第118話 街道戦線
「同志ラオロ、失礼しやす!」
焦りを含んだ大声が、激しく扉を開いた。
「同志マルメド。 どうしたんだ?」
「組合の連中が、攻めてきやがりました!!!」
その言葉に、屋内の下っ端連中が特に色めき立つ。
「予定ではもう少し先の話じゃなかったか? というか、攻めてきたって言ったか?」
「ベルマリットのババアが、大勢の魔法使いと魔法騎士ビューフォートを連れて暴れてやがるんです!」
「あの振動はそれが原因か」
「あと……!」
「なんだ?」
「同志カイヤザがそいつらに襲われまして……」
「そいつを先に言えよ? 相手が誰とかは後回しでいいだろうがよ」
「も、申し訳ありやせん……!」
「んで、同志カイヤザは無事なのか?」
「同志ディロケを伴っていたはずなんですが、詳細は不明で」
「ああ、それなら大丈夫か」
「だと、いいんですがね……」
「じゃあ同志マルメド。 お前はここの人員も含めて部隊を編成し、敵集団を分断させろ。 各個撃破できる状況が形成されるまでは、早まった行動は絶対にするな」
「承知しやした」
「鴨がネギを背負ってきたんだ。 焦らず行け」
ラオロは必要なことを的確に伝えると、再びシノンに向き直った。
「ということだ。 しばらく荒れるかもな」
「君は行かなくていいの?」
「ああ、俺が出るまでもない」
「へぇ、そうなんだ」
「そんなに出ていって欲しいのか?」
「逃げたいからね」
「そうはさせねぇよ。 お前たちにはまだ、使い道があるからな」
「あらら、残念」
「同志ラオロ!」
「何だ!?」
今度もまた、大声が屋内に響き渡った。 先程のマルメドとは別の男が、血相を変えて雪崩れ込んできている。
「ハァ、ハァ……! 同志ラオロ、非常事態です!」
「組合の連中だろ? さっき聞いたんだが」
「い、いえ、違げぇんです! 魔物が! 無数の魔物が街道に攻めてきました! それもすげぇ数で、あちこち被害が出始めてます!」
「ちっ、次から次へと。 ……何だ、お前?」
非常に面倒そうなラオロを見て、シノンが笑みを深めている。
「面白くなってきたね」
「これもお前の仕業か?」
「いやいや、無理があるでしょ」
「じゃあ何が面白いんだ?」
「君たち組織が、どれだけ対応できるのかなーって。 楽しみにしてるだけだよ」
「うざい女だよな、お前」
「よく言われるよ。 だからもう一つ、面倒ごとを追加してあげるね」
「は? 何を言ってやが──」
ラオロの怪訝な視線は、シノンの口から零れ落ちた魔石に釘付けになった。 魔石の落下する先には、シノンの右手が見える。 縛られていたはずの両手は、いつの間にか解かれている。
魔石がシノンの右手掌で跳ねた。 その瞬間、手掌にうっすらと魔法陣が浮かんだのを、ラオロは見逃さなかった。
「──お前、まさか」
「正解は、身をもって体験してちょーだいな」
シノンは魔法を手掌に刻印し、普段は特殊な塗布剤で覆い隠している。 その刻印が、魔石のマナに触れたことで活性化した。
シノンは右手を魔石ごと地面に叩きつけた。
刻印された無属性魔法の《壊》によって、途端に地面が崩壊を見せ始める。 無属性は、ヴェリアで生み出された人工の属性。 属性成分を取り除いて魔法効果のみを抽出した、純粋な力の結晶。
「んなッ!?」
崩れる足場にバランスを失っている間に、シノンはぴょんぴょんと跳ねてエマに接近して彼女を抱えた。 再び取り出した魔石とともに壁を殴ると、そこからまた部屋の崩壊が始まった。
「じゃあねー」
「おま、待ちやがれ……!」
ラオロは急いで魔導書を取り出したが、それ以上に崩壊する足場から離れるので手いっぱいだ。 その間にシノンは悠々と逃げ出している。
