第127話 神、アレイ
「そんなこと……許されていいはず、ないだろ……」
ハジメは絶望のままに膝から崩れ落ちた。
先程までの幻覚は消え去り、ハジメの目の前にエマは居ない。 彼女が居るのはずっと先、小高い木の上。
風によってぶらりぶらりと揺られるエマは、全てを自然に任せた動きしか載せていない。 そこに人間的反応は無い。
「あ゛、ァああ゛……」
ハジメの喉から漏れるのは、乾いた悲鳴のみ。
遠くからでも見える、エマの見開かれた虚ろな目。 だらしなく口を開いたまま、全身を重力に任せている。 支えとなるロープは、今なお彼女に首を締め続けているだろう。
「なん、で……」
ハジメは震える身体を無理矢理に押さえつけながら立ち上がった。
「……ごめん……ごめん……ごめん……──」
よろめく身体を押して、ゆらゆらとエマの元へ。 亡霊のような足取りで、呪詛のように謝罪の言葉を吐き続けながら。
「救わ、ないと……」
『もう死んでいるのに?』
ハジメの中の誰かが言う。
「まだ、生きているかもしれないんだ……」
『そうは見えないけどな。 たとえ奇跡的に助かったとして、実生活に戻れるのか? 良くても脳死状態だろ?』
「どうして……死んでいる前提なんだ……?」
『どうして生きている前提なんだ?』
「俺が助けた命なんだから……生かし続けないと駄目だろう……!?」
『助けた? 傲慢だな。 その人生が嫌で自殺したんだろ? 察しろよ』
「……俺が余計なことを言ったから、なのか?」
『お前が余計なことをしてエマの人生を無茶苦茶にしたんだ。 モルテヴァで死なせておくべきだった。 ロヒル街道で、壊れたまま放置しておくべきだった。 だからここで死なせておくべきだ』
「放っておくのか? そんな、酷いこと……。 まだ生きてる可能性も……」
『死んでるさ。 お前が殺したんだ。 お前の無意識な悪意が、エマを死に追いやった。 酷いのはお前だ。 エマがそんなやつに助けられたいとでも思うのか?』
「死んでさえいなければ、ポーションでも魔法でも使えば……」
『肉体の傷は癒えるかもな。 だが、心の傷はどうだ? そっとしておいてやれよ。 エマはちゃんと死を選べたんだから、その選択を尊重してやれよ』
「そ、そんな馬鹿な話があるかよ……! 尊重される死って何だよ!? 生き抜いてこその死じゃないのかよ……!?」
『それはお前の理屈だろ? だが、エマは違ったんだよ。 お前みたいなメンヘラ殺人鬼が近くにいたんじゃ、死にたくもなるだろうよ』
「嫌だ……エマ……エマ……」
『助けるのか? 無駄なことはやめとけよ』
木の根本にたどり着いたハジメに、内側の誰かは絶えず語り続ける。
「エマ……駄目だ……エマ……許してくれ……エマ……エマ……エマ……」
ハジメは内側からの声が聞こえているのか聞こえていないのか、ただひたすらにエマの名前を呼び続けながら木を登り始めた。
「ほら……見ろよ……? エマ、笑ってる……! エマがこっち見て笑ってるぞ……!?」
『何言ってんだ? 瞳孔が開き切って、頸椎なんてもう伸び切ってるだろ。 到底正常な人間の形状を保ってねぇよ』
「ほら? 手を振ってる……! 全身を揺らして俺を呼んでる……!」
『風に揺られてるだけだ。 いい加減に現実逃避はやめろよな』
「嘘だッ! だってこんな……!」
ハジメはようやくエマに接近し、彼女の足に触れた。
「こん、な……」
『どうした? 随分と冷え切ってるじゃねぇかよ。 生きてる人間が、こんなに冷たいかよ?』
「い、いやいや……。 ちょっと冷えただけだっての……! 暖めてあげたら、すぐに戻るさッ! な? エマ、何か言っても良いんだぞ……?」
『死人は喋らねぇよ』
「ま、まぁ、さっきは喧嘩みたいになったしな……! 口を聞いてもらえるなんて思ってねぇよ……! とりあえず、な? エマ、下ろすからな? 俺に掴まっててくれよ?」
