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アビリティライジング  作者: 詩音
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第一話 妹の釈放

 能力。それは人間が生まれつきに編み出される力である。これは変身のように姿を変える力。炎や氷など自然の力。物の形や重さを変える変化的な力など多種多様に存在している。今ではこの力を持った人は全人口の2割といわれている。その分近年の犯罪行為のほとどんどに能力者が絡んでいる。


 能力があるもののほとんどは、防衛組織に所属することとなる。理由は、能力者の犯罪者に対して対策できるのは同じく能力を持ったもの。犯罪側の能力者の数を考えてもなるべく多くの陣営が必要となる。ほとんどといったのは犯罪者のような反社会的組織に所属するものや、引退したものなどの例外もいるからである。戦う力がなくても、正義のこころがあれば、誰でも戦うことが出来るのだ。




 日本には北海道、大阪、東京に防衛組織の本部があり、各都道府県に部署が存在する。能力者は生身の体でも使えるのだが、防御用であり身を隠す(能力者の中には能力を隠して普通の人として生活している人もいる)ためそれぞれ三種類の戦闘スーツが支給される。一つは防衛組織で行われるランク戦などで使用するもの。一つは実戦での戦闘用。もう一つは組織の中を歩いてるときに顔などを隠すための戦闘服に似せた簡易的な服。戦闘用とランク戦用の違いはあまりないが、ランク戦用には、試合での貢献度などをポイントに変換する機能が搭載されている。


 


 海外から東京の組織に配属される兄弟がいる。相馬霧矢そうまきりや相馬龍雅そうまりゅうがだ。そして、二人は今日本にある監獄にいるのであった。




「久しぶりだな霧矢、龍雅」


 二人が監獄の受付で待っているとこの監獄の館長をしている流剛ながれごうが声をかけてきた。


「お久しぶりです」


「今連れてくるように伝えたから少し待っててくれ。なんせ、最下層にいるお前らの妹を釈放するんだからな。君の親も無理をいうもんだよ」


 二人が監獄を訪れたのは監獄に収容された妹である紺の回収だった。霧矢が一つ上で龍雅と紺は双子であり、霧矢と龍雅は親の事情でヨーロッパにいた。龍雅と紺の入学に合わせ日本に来たのであった。紺が監獄にいる理由は紺はそれ相応の大罪をおかしたからである。


「ところで龍雅はどんな感じだ?」


「そうっすね。兄ちゃんには勝てないっすけど相当鍛えました。力の封じられた紺になら勝てると思います」


「それは楽しみだな。霧矢と紺と龍雅。三人そろえばあのトップを狙える力はあるってことか」


 霧矢たちが配属される組織は東京。東京にはシングルもあるが、メインとなっているのが3-3のランク戦である。


「どうですかね。俺と龍雅は代償はあるものの調整はなんとかできてますが、紺はきついと思いますよ」


 霧矢と龍雅はとある事件に関与し、その代償で力が少しつかえなくなっている。


「察しがいいな。さすがに、また事件起こさせるわけにはいかないからな。あいつに着けたかせは相当ひどい。能力は使えないと考えてもらったほうがいいかもな」


「それで残りのやつらは?」


 残りのやつというのは紺が事件に関与した時にいたほかの物たちのことである。分かっていることは彼らは自分達のことを番号で呼び、紺を含めて007番まで存在している。


「まったくだ。やつらは紺を捨てて逃げた感じだったしな。紺が捕まってから三年たったがやつらが直接関与することもなかった。まー。最近動き出した。OZMの裏にいるといわれてきているがな」  


 三年前に起こった事件では紺が力を封じられた後、他のメンバーは姿を消した。OZMは近年、世界で犯罪を起こしている組織。そのほとんどが、能力者で、能力者が少ない地域などを襲うことが多い。日本も攻撃を受けてきている。


「あの人は何考えてんだ?自分の娘を利用して、逆利用されたせいで大災害を起こした。そして、やつらを引っ張り出すためとはいえ、今まで放置していたのに出すとか」


 龍雅は不満を持っている。紺は母親の命令で能力者強化のプロジェクトに参加させられた。しかし、プロジェクト中に攻撃をくらい、実験のせいで疲れ切っていた紺が拉致されたのだ。