崩壊の連鎖によって、ラオロの同志が次々と割れた地面や降り注ぐ天井に潰されていく。
「あの女ァ! 《紫炎》!!!」
ラオロの手から放たれる、紫色の豪炎。 真上に向けられた炎は放射状に拡散し、建物の天井をまとめて吹き飛ばした。
「お前ら、まずは安全確保だ。 その後、組合の排除に回れ」
「「「はっ」」」
ラオロは救助を行いつつ、次の行動を思案する。
「刻印か、見落としてたな。 まんまと一杯食わされたってわけだ。 あれをただの女とみくびってた俺の落ち度だな」
「同志ラオロ、あなたの責任では……」
「慰めは不要だ。 でもまぁ、あの女にはアジトを破壊されたが、こちらの戦力を大幅に削られたわけでもない。 損害を最低限に抑えられたと思えば、安いもんだよな」
「同志ラオロさえ残れば、そこまでの損害には当たらないかと」
「今は、な。 お前も魔法使いを始末すれば、俺と同等まで価値を上げられる。 頑張りな」
「はっ」
「さて、こうなった限りは、俺も組合を狩るか。 せっかく向こうから魔導書をもってきてくれたんだ。 奪って有効活用してやらねぇとな」
ラウンジにとって魔法使いは敵であるが、それ以上に魔法技能を簒奪できる相手でもある。 魔法を奪われる可能性に、組合は未だ至っていない。
▽
「う、ん……」
「お、ようやくか」
若き行商マトべは目を覚ました。 腰の鈍痛を感じながら、散らばった意識をかき集める。
「あんた、大丈夫か?」
「君、は……?」
「俺はハジメ、魔法使いだ。 あんたに襲いかかった魔物は全部倒した」
「ほ、本当か!? あ痛ッ!」
マトべは動こうとした痛みで、一気に思考がクリアになった。 周りの景色が見えて、状況を徐々に飲み込み始める。
小型の馬車は倒れてしまっている。 馬は近くの木に括り付けられており、馬車は木々にもたれかかるように傾いている。
「もうすぐ夜だ。 こんなところを進むのは危ない」
「そうか……。 でも、追われてたんだ。 君も早くここを──」
マトべはそこまで言って、ハジメの身体の状態を見た。 右腕は捻れ、左足は出血が激しそうだ。
「君……大丈夫、なのか?」
「どうだろうな。 まともに動けるかは微妙だ」
「すまない、僕のために……! ああ、そうだ。 僕はマトべと言う」
「気にするな。 それでマトべ、あんたはどうして魔物に追われてたんだ?」
「僕は街道で商売を終えて、明日にでも帰るところだったんだ。 だけど、何やら動物たちが騒いでいてね。 急いで荷物をまとめて逃げてくる途中、魔物に追いつかれたというわけなんだ」
「追いつかれる……?」
ハジメは何やら深刻な顔をして考え込んでいる。
「魔物の群れが、ね。 街道に向かってきたんだ」
「っ!?」
「そう。 驚くよね。 街道は魔法使いが常駐してるみたいだから魔物騒動なんて聞いたことなかったんだけど、なんだか魔法使いが失踪してるみたいでさ。 その影響だろうけど、大量の魔物が街道に抜けてきたんだ。 僕はなんとか間に合ったけど、街の人はどうなのかな……」
「そう、だったのか……」
「ハジメ、君はどうしてここに?」
「あ、ああ……えっと、俺はハンターだ。 魔物を狩ってたんだ」
「そうだったのか。 そのおかげで僕も助かったんだから、君には感謝しないとね」
「いいんだ、気にしないでくれ……」
「いや、そういうわけにはいかない。 何か礼をさせてくれ! 馬も面倒を見てくれたみたいだし、僕が意識を失っている間も警戒をしてくれてたんだろう?」
「そう、だな……。 それなら傷を癒したい。 魔物がいるなら街道にも向かわないとならないし、治癒ポーションがあれば分けてくれないか?」
「ああ、それならっ」
マトべは傾いた馬車の幌から中を覗き、小瓶サイズの治癒ポーションを出してきた。