ハジメは木に身体を固定しながら器用に魔導書を取り出し、エマの身体を軽くしたり身体強化魔法を掛けてみたり、色々な魔法を適用させて見せた。
「じゃあ、エマ……? 一緒に降りよう。 ……な? は、はは……。 ま、まだ一言も喋ってくれないか……! こ、こればかりは仕方ないよな!? だって俺、エマには酷いこと言っちゃったしな……! と、とにかく今は降りることが先決、な……?」
『お前、気付いてるだろ? 狂ったフリしてそっちの世界で生き続けるのか? 無理無理、無理だっての。 どうせすぐに現実に引き戻される。 諦めろ』
ハジメは引き攣った顔のまま、申し訳なさを取り繕いつつエマをロープから外した。 そしてエマを落っことさないように注意しながら、ゆっくりと木を下る。
「そ、そうだ……。 えっと、こんな時は、まずは脈とか呼吸の確認……だよな? ……あ、え……次は、何を見たら……」
何も、感じられない。 鼓動も、呼吸音も、生命兆候を示すあらゆるものが存在しない。
『無いだろ、何も。 ほら、次はなんだ? 何を確認したらお前はエマを死んでると認識できる? 無茶苦茶に壊してみて、それで反応が無かったら死んでるとか言い出さないよな?』
「……うるッっせぇえんだよ!!! てめぇは黙ってろよ! ごちゃごちゃ俺の頭の中で騒ぐな!!! くだらねぇこと言ってないで、てめぇも解決策くらい提示して見せろよ!!! ぶち殺すぞ……!?」
『おー、威勢がいいね。 じゃあ仕方ねぇ。 魔導書を開け』
「……は?」
『助けたいんだろ? 俺がお前に解決策を教えてやる。 安心しろ、嘘は言ってねぇよ』
「助け……られる、のか?」
一瞬、ハジメの目に光が戻った。 これが幻聴だと分かっていても、縋り付く藁があるだけで一縷の希望が見える気がした。 しかしそれと同時に、現実はエマの死を問答無用で叩き込んできていた。
「……エマ……? え、なんで? は? おい!!! 何か勝手に死んでるんだよ!? あ゛あぁあああ……! あっ、駄目だ! 死んじゃ駄目だろぉおおお……!???」
『本当に狂ってるか、狂ってるフリしてるのかどっちかにしてくれ。 エマは助かる。 それは俺が断言してやる。 だから、落ち着け』
「……は? は? 落ち着けって……!? 今もエマは死に続けてるんだぞッ!? 心停止したら、1分毎に生存率が10%ずつ……ゔぉエエエ!?」
『それはアース世界での話だろ? ここアルスなら、エマを救える』
「……本当か!? ほ、本当なんだな!?」
『約束してやる。 だが、お前にも約束してもらうことがいくつかある。 ……乗るか?』
「ああ……! エマを助けられるなら何で……も……」
『どうした?』
「……お前は、誰だ?」
狂い掛けていた思考が、ハジメは少しずつ平静を取り戻し始めていた。 脳内で語りかける声がハジメ自身の声に似ていながらも、どこか機械的に合成されたようなものに思えてきた。
『ああ、俺か。 俺は──』
何者かの声が、徐々にハジメのものからかけ離れていく。 厳格で力強く、魂の奥底にまで響くような。
『──神、アレイ』
「……なんだと!?」
『俺は神の末席を汚す、世界平定を願う者。 来い、話をしよう』
ハジメの意識が、強大な存在の空間へと引き摺り込まれた。
▽
白い空間──。
ハジメは既視感がある。 ツォヴィナールと接続した際の感覚にも似ている。 しかし、明確な違いがある。
「なんだ、ここ……」
地面には無数の武具。 剣や盾、鎧、その他到底武器には見えないものまで、木製から金属製も含めて様々な種類が設置されている。
「よぉ」
声の主は、ハジメの背後にいた。
「あなたが神アレイ、ですか……?」
