は思い通りの効果を発揮してはくれない。 そんな中にあっても、エマは数名を連れて安全地帯を探していた。
「エマちゃん、状況を説明してくれないかい……?」
「マナが渦巻いてるっす……! たぶん、御神木が中心になってると思うっすけど……」
「あそこで何かまずいことがあったのか……?」
「ハジメさんに限って、あのカスペルを自由にするとは思えないっすけどね……」
とにかく、エマたちの目的はすでに達せられている。 村人によって、謎の残骸は衣類的特徴からマルトだと判断された。 この情報を持ち帰ればカスペルを村から追い出せる算段がつくだろうというのが、ここにいる面々の見解だ。 その上で、ハジメが村を管理してくれると踏んでいる。
「でも今は──あっ……」
村人は急いで身を屈めたエマを見て、同じく草陰に隠れた。 エマの視線を追うと、離れた木々の向こう側に人影が見えた。
カスペルが、管理人を引き摺りながら歩いている。 向かう先は墓所だろう。 彼女はひどく疲れた顔で、管理人を連れて歩くのも手一杯といった様子だ。 そのためか、エマたちに気づくことなく真っ直ぐに進んでいった。
「エマちゃん、何かするか?」
「魔法を使われたら勝ち目無いんで、何もできないっす……」
「そう、だよな」
そんなエマたちに見送られる形で、カスペルは墓所へと消えていった。
さて、どうしたものだろうか。 エマは頭を悩ませる。
カスペルが自由でいられるということは、ハジメの身に何かが起こっていてもおかしくはない。 カスペルが慌てた様子にも見えたことからハジメが死亡したとも思えないが、彼女が隙を突いて逃げ出したのというのが想定しやすい。
ハジメの側が最も安全なはずだが、そんな彼も今や膨大なマナの渦中にいる。
「……あ、だめだ。 ここも危険だから移動するっす!」
エマの視界が突如赤く染まり、再度マナが可視化された。 マナが中心の御神木へと流れているかと思いきや、どうやらそうでもないらしい。 一部停滞するマナも散見され、現在の座標はそこに該当するようだ。
「エマちゃん、本当に……? 僕らにはどうにも分からない感覚なんだけれど」
「あたしの魔法を信じて欲しいっす! 完璧な安全は保証できないっすけど、これでもエヴォルから逃げられるだけの成果は出てるっす。 だから早く……っ!」
エマは後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。 カスペルから離れることは生存率を高めるが、この先を見届けられないことには多少の不安がある。
現状はあまり良い状況とは言えない。 それでも、もしかしたら──。 エマでも、状況を好転させられる何かしらの手伝いができるかもしれない。 そう思うと惜しいが、村人を連れながらでやれることなど少ないだろう。
エマはハジメに追随することで多くを知った。 現在に至るアリスト村での経験や、目で見る危険性から、彼女自身かなり危うい状況に置かれていることは確かだ。 しかしながら、騒動の中心にいるとは言い切れない。 ハジメやカスペルの、高い次元の戦いに手を出すことは難しい。 だからこそ、今の彼女でも可能な手伝いに心血を注ぐ。
(ハジメさんは大丈夫……。 あたしにできるのは、ハジメさんを信じて邪魔をしないこと。 ハジメさんが余計なことを考えなくていいように、周りを整えること。 だから今は、傍観者でいることを悲観してる場合じゃない……!)
エマは危険を避け、村人を安全地へと導き続けた。
▽
「ハァ……ハァ……。 ここに来るだろうとは、思ってたよ……」
数分の遅れを取り戻すように、ハジメは墓所へと急いだ。 その結果、墓所で佇むカスペルに行き着くことができた。
「……何を、したのですか?」
カスペルの口調に明らかな攻撃性は見られていない。 そこにあるのは、状況を把握しきれていない彼女の不審感だけだった。
ハジメは荒い呼吸が落ち着くのを待った。 その間、カスペルから魔法の気配は無かった。
(ここに逃げ込んだと見ていいか? そうだとすると、何かしらの罠を仕掛けていてもおかしくはないな。 さっきまでの一連の流れから、カスペルが刻印なり特殊な魔法を備えている可能性は十分だからな)
ハジメは視線を左右させ、暗闇に目が慣れるのを待った。 頃合いを見て、カスペルへと告げる。
「あんたが気になってるのは、そいつらが動けずに転がってることか? それとも──」
ハジメはあえて一呼吸置き、嘲るように次を続けた。
「──あんたの指示を受け入れないことか?」
「……」
カスペルの苛立ちを含んだ息づかいが、暗い空間の大気を介してハジメへと伝わった。
「なるほど、どうやら俺の懸念は正しかったらしい。 でもそいつに答える前に、こっちから質問だ。 あんた、御神木に何をした……?」
「……何を、とは?」
「あんたが逃げ出す時、御神木に魔法を使っただろ?」
「いいえ。 そのような記憶はありません」
「とぼけんなよ。 御神木が村中のマナを取り込んでんだぞ?」
「貴方の話す内容が意味不明ですね。 御神木は地底からマナを吸い上げ浄化し、そのマナを放出しているのです。 事象の反転などあり得ません」
カスペルの反応に違和感が残る。 どうにも嘘偽りを述べてはいないようだが。
「何を言ってんだよ。 マナの動きを観測できねぇのか……?」
「マナの乱流自体はおなしなことではありません。 元来そういうものでしたから。 問題は、貴方の不用意な行いが私の調整を狂わせてしまったことです。 長年かけて積み上げた村の安寧を、貴方が破壊してしまったのです。 そこまでして果たしたい野望があるのでしょうからでめて私も抵抗を……と思ったのですが、それすら超えてくる貴方には賞賛しかありません。 あくまで、賞賛にとどまるのですが」
カスペルの語尾から、幾許かの余裕が感じられた。
(なんだ……?)
ハジメがカスペルに注視していると、変化は周辺から生じ始めた。
ぬらり。 漆黒の空間に立ち上がる存在がある。 それも複数。 操り人形にも似た釣り上げられ方を見せる、異形の集団。 カスペルの態度は、これを準備できていたからだろう。
「そいつらは俺が、確実に……」
「私の魔法を解除したことで満足してもらっては困りますね。 再度魔法を付与すれば良いだけの話です。 ……さて、ここからどうしますか?」
異形の肉団子は、目に見える範囲でも三体。 不気味に佇むだけのそれは、カスペルの一声によって予備動作もなく動き出すだろう。
ハジメは自らの内側に意識をやった。
(マナは……まだ枯渇していないみたいだ。 さっきのマナ乱流を制御できなかったのは、何か別の要因だな。 と言っても、こいつらを殺すには不十分なマナ残量かもしれない……。 それに、カスペルを含めて相手をするのは、前回とは比にならない難易度だぞ)
前回異形の集団は、墓所の奥から襲いかかってきた。 しかし現状は、全方位を囲まれているに等しい状態。 難易度の桁が違う。
「ん……」
目を覚ましたのか、管理人がカスペルの足元で身じろぎをした。
(ああ、クソ。 お前が目覚めると、状況は更に変わってくるだろ。 これじゃお前に嘘をつくことになる)
「面倒事が生じる前に、貴方は処分しておきましょう。 では、そこの男を殺しなさい」
カスペルは管理人の参入を許したくないのか、行動を急いでいるようだ。
「チッ……!」
ハジメは両手にマナを集中して構えた。 その姿に歓喜したかのように、異形たちが殺到し始めた。
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作者の執筆力に繋がりますので、ギモン・シツモン・イチャモンなど、良いものも悪いものもどうかご意見よろしくお願いします。