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ラグナロク  作者: 鯖缶1093
台頭
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レイン戦争勃発

 グレースト歴1816年8月突如としてフランシア王国の王ルイジアート14世がフランシア王国、ドートランド諸国連邦、プレイシア公国の三つの国が隣接する地域「レイン地方」の領有権を主張し始めた。その地方は今は三国で分割されているがフランシア王国のみでの領有を王が主張し始めたのだ。

 その主張と連携する形で一個師団がレイン地方へ派遣され、その地方にいた他の勢力と戦闘を始めた。

 この行動を受けて他国は同盟を組んで宣戦を布告し、ここに歴史に残る戦争「レイン戦争」が勃発したのだ。


 士官学校を卒業した新米将校は各小隊に派遣されてそこで新兵の訓練を指導する。その期間は約4ヶ月ほどだ。そして、それが滞りなく行われたならばそこで、一階級昇格することになる。で、あるから一般の人間は少尉に昇格し、成績上位者は中尉になり、成績最上位者は大尉になる、ということだ。

「僕も今日から大尉か」

 レイア―ドははそうつぶやく。今日正式に昇格の通知が来て、異動が決まった。次の移動先は新設されるコモル第三師団。レイン地方に配置される部隊だそうだ。そこの砲兵中隊に中隊長として配置される予定だ。最初の任務はこの中隊の兵士を訓練することだった。新設される師団ならば妥当な任務だろう。

 だが、最近はそのあたりも不穏な空気が漂っている。もしかしたら、そういうコトが起こるのかもしれない。もしかしたら、だが。


 訓練は滞りなく進んでいた。師団長のアルフレッグ・フォン・ジョマーソン中将は優秀な指揮官だ。その師団長は兵士を実戦レベルで戦える兵士にしろ、と命令していた。それは、やはりそういうコトが起きるのかもしれないという疑念がレイアードの中に産まれて大きくなっていった。

 そして、それが7月になってから確信へと変わる。師団長のアルフレッグは戦争を行う予定であると、レイア―ドにつたえたのだ。それは、王が望む戦争だ、と。

 その日から訓練への熱の入れ方が変わった。より実践的な訓練となり、精神的な訓練も取り入れ、7月の終わりごろには精鋭部隊と呼ぶにふさわしい中隊になっていた。練度は王国内でも一二を争うほどにまで成長していた。


 グレースト歴1816年8月24日、レイア―ドらが所属するコモン第三師団はレイン地方へ攻撃を開始した。その戦いはあっけなかった。砲兵が破壊して、それに騎兵と歩兵が突撃すう。もうそれだけで勝利できた。2日後にはその地方を完全に占領した。

 それが行われている間にプレイシア公国とドートランド諸国連邦、それにその連邦を実質的に属国化しているウィントレット帝国が一時的な同盟を結びフランシア王国に宣戦布告した。だが、それが現場レベルに伝わるのはレイン地方が完全に平定されてからだった。


モードルの地に総勢約15万ほどの部隊が集まっていた。その内訳としてはフランシア王国6万、同盟軍9万だった。そして、ここにレイン戦争最大の会戦モードルの戦いが始まったのだ。


「やぁ。まさか君と一緒に戦う時がこんなに早くなるとは思ってもいなかったよ」

「えぇ。僕もです。レイン・ウェンスタット近衛大尉」

 レインはレイア―ドと同じく成績最上位で試験に合格し中尉としてキャリアを歩み始めた。しかし、ただの尉官ではない。エリートのみが行く部隊近衛歩兵に入隊してそこで中尉になったのだ。そして、そのまま大尉になってこの場にいた。

「よしてくれ。そういうのは」

 困った顔でレインはレイア―ドに言う。

 そのすぐ後にはその困った顔も変わることになる。レイア―ドの横にいた副官らしい男に挨拶を始めたからだ。

「あなたがアルバート・ヴェルナーフェルトさんですか。噂はかねがねお聞きしていますよ。優秀な副官だとね」

「いえいえ。そんなことはありません。まだまだ未熟ですよ」

 アルバート・ヴェルナーフェルトとは幼年学校の友人だったあのアルバートだった。たまたま同じ部隊に配属となったのだ。そこで中尉として、レイア―ドの副官として働いている。

「それで、どうなんですか。状況は」

「兵力的にはあまりいとは言えない状況だよ。でも、占領してすぐ作り始めたこの防御陣地はなかなか強力なものになったよ」

「そりゃあ、強力じゃないと困りますよ。もう10月です。作りはじめてに一カ月以上たっているんですよ。で、諜報部の調子はいかがなんですか。近衛なんだから結構情報入ってくるでしょう」

「目標は達成しているようだ。敵はこの防御陣地は数週間で見栄えだけ整えたものだと思っているらしい。作戦は成功している」

「では、この地で起きることは間違いなさそうですか」

「あぁ。そうなるだろう。ここで大会戦が行われる予定さ」


 モードルは広大な大地が広がった大草原だった。両脇には岡が連なっていてそれのふもとの方には森があった。大きな丘を中心として木々が一直線に連なっていた。

 その森に沿った形で協力で強固な防御陣地が築かれていた。

 戦力としては同盟軍側が9万、フランシア王国側が6万だった。一見するとフランシア側が不利なように見えるが、同盟軍側の兵士は騎兵部隊を除いて急遽徴兵された新兵たちで、圧倒的な練度の差があった。そして、歩兵の数では同盟軍側は勝っていたが砲兵部隊は圧倒的にフランシア側の方が勝っていた。

 ちなみに、フランシア王国はわざわざ勝利する必要はない。敵に犠牲を強いて、講和させればいいのだ。だから、ここまで強固な防御陣地を築いたと言いえるのだが。

 

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