恐る恐る振り向いた先には、鍛え抜かれた体躯を持つ男が一人。 身長はゆうに2メートルを超え、赤い装束を袈裟のように纏っている。 灰色の髪は顔面の上半分を覆い隠し、鼻先と口元しか見えていない。 左手には鷲の紋様が描かれた黄金の盾を、右手には獅子を思わせる紋様の描かれた黄金の十字剣を携えている。
「ああ、俺がアレイで間違いない。 そう畏まるな、楽にしてくれ」
「少し親近感がありますね……」
「お前の人格を参考にしてるからな。 そうでもなければ、こうしてこの世界に接続できていない」
「……?」
「まずは本題だ。 さっき言った通り、エマは助けてやる」
「あ……本当ですか!?」
「ああ、神に二言はない。 ただ……分かってるだろう?」
「……代価、ですね」
「当然だな」
「ですが、どうして今……」
神の出現は、あまりにもタイミングが良すぎる。 ご都合主義的な展開に、ハジメは違和感を禁じ得ない。
「まぁ、怪しむのも無理はない。 だが、俺が神ということは疑いようのない事実。 そうだろう?」
「それは否定しませんが……」
「俺を疑ってるのか? お前が危機的状況に陥った時に現れて都合のいい話をふっかけるのは、詐欺師のやり口には違いないか。 俺も俺で思惑はあるし、それは否定しない。 だが、俺の出現時期は偶然だ。 いや、違うな。 お前の行動が、俺を顕現させたという方が正しいだろうな」
「すいません、理解できてないです……」
「お前がどうしてこうなっているか、全部を聞かせてやる。 俺をこの世界に呼び寄せた礼だと思え」
「お、お願いします」
アレイは地面にどっしりと座り、長話になることを予感させる。
「お前の生い立ちは全部知ってる。 そう仕組んだのが俺だからな」
「えっ……?」
「最初から全部話してやる。 落ち着いて聞け」
「は、はい……」
さらっと重大発言をされてハジメは固まってしまう。
「まず、お前をこの世界に呼び込んだのは最高神だ。 そこは間違いない。 彼の者はお前が右道へ入るように仕組んだ。 ここまでは彼の者の思惑通りだが、そのままであればお前は神の尖兵と成り下がっていただろう」
「ナー……いえ、誰かもそう言っていましたね」
「言っただろう、知っていると。 お前がツォヴィナール神と連んでいることも、中道マディヤマーに属していることも、接続が解除されたことも全部な」
「そう、でしたね……。 すいません」
ハジメは全てを見透かされていることに恐れを覚えた。 軽口を叩いているように見えるが、目の前のアレイは神なのだ。 いくら精神世界にいるとはいえ、機嫌を損ねて被害を伴わないとも限らない。
「ところで、お前は彼の者をどう捉えている?」
「それは、えっと、一番偉い神様というくらいの認識ですが……」
「神様、か。 俺らはそれに該当するが、彼の者は少し違うな」
「違う、とは……?」
「彼の者と表現してはいるが、あれは存在という概念を飛び越えて機構──お前の言葉で言うとシステムというものに昇華してしまっている。 今や彼の者は、この世界を取り戻そうと機械的に命令を実行する装置に過ぎない」
「装置……」
「言ってしまえば、単純に命令を下すだけの指令系統と言ったところだな。 多くの神は盲信的に彼の者の命令に従うが、全てがそういうわけではない。 ダヴス神やツォヴィナール神、そして俺のような者はシステムを疑うだけの思考を備えていて、独自の判断もする。 神の世界も、なかなかに複雑ということだな」
アレイは続ける。
「お前の召喚は、彼の者の下した命令に沿ったものだ。 その命令は、下された時点で完遂されている。 何故だか分かるか?」
「いえ、分かりません」
「お前が召喚されれば、自然な流れで完璧な神の尖兵が出来上がる道筋が用意されていたからだ。 だが、そうはなっていないな? これは、ツォヴィナール神では理解できなかった内容だ。 あいつはここに無関係だから、憶測で話すしかなかったはずだ」