「俺もあの人の考えはよくわからない」


 霧矢と龍雅は紺が利用されたことは知っているが、詳しいことは全く分からない状況である。わかることは母親は紺を道具としか思っていないことだけだ。


「君らの親のことは私も理解しがたい。とはいえ、世界を相手にするほど、日本の軍も強くはないからな」 


 霧矢たちの親は世界政府に所属している。そのため、日本政府が歯向かうということは世界を敵に回すのと同等の意味になる。そのため、無理でも実行せざる負えない。


「俺の知らない大きな国の組織がバックにいるっすもんね」


 世界政府の中でも位が存在し霧矢たちの親は低いくらいなのだが、上位クラスの組織と共闘関係がある。どんな組織なのかは霧矢たちにも明かされていない。




「館長連れてきました」


 連れてこられた紺は裸足で濡れ雑巾のような服を着ている。そして、髪はぼさぼさで、完全に手を動かせないほど拘束具がついている。何より特徴的なのは身長が小学生のように小さく幼いことだ。


「さすがに人間にするようなことじゃないですね」


「もともとは終身刑だ。担当が飯を食わせるとき以外誰も近づこうとしないからな。っま。出てこれたことすら奇跡ってやつだろ」


 


 看守が紺についている手錠と脱走した時に爆発させる用の首輪をはずした。


「これで、この子は君らの管理になった。何かあれば場合によっては連帯責任になるから気をつけろよ」


 連帯責任にする。これが日本側から唯一釈放するために定めたルールである。ほかにあるとすれば、高校生活中や寮でも管理されていること。三人が通う高校は普通の学校だが、能力者が多少いて会長も能力者である。そのため、常に管理されていることになる。寮では、三人が東京の組織のなかで、加われるチームが持っている家のこと。そこの寮長も状況を知り、管理させるよう仕向けている。


「り、うあ」


 かすかに声を出しながら二人のもとに紺が近づいていった。


「久しぶりだな紺」


「りうか?」


 紺は霧矢のことはにい。龍雅のことは名前で呼んでいる。昔は同じ呼び方をしていたが、わかりずらいから変えてもらった。久しぶりに声を出したこともあり、難しい発音はできないようだ。


「まだしっかり見えてないようだな」


 これもずっと同じ部屋に閉じ込められていたせいで光に目が慣れていないという感じだ。


「んじゃま。寮に行くか。龍雅、紺を持ってやってくれ。見た感じ筋力の低下がひどいし家まで歩くのは困難だろう」


 霧矢は性質上人の筋力などを見ただけで判断できるようになっている。本来の能力とは直結していない力となっている。


 霧矢がしゃべると紺は龍雅に隠れた。


「紺。大丈夫だよ。兄ちゃんはいいやつだから」


 紺は元々霧矢と距離があった。その理由は霧矢はあまり兄妹と一緒にいず、つねに母親の近くにいたからである。龍雅が兄を尊敬するようになったのも事件以降になる。紺は母親と一緒にいた霧矢も自分のことを利用してくると思い少し怖がっている。


「あの人とはもう何もないから安心してくれ。それに、あの人は俺らにお前を投げやりにした。お前からコンタクトを取ろうとしない限りは基本話さないといっている。お前はやりたいよにやればいいんだよ」


 おびえている紺にちかづき頭をなでた。すると力が抜け落ち着いた様子になった。


「あの、ご、」


「それも気にする必要ねーよ。お前も被害者なんだから。」


「う、うん」





 監獄をでて三人は寮に向かって歩いてる。


「紺ほんとに何も覚えてないのか?」


「ごめん。母さんに頼まれてどこか行って、次気づいたらもうここにいた」


 紺は事件があった日の記憶がない。これは能力を暴走させることで起きる獣化の性質に似ている。獣化は何かを引き金に能力が最大の力になる現象のことである。そうなるとただ、暴れまわる暴君と化す。そして、この状態になっている間は、全く記憶がないのが


事例である。紺が力を制限されているのは、少しの感情の変化でも獣化してしまうからだ。


「やはり獣化の線が濃厚だろうな。っま、今は考えないでおこう。ランク戦は三人チーム。つまり俺らでチームだ。ほかに伝えておくことは、学校は普通の学校。だが、生徒会長は能力者で、常にお前を管理するらしい。ほかにも寮とかでも、お前を見ている奴多いから変なことするなよ」


「わかった」


「にいちゃんの炎。俺のスピードに紺のサポートが加わればもう敵なしだな」


 霧矢の能力は炎をまとう能力だ。そして、龍雅の能力は風を使ったスピード型の能力。紺は実際の能力をフルでは使えないが、その能力にあった潜在能力があるため、この生活や今の自分における最大限の力を出せれば二人に劣らない力となる。


「っま。紺は最初のほうはリハビリもかねてだな」


「安心して二人の足は引っ張らない」


「を、いうじゃん期待してるぜ」


 この兄妹の絆は必ず強敵をも超える力がある。彼らの戦いはここから始まるのであった。

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