2.来訪
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朝だ...
結局あまり寝られていない、むしろこの状況で寝られるセラは凄いと思う。
いや、寝られないから俺と寝たがったのか、昔からそういう所があったからな。
一夜跨いで、少し落ち着いた。
まだ気は休まらないがとりあえず考える事は出来る様になった、セラのお陰だ。
まず、情報整理をしなきゃいけないな。
最初にアイツが言っていた言葉、これはゲームだと言っていた。
もしかしたら第三者が能力を与えて、殺し合うようにしてるのかも知れない。
だがアイツは知っていたのに何故俺達は知らないのか、アイツの妄想ってのが一番有り難いが時空の歪み、アイツの炎、そしてセラのブリンクと透明のブレード。
非現実的過ぎて正直なんでもあり得る気がする...
駄目だ、やはり分からん...
とにかく他の能力者が攻撃してくるかも知れないから、その警戒はしなきゃいけない。
アレを使うか。
自分の机の棚、その中の上。
...あった。
バタフライナイフだ。
数年前から、映画の影響で好きになって刃の無いバタフライナイフで遊んでいたが、高校生になって、刃付きの物を買った。
正直外に持っていくのは気が引けるが、そんな事を言ってる場合じゃない。
それに、もうセラに人を殺させたくない。
危ない目にあわせたくない。
「ん~...にぃに?」
「あ、起きたか」
セラがベッドの上で背伸びして、立ち上がる。
「もう大丈夫?」
一番辛いのはセラだろう、なのにこんなにも気遣ってくれる。
兄としての顔が無い。
「ああ、もう大丈夫だ。
ありがとな。」
「そっか、良かった。
ね、今日は学校休まない?」
「そう...だな、今日は休むか。」
精神的な負担が大きいから、学校に行くのはしんどいだろう。
今日は一日休んで、万全な状態にしておかなければ。
「私が朝ごはん作ろうか?」
「やめろ、お前が作ると酷い物しか出来ない。」
「その言い方の方が酷くない!?」
「それ以上だ、俺が作るからゆっくりしておけ。」
今日は適当にうどんだ、スーパーの冷凍麺を鍋に入れて、具材を適当に入れて待つ。
汁はカツオだしにする、前に作ったカツオだしの余りを温める。
ちなみにスーパーの冷凍麺は当たり外れが大きすぎるので良い物を見つけるのが大変だが、良い物を引き当てたらこっちの物だ。
カツオだしのシンプルな物から味噌汁、鍋モノ等の余りに適当に入れるだけで超絶美味い。
正直最強過ぎる。
「ほら、出来たぞ。
今日はうどんだ。」
「お、出たな定番にして最強!」
「さて、いただきます」
「いただきまーす」
うむ、やはり美味い控えめな甘さにもちもちの麺、カツオだしさっぱりさととても良く合う。
麺に甘みのあるヤツも美味しいは美味しいのだが、やはりさっぱり系は汁で勝負出来るから大体の物に合う。
つまり最強。
この手軽さ、カップ麺が食べたくなくなるぜ...
というかインスタント食品自体最近一切食べてないけどな。
なんて事を考えながら最強のうどんを楽しんでいると
すっ
という音と共に、窓に猫がやってきた。
...猫?こんな所に?
「あ、猫ちゃんだ、可愛い~」
「お食事中、失礼するわね?」
猫が喋った!?!?
...あれか、これも能力の類いか...?
とりあえずそうしておこう...
「喋れるんだ...?」
「ええ、貴方達に伝えなきゃいけない事があって、ここに来たの。」
「伝えなきゃいけない事...能力とか、そういう話か?」
「ええ、昨日のアレについて、詳しく教えようと思って。
あがって良いかしら?」
「どうぞ」
猫相手だけど一応クッションを何段か重ねて置く。
「気が利くわね。」
「えっと、牛乳で良いか?」
「そこまでは良いわよ」
「そうか。」
「私は隣に失礼しまーす」
猫の対岸に、俺は座り、その隣にセラがクッションを置いて座る。
あ、うどんの麺...伸びる...
「さて、まずは謝るわ、ごめんなさい。」
「なにがだ?」
「貴方達にルール説明が行き届いてなかったからよ。」
「ルール?」
「ええ、コロシアイゲームのね。」
「コロシアイゲーム...まさか...!?
お前がやったのか!?あれを!?」
「落ち着いて、開いたのは私では無いし、私はただの使いよ。
殺しても良いけどやったところで損しか無いわ。」
「...そうだな」
「で、なんで説明が行かなかったかは分からないわ。
普通は能力が手に入った段階でアナウンスがされるはずなの。」
「アナウンス...そんなの来てなかった...」
「ええ、だからちょっとおかしいのだけれど...
今私から説明するわ。」
「コロシアイゲーム、能力者達が最後の一人になるまで殺し合って、生き残った者が勝利。
それで伝説のオールドアーティファクトによって一つだけ願いが叶えられるのよ。」
「成る程、俗に言うバトルロイヤルか...」
「そうね、まぁ、実際はたまたま私達が住んでる貴方達から見た異世界のマジックアイテム達がこの世界に落ちて、回収するのも面倒だからって事でこういうゲームを開く事になったのよ。」
「質問良いか?」
「ええ、答えられる範囲なら。」
「マジックアイテムとか、オールドアーティファクトとかってなんだ?」
「能力が使えるようになるアイテムの総称がマジックアイテムなのよ、種類は大まかに分けて3つほどあって、まず今ウチの世界で作られているマジカ、これは一つの能力が使えるようになるのよ、次にアーティファクト、400年前に作られたもう作ることの出来ないロストテクノロジー。能力が二つ使えるようになるわ。そしてオールドアーティファクト、これは3個以上の能力やとても強大な能力が使えるようになるこれも2000年前に作られ、失われたロストテクノロジーよ。オールドアーティファクトは数千個の能力を付けて自律兵器として利用されていたまさに化け物よ。」
「そんな物も落ちたのか?」
「今のところオールドアーティファクトは確認されてないわ、あってもアーティファクト位よ。」
「それと能力の定義なのだけど、昨日のアイツで例えるとアイツの能力は炎を生み出す能力。
つまり1つしか能力が無いからこれはマジカね。
でも炎を『生み出し』『操る』になると能力は二つとなりこれはアーティファクトになるわ。また黒炎を生み出すでも炎に黒を足すからアーティファクトになるわ。もっと分かり易い例だと水に雷を纏わせて放つみたいなモノよ。」
「成る程な...」
「じゃあ私はブレードとブリンクで二つ、つまりアーティファクトなんだ!」
「そうなるのかな。」
「そうね、で?貴方の能力は?」
「俺の能力...分からない...というか無いんじゃないか?」
「え?そんな事は無いわ、貴方は確かにマジックアイテム持ちって魂に刻まれているもの。
そもそも能力者じゃないと戦いに参加出来ないわ。」
「じゃあ...俺の能力はホントになんなんだ...?」
「分からないわ、こちらでも調べておくわね。」
「ありがとう」
「ええ、それじゃあ説明は済んだし帰るわね?他に質問はある?」
「能力者は何人居る?」
「全員で12人居たわ、そこから1人引いて11人ね。
といってもこうしているうちに何処かで殺し合ってるかも知れないからあとどの位