「確かに、そうだったと思います。 では、召喚に際して不具合か何かがあったのですか?」
「不具合ではない。 俺が、介入した」
「……」
突如、内容が不穏になってきた。
(全ての元凶は、アレイ神か……? 俺が不遇な状況に追い込まれたのも──)
「やめておけ。 ここでは思考も全て筒抜けだぞ?」
「え、あ……」
「俺が介入したと言っても、本筋は大きく書き変わっていない。 お前が使徒化する可能性を大幅に低めたばかりか、むしろ人生の自由度を上げたとも言えるな。 その結果、お前の判断に従った末路が展開されただけのこと。 俺を責めるのは少し違うな」
「すいません……。 あ、あの……いいですか?」
「ああ」
「どうしてアレイ神は俺の召喚に噛んだのですか?」
至極当然の疑問が湧く。 恐らくそこに、アレイ神の意図が隠されているのだろう。
「この世界を得るためだ」
「どうしてでしょう……?」
「神の格は、支配領域や信仰の規模に応じて増減する。 世界規模で支配を実行できる彼の者の力は絶大であり、唯一神と言っても過言ではないほどの影響力を持ち合わせている。 それはそのまま多数の世界を支配することにも繋がり、支配権は更に力の増大に繋がる。 あのツォヴィナールでさえ、今では下級神にまで堕ちてしまっているしな」
「アレイ神も、力を得ようということですか……」
「有体に言えば、そうだ。 だが、それだけではない」
「と、言いますと……?」
ハジメは続きがどうしても気になってしまう。 この世界の実情は思った以上に複雑であり、ここで十分な情報を得なければ後の人生に弊害さえ出かねない。
「彼の者は、勇者召喚機構を作り上げた時点で思考を止めていると言ってもいい。 使徒たる勇者を召喚し続ければ、この世界を掌握できると確信してしまっているからだ。 だが、機構も完全ではない。 その不完全な隙を突かれて、ダヴス神の蠢動を許してしまっているしな。 同じく、俺のような神の介入さえも」
「俺以外にも、召喚で不具合が起きていると?」
「そうだ。 王国の先代勇者ソラ=テシガワラ召喚に際してダヴス神の介入が行われたことで、その者は左道に流れているからな。 これは信仰の低迷によるもので、とりわけ王国においては顕著な例だ。 だからこそ、王国の勇者召喚で不具合が生じ続けている。 一方、帝国では信仰の厚さから勇者召喚では目まぐるしい成功を遂げている。 彼の者は完璧を信じるが故に、失敗するその時まで失敗には気がつかないだろう。 その失敗はアルス世界を手放すことに繋がり、彼の者の存在の根底を覆すことにもなりかねない。 そうなればアルス世界だけでなく、関わりのある世界──アース世界の崩壊にもつながる」
「なる、ほど……」
想定以上に壮大なスケールに、ハジメはただただ驚くばかり。 もはや、ハジメの行動は個人的な内容に留まらない。 ともすれば、地球を含めた複数の世界を失うことにすら繋がる。
「アルス世界は、そこまで重要なのですか?」
「アースとアルス、この両面世界ほど完成された場所はほぼ皆無だ。 ここを獲るということは、絶対神たる力を得ることと同義。 それほどの価値がある」
「ダヴス神に奪われるわけにはいかないわけですね」
「いかにも。 どうあっても、ダヴス神が上に立つことは避けなければならない。 あれは、全てを無に帰そうとしている。 あれに世界を奪われるくらいなら、彼の者が支配していた方が遥かにマシだ。 俺も別に、彼の者を侮っているわけではないからな。 最悪を回避するために、こうやって策略を巡らせている。 ツォヴィナール神も、俺に近しい考えだろうな」
「俺のこれまでは、不完全な機構が招いた予期せぬ結果ということですか……」
