負えないゴミ
この辺りの地域は、半透明または透明のゴミ袋を使うのがルールである。
しかし、それは、透けもしない真っ黒のゴミ袋に入っていた。
朝のゴミ出しのとき、家のドアを塞ぐように五袋、置かれていた。
最初は、軽いイタズラかと思っていた。
だが、次第に不気味な要素がわんさかと、分かってきた。
微かに漂う、腐敗に近い臭い。
一袋持ったときに感じる、ドッシリ感。
黒い光沢のある袋を、今にも破りそうな、パンパンに膨れている感じ。
事件のニオイがプンプンする。
そこに、お隣さんが現れた。
間髪入れず、軽く謝る言葉を口にして、お隣さんはその黒いゴミ袋を、必死に敷地の外に運ぼうとしていた。
そして、何も聞いていないのに、お隣さんは、袋の中身についての話を始めた。
「実家から送られてきたんですよ。甘くて美味しいですよ。一袋持っていってください。ありすぎて困っているので」
腐敗に近い臭いが微かに漂っていて、一袋持ったときにこんなにドッシリ感を感じる不気味要素たっぷりのもので、甘くて実家からよく送られて来るようなものなんて、僕は知らない。