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第14話 ボッチは疑う。魔法師疑惑



「よ、お疲れ」


「はあ、全くよ」


 毎度毎度自分に思いを寄せる男と向き合ってはあしらうのも大変そうだから、気がついたら彼女に労いの言葉を掛けていた。


 まあもしかすると藤村は慣れているだけかもしれないが、俺からすればああして人を罵倒したり誘いをお断りするのってただ疲れるだけだと思う。


「……それにしても、全部見てたのね」


 ん?このまま通り過ぎていくのかと思いきや目の前の自販機でコーヒー缶を買うと、俺の対面の席に座って一口飲んでからまた喋り始めた。


「悪い、不味かったか?」


 偶然だっただろうが興味本位だったとはいえ勝手に人のプライベートを覗き見するような真似は不躾だったかな。


 けど日常茶飯事の出来事であると物語るかのように首を横に振った。


「まあ、良いわ。どうせあなたに言う友達が居ないでしょ?」


 またあの嗜虐的な笑みが表情に出てきてんぞオイ。


「事実でそんな相手は居ないんだけど、お前にだけは言われたくなかったわ。藤村こそ居ないだろ」


 ただ言う相手が居ないだけだからな。


 まあ居たとしても不必要な会話は趣味じゃないから情報を広めるようなこともしないんだが。


 だがこいつに指摘されるのは何だか癪に障るな。


「別に居なくて構わないわ。それにあなた相変わらずしみったれてるわね」


 サディスティックな笑みを浮かべながら人を揶揄うのその習性ムカつくな。


 それにさっきも人を散々サンドバッグにしておきながら、またそうやってターゲットを俺に変えては弄ってくるのか。


 どんだけ人を罵倒するのが好きなんだよこの女は……。


「自覚してるから良いんだよ別に」


 サンドイッチを完食させたのでゴミになったプラスチック容器を丸めて後で捨てよう。


 とりあえずバナナ&ミルクジュースで喉を潤した。


「そんなことよりも課題の進捗はどれくらいかしら?」


 進捗って完全に上司ヅラだなこの女。


 まさか高校生同士のやり取りでそんな言葉が出てくるとは思っていなかったな。


 けど仕事を任せえたら何となく物凄い速度でテキパキとこなしていきそうだな。


「向こうから来たけど会話はできたぞ」


「ふーん良かったじゃない。今日は合格だけど、たまたま運が良かったわね」


「そうかもだけど運は意外とバカにできない要素だぞ。不確定要素ながらも運の左右次第でその人の進む道が180度変わる可能性もあるからな」


 ──不確定要素だからこそ制御のしようがないのがもどかしいところだが。


 念じて強い風が吹いても、その風を引き起こした原因が自分にあるんだと勘違いするのはただの痛いヤツなだけだ。


 それでも目に見えない様々な確率の変動を自分の味方に引き寄せられるように人は皆、何かしら向けして足掻いて血反吐吐いて努力を辞めないのだろう。


 例え100%の必然に変えることが無理だとしても、時間を投下した分だけ目標を達成するための何かしらの()()()()()()を上げることはできるからそれに限りなく近づけることまではできる。


「そうね。もし扉の前で女子が固まって喋ってなかったら、もしあなたに彼女たちに声をかける勇気があったなら話は変わってたでしょうね」


 は。


「ちょっと待て。お前、もしかして今朝の俺を見てたのか?」


 国際文化科の7組と俺のクラスの3組じゃ通常、利用する階段が違う。


 大抵の国際文化科生は6組との間を分離する階段を使うのだが、普通科生は2と3組を分離する階段を使う場合が多い。


 でもロッカーは大体皆が同じ場所だから藤村が2と3組の階段を使っててもおかしくは無いか。


 ──けど俺は今朝こいつを見かけた覚えがないぞ。


 わざわざ隣の校舎の屋上から望遠鏡で俺の行動を観察するようなタイプでもないだろうしな。


 何で俺の行動の詳細を知ってんだよ。


「さあ、どうかしらね」


「なんで濁すんだよ……」


 俺のクラスにスパイが潜んでる説が濃厚になってきたぞ。


 それとも藤村はエレメンタル・サイトを持っていて情報体次元(イデア)経由で俺の存在を確認できる能力でもあるのだろうか。


 いや、先ずは前提条件を確かめないと……。


「お前そもそも俺の課題が誰が対象になってるのか知ってるのか?」


「当然よ。河南杏里沙に決まってるじゃない」


 マジか。

 藤村が精霊の目持ちだとしたら俺はこの学校で逃げ場が1つもない事になるぞ。


 それもあらゆる行動が本人に筒抜けになるということだからプライバシーもクソもないことになる。せめて悪用はやめて頂きたいものだ。


「……お前、実は未来からやってきた魔法師だったりするのか?」


「ときどきあなたが何を言ってるのかさっぱり理解できないわね」


 もしかして惚けてんのか?


 能ある鷹は爪を隠すというし何より実は現実で魔法が使えるんだとしたらそれは非常にロマンが溢れる話だな。


 俺も使えたらとっくに高校生なんかやめて冒険に出かけてただろうな。


 とそんなことよりも気になっていたことを聞き忘れていたんだった。


「……まあそれより、さっきの告白の話だけど、随分優しいんだな。お前がそういうヤツだったのは意外だったな。もっと心が冷めているんだと思ってた」


「……私が優しい人間?荒牧くんの言ってることがさっぱりわからないわね。もし本当にあの現場を見てた上でそう思ってるなら耳鼻科に行ったほうが良いわよ」


「いやそうじゃなくてだな……」


 まあもうこいつの罵倒には慣れてきたからスルーするか。


 俺は先程の告白現場を見て思ったことをそのまま藤村に伝えた。


「……わかったわ。けど私が優しい人間だなんて思っていたら見当違いね。ただ単に時間の無駄だと悟ったからよ。どうでも良い人からどう思われようと構わないもの」


「……なるほどな。そう言うことにしておこうか」


「チッ。なによその態度、気に食わないわね」


 ただの照れ隠しなのかはたまた本気で俺の主張が伝わってないのか。


 俺には分からなかったが、こいつのこう言う一面に興味が惹かれたのも事実。


「……ねえ、荒牧くん」


「ん?……っ!?おいお前なんだよそれ」


 スカートのポケットから鉛筆を出しやがったぞこいつ。


 いや仮にそれがメモ用の道具だとしたらそれは凄いことだと思うんだが異様に先っちょが尖ってるし、嗜虐的な笑みを浮かべながら俺の目前まで近づいてきたのが猛烈に嫌な予感がしてきたぞ。


 脳内で響く危険信号のままに今すぐに逃げ出したいんだが……。


「──自責の念に苛まれながら懺悔するのと、言葉による調教を受けながら懺悔するの、あなたはどちらが好みかしら?」


 そんな意味深なセリフを吐きながら俺の真横に座って来てるんじゃねえ。


 ……ちょっと藤村さん?鉛筆の握り方がおかしいですよ?


 何でグーで鉛筆の先端が下に向くように握ってるんでしょうか?


 それと俺の太ももの真上に持ってくるのも辞めて頂けないでしょうか?


 そろそろ冗談だと示してくれないと僕ちん泣いちゃうぞ?


「……どう言うことでしょうか藤村さん?」


 サディスティックな笑みを浮かべながらのこれは、まるでサイコパスのようですがそれは僕の気のせいでしょうか。


「……ふっ」


 グサっ。


「痛えええっ!?」


 こいつマジで刺してきやがった。


 グリグリグリグリっ。


 アホかそれはドリルじゃねえんだよ。


 つーかもうやめろって痛い痛い痛いッ!?


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