「すまない、これしかないんだ。 君の傷だと、多分足りないと思う。 だから提案なんだけど」
「なんだ?」
「患部に使用すれば、腕か足のどちらかはある程度治るだろう。 飲んだとしても、どちらの治りもそこまで期待できないはずだ」
「何が言いたいんだ?」
「馬車はなんとか使えそうだ。 君はポーションで腕を治して、君の足は馬車で代用する。 そうして馬車を警護してもらえるなら、安全な町まで運んであげられるだろう。 そうすれば、十分な治療も受けられると思うんだ」
「なるほど、そういうことか。 だけど、すまん……」
「悪い話じゃないだろう?」
「ああ……。 魅力的な提案だけど、街道に仲間がいるんだ。 助けに行かないと」
「あ、そうなんだね……。 僕の都合ばかり話して悪かった」
マトべは悲しそうな表情のまま、ハジメにポーションを預けた。
「ありがとな」
「いいんだ。 助けてもらったからね」
「……マトべはこれからどうする?」
「街道には戻れないから、このまま西の町まで進むしかないね。 襲われずに済めば、数日以内には安全な場所まで辿り着けると思う」
「大丈夫、なのか?」
「さて、どうだろうね。 当座の物資はあるけど、今回は逃げるのに必死で護衛を捕まえる余裕はなかったから」
「そうか……」
ハジメはしばらく悩むと、ポーションを左足の傷口に振り掛けた。 マトべはそれを見て、嘲るように表情を崩した。
「馬車を起こそう。 ギリギリ倒れてないから、ロープの類があれば元に戻せるはずだ」
「そうだね。 助かるよ」
マトべが馬車上の縁の前後にロープを掛けて、それらを固く縛る。 ハジメと一緒に力一杯引くことで、馬車は徐々に正しい位置に戻り始めた。
「こな、くそ……!」
「ハジメ、もう少しだ! 頑張ってくれ……!」
「ああああ!」
ハジメは慣れない左腕でマトべを手伝いながら、数分かけてなんとか馬車を引き起こした。
「車輪は折れてないし、走ることはできそうだ」
「それは良かった……」
「もう一度聞くけどハジメ、雇われてくれるつもりはないかい?」
「それは──」
「いや、ごめん。 悪いことを聞いたよ。 仲間が金銭に劣るわけないのにさ。 すまない忘れてくれ。 生き残りたい必死さに、ちょっとおかしくなってたみたいだ」
「こちらこそすまん」
「いいんだ。 こうなったのは僕の運が悪かっただけだ。 ハジメは何も悪くないよ」
マトべは急いで馬を定位置に据えると、御者台に飛び乗って手綱を引いた。
「僕は行くけど、ハジメも気をつけて」
「マトべも無事に帰れることを祈ってる」
「じゃあ、達者で」
ハジメは夕闇の中で不安そうに走り出した馬車を見送る。
「俺のせいで申し訳ない、マトべ。 ……そろそろいいぞ、“姿を見せろ”」
従順な黒豹が、森の中から姿を現した。 マトべが驚かないように、ハジメが指示して隠れさせていたのだ。
「《乱律》」
ハジメは魔導書にそこそこのマナを込め、黒豹に魔法を重ねがけした。
「“マトべはもちろん、誰にも気づかれないように馬車を警護しろ。 マトべが安全に町に着いたら、お前は森の奥深くに帰れ”。 いいな? 分かったら行け」
黒豹は肯定の仕草すら見せず、機械にように森の中へ身を翻していった。
「これで多分、大丈夫だ。 罪滅ぼしには少ないだろうけどな……」
ハジメは使い物にならない右腕への懸念を抱えつつ、街道があるであろう東へ走り始めた。
「マトべに付かせたのは失敗だったか? 足代わりになる魔物が全然いねぇ……」
魔法影響により魔物が森からこぞって出払ってしまったためか、ハジメは驚くほど魔物に遭遇しない。
「ハァ……ハァ……。 くっそ、急がなきゃならねぇのに……!」
ここまでの失血も少なくはない。 ポーションで傷を癒したとはいえ、失った体力までもが戻るわけでもない。