「そこに彼の者の奇跡が大いに関わっていたことは事実だがな。 とはいえ、たかだか人間如きが、神の奇跡を跳ね除けるほどの力を獲得できるとは思えない。 したがって、お前の行動次第で如何様にも結果を変えられたとは言えんな。 かなり過酷な状況の中で、よくやった方だとは思うが」
「そう言ってもらえると、少し救われます……」
神からの言葉は、ハジメの心に深く染み渡る。 これまでの選択が、決して間違いばかりではなかったと信じさせてくれる。
「ですが……」
「エマという小娘のことか。 あれは、お前ではどうにもできんな」
「そう、ですか……。 あの時俺の中で話していたのも、アレイ神なのですよね?」
「厳密には違う。 エマの破壊を機に、お前の中に出現した別人格と言うべきか。 実際は別人格と言うわけでもないが、精神崩壊を回避する目的で形成された精神状態ではあるな。 あれを基礎として、俺はこの世界に接続を果たしている」
「やっぱり俺は、精神がおかしくなっていたのか……」
「無理からぬことだ。 とにかく、エマのことは任せておけ」
「ありがとう、ございます……。 俺は、何を差し出せば良いでしょうか?」
「お前の、大切なものだ」
アレイ神の発言によって、ハジメはこれまでの印象が一変した。 優しい神から悪魔に変わったという具合に。 代償を支払って対価を得るのだから、悪魔も神の奇跡も大した違いは無いのかもしれない。
「大切なもの……。 それは一体、何を指すのですか?」
「俺が指定するものでもない。 大切だというものを、お前は失うだけだ。 お前を含めた誰かの命ではないということは、明言しておこう」
「ッ……」
これは正当な要求だ。 エマの命を救うには安すぎる対価かもしれないし、命を取られないだけ十分に良心的だ。
ハジメは懊悩する。 これまでの人生を振り返って、要所要所で大切なものが多すぎた。 特にアルス世界にやってきてからは、他人との繋がりなど目に見えないものへの感謝が無数にある。 失ってきたものの方が多いだろうが、現在ハジメが持ち合わせているあらゆるものも失いたくはない。 しかし、目の前のエマも大切だ。 悩む必要さえ無いはずなのに、どうしてここまで悩んでしまうのか。 この悩む心が、最も大切なのではないか。 結論が出ないが、やるべきことは一つしかない。
「お願い、します……。 ただ、どうか──」
エマを大切に思う心だけは奪わないで欲しい。 ハジメは切に願った。 そう思ってしまうことで、この感情を奪われるかもしれない。 その恐怖は計り知れない。 しかし、これこそハジメの本心だ。
「それは俺の判断するところではない。 ただ、お前の心に巣喰う悪しき感情を幾許かもらっておいてやろう。 そうすれば、お前が奪われるものの重さも軽くなるかもしれんしな」
「感謝します……。 心から、感謝を……!」
「そう感謝し過ぎるな。 お前はツォヴィナール神の関係者として、今後俺とぶつかる可能性もある。 敵同士となって心が揺るがぬよう、感謝はほどほどにしておけ」
「そういった可能性も……ありますか。 そうならないことを願いたいです。 それでも、感謝は忘れません」
「義理堅いやつだ。 知っていたがな。 ともあれ、これからもお前の人生は苦難の連続だろう。 お前には餞別として加護を施しておく。 役に立たない可能性も大いにあり得るが、俺の気持ちとして受け取っておけ」
「感謝します、アレイ神……!」
「近しい未来、良き関係で相見えることを期待している。 さらばだ」
空間は薄れ、ハジメの視界は白濁していく。
意識の途切れる最後まで、ハジメはアレイ神に感謝を念じ続けた。
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作者の執筆力に繋がりますので、ギモン・シツモン・イチャモンなど、良いものも悪いものもどうかご意見よろしくお願いします。