表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪役令嬢はヒロイン(男)に脅されています

作者: 来世

ほとんどギャグです!

「っきゃあ!」


華奢な女の子を、思いっきり突き飛ばす。


「あら、いましたの?ごめんなさいね、ゴミかと思いましたわ。」


おほほ、そう笑って横を通る。

あーーーーきっつい、恥ずかしい無理こんなん羞恥プレイだって現実におほほって笑う人なんていないって希少人種だってえええ





…そう。私は断じてこんな性格ではない。

けれども、これをやらざるを得ない理由があるのだ。


「じゃー次はなあ、中庭の噴水に突き落とすとかどうだ?」


「シエル様、無理ですって流石に…!」


「あ゛?師匠様の言うことが聞けねーのか?」


そう凄む美少女は、何を隠そう私の魔法のお師匠…正真正銘の男である。

同い年のくせに天才で自由奔放、やると決めたことは何がなんでもやる彼が、


「女装して貴族のボンボンを陥落させたい」


と言い出したのである。

は??と思ったが止めることはできない。なにしろそういう人だからだ。

今回も無理矢理協力_及び巻き込まれ、悪役なるものを頑張っているところである。


あくまで女装、ということなので魔法は使っていないはずなのに、それでもこんなに可愛らしく見えるのは何なのだろう。もはや諦めの感情しか湧いてこない。

女である私でさえそう思うのだから、男達がどんどんと陥落していくのも無理はない。


現に、私 セシルの婚約者である王太子ザックも靡いている。

いや、元から愛なんて微塵もなかったから良いんだけどね?!当たり前のように私の悪役キャラを受け入れたのはそれはそれでどうなの?!私元はこんなキャラじゃなかったじゃん!!違和感を感じて?!


「よっし、次は教師籠絡させてみっか!」


「やめてください!!!」


突然走り出したお師匠を、私は今日も全力で追いかけた。





「セシル・スミス、お前との婚約は破棄させてもらう!!」


…えぇ。

いや、えーーと、馬鹿なんかなこいつ。

流石にそれは予想してなかった。


「理由をお聞きしても?」


「シエラ嬢を虐めたからだ!」


おおう。馬鹿だった。

あ、シエラっていうのは、シエル様の女装したときの名前ね。


てかさあ、ザック様ってこんなに馬鹿だったんだね。

そもそも、王族で結ばれた婚約は基本的に破棄できない。一度言ったことの責任を取れることを証明しなければならないからだ。

だからこそ、王族は口約束であっても軽率に発言することが許されない。まあ、大変だけどそれが国民の上に立つということだ。

そして第二に、貴族間でのいじめなんて星の数ほどあると言っていい。

それぐらい太刀打ち出来なければ、身分の高い者の妻になんて到底なれないからだ。


なんてこったいパンナコッタい。

少々ふざけすぎたかなとは思ってたけど、こんな大事になるとは。


「これがその書類だ!」


王子が堂々と掲げたのは正しく婚約破棄の書類。

いやー、私にとっては願ったり叶ったりですけど。やっとあのお妃様修行から解放されると思うとね、そりゃね。

でもザック様の評判とか諸々大丈夫なんかなぁ。とかぼんやり考えていると。


「よっし!よくやった!!」


おしとやかに微笑んでいたお師匠が急にガッツポーズした。

カオス。


「ど、どうしたんだシエラ」


「うるせー、これでセシルは俺のもんだ!」


そう言うとお師匠は私の手を掴んで駆け出した。


「は?!え、なに?!」


混乱する私に、ニヤっと笑って叫ぶ。


「俺、欲しいもんは絶対手に入れるから!!」




あぁもう、これだからお師匠には敵わない!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