(マナ総量はあるのに、体力が絶望的だな……。 《強化》を掛けても、素体である俺の体力がなきゃ意味ないな。 フエンちゃんみたいな移動魔法が欲しいところだ)
ハジメが急ぐのは、自分がやらかした不始末を処理するためだ。 マトべの話が事実であれば、ハジメが何気なく発動した魔法によって魔物被害が出ている。 数十数百の手に負えない魔物たちが街道の住人を蹂躙しているはずだ。 街道の魔法使いが失踪している事実も相まって、被害は甚大だろう。
「急げ、急げ……!」
ハジメはひたすら東に進み、森林の間を走る道を抜けた。 しかしまだ、目の前には丘陵地帯が幾重にも広がっている。 常人を遥かに凌駕する身体能力で以てしても、未だ街道には程遠い。
「あいつら、俺をどこまで運んだんだよ!?」
ハジメはヴィシャ兄弟にキレるが、今はそれを言っても仕方がない。
「もう無理だ、こっちから動かねぇと」
今回も相当量のマナを込め、またハジメの元へ集結するように意思を込めて魔法を発動。
「《乱律》……ぐあッ!?」
ギィィィ──ン……。
「絶対身体に悪いだろ、この振動……」
頭痛に苛まれながら、街道にまで届くことを期待した魔法が超音波を響かせる。
程なくして集結の様相を見せる魔物。
「来たか。 だけど……」
それほどの数が揃っていない。 街道の側からやってくる魔物もいない。 これが示唆するのは、街道まではまだ相当な距離があるということ。
「《乱律》……ああッ、脳に響く! “そこのお前以外は森に戻れ”」
ハジメは手頃な魔物を近くに寄せると、他の魔物を全て捌けさせた。
今回残したのは中型の猪型の魔物。 角など掴む部分はなく乗り心地が悪そうだが、一番マシなフォルムをしたのがこいつだった。 またもや獣臭さが異常だが、今は急を要する。
「《強化》。 頼むぞ」
ハジメは猪の背中にしがみついて街道を目指す。
▽
「ベン殿? どうされましたか?」
カイヤザに斬り掛かったベン。 攻撃後の姿勢から動かない彼を見て、ベルマリットが心配そうに声を掛けた。
「逃げられたが? 話とは違うではないか」
ベンの嵐を纏った騎士剣。 文字通り災害級の痕跡が周辺に刻まれたわけだが、そこに人間を切った感覚は一切なかった。
「本当に逃げられたのですか?」
「そうだ。 あの男が何かをしたというわけではなかったし、我の攻撃に驚いたという様子もなかった。 だが、確実に姿を消した」
「魔法を使える仲間がいたということでしょうか」
「失踪した魔法使いたちが裏切り、ラウンジに付いた可能性は?」
ベンの指摘に、ベルマリットは驚きつつも即座には否定できなかった。
「……あり得ます、ね。 失踪した中に、サーニラという人間を移動させられる者が一人いましたから。 彼がサポートしているのであれば、カイヤザが消えたことも説明がつきます。 他の可能性も十分に考えられますが……」
「ラウンジがいくら集まったとて、組合の魔法使いが遅れをとるとは考えられぬ。 だが、裏切り者がいたなら話は別だ。 街道勤務の者で、離反の兆候を示していた者は?」
「おりません。 定期的に記憶の提出を義務付けていましたので、それは断言できます」
「不自然に記憶が弄られていた者は?」
「そちらも同様に。 ベン殿、私どもをあまり疑わないでいただきたいですね」
「可能性は全て考慮すべきだ。 失踪した魔法使いの魔法を、可能な限り教えてもらおう」
「それは……」
「守秘義務がある、とでも言うのか? 組合の魔法使いが謀反を起こしている可能性を、我は予め聞かされていなかったのだが?」
ベンの皮肉るような物言いに、ベルマリットは当惑する。
「それはそうですが……」
「信頼関係を構築できないのであれば、我は帰還させてもらう。 準備不足ということを、我は心底毛嫌いしているのでな。 どうする?」
「……畏まりました、こちらの持つ情報を全て提示します。 失踪した魔法使いは──」
ベルマリットは失踪した各人の属性と特性を伝える。
火属性で紫炎魔法を得意とするフレナ。
風属性で暗殺を得意とするルヤ。
土属性で防壁魔法を得意とするメルゲ。
光属性で光陰魔法を得意とするライオット。
闇属性で精神操作を得意とするゴーズ。
闇属性で状態異常を得意とするオルファ。
「──そして、空間属性で移動魔法を得意とするサーニラ。 以上の七名となりますね」
「愚かな……。 空間属性など引く手数多だろうに、このような場所で勤務させるとは。 ベルマリット、貴様の人員配置はどうなっている?」
「面目次第もありません」
「ひとまず、七名全員がラウンジに協力しているという前提で作戦を組ませてもらう」
「それは、いくらなんでも……」
「ラウンジが魔法使いを用意している可能性がある以上、最悪を想定するべきだ。 違うか?」
「違いませんが……」
「非魔法使いだけでは、訓練された魔法使いを圧倒することは難しいだろう。 しかしそこに魔法使いが加わったのであれば、話は変わってくる。 先程の七名のうち誰を手に入れても、ラウンジは他の魔法使いを御し得る手段を見つけられたはずだ」
「ええ、そこに異論はありません」
「では、日和見主義はやめてもらおう。 現場での動きは我の指示に従うということで問題ないな?」
「承知しました」
そうやってベルマリットとベン率いる集団が行動指針を定めている様子を、カイヤザは東の丘から眺めている。
カイヤザの隣には、小柄で短髪の男が佇んでいた。 彼は朽ちた灰色の魔導書を手にしている。
「同志ディロケ、完璧だ」
「当然」
「これで組合は魔法使いの存在を警戒するだろう。 遠隔攻撃で一網打尽にされる可能性を加味するならば、彼らは散会して行動するはずだ。 そこを各個撃破していく」
「質問」
「どうした?」
「婆婆。 魔法」
「無論だ。 攻撃禁制空間の存在は厄介極まりないが、そこまで広範囲というわけでもない。 範囲外攻撃によって間接的に攻撃することは問題なく可能だろう。 あちらはそれも理解しているはずだ。 ディロケ、俺をベルマリットの背後に移動させて即座に帰還させることは可能か?」
「範囲内。 無理」
「攻撃の意思を内部の存在に向けること自体が困難か」
「肯定」
「ディロケが頼りだ。 我々は補佐に徹し、確実に作戦成功へと導く」
「承知」
二人が観察する中で、組合の集団に動きが見られた。
「……あの男、厄介だな」
「騎士?」
「ああ。 こちらの意図を見抜いていそうだ。 最善の選択ができる男は、そういないぞ」
集団から離れたのは、魔法騎士ベンただ一人。
「あの男は強化魔法を極めている。 魔法を奪うことは困難を極めるだろう。 かといって、ベルマリットの集団も迂闊に手出しができない」
ベルマリットを中心に、計十三名の魔法使いが各々魔法を展開し始めた。 多種多様な魔法が、ベルマリットの魔法効果範囲と思しき空間内に幾重にも敷き詰められ始めている。 防御を敷いた上で魔法使いたちはそれぞれ外側へ攻撃の意思を向けつつ、ゆっくりと南下している。
「移動要塞か」
ゴォォン──!
「む……。 なるほど、そういうことか」
突如、民家の一つが爆ぜた。 瓦礫と土煙の中から、ベンの姿が露わになる。
「我々が攻めあぐねている間に、魔法騎士の圧倒的攻撃力が街を破壊する。 最高だ、そうでなくては」
ラウンジと組合の戦争が始まった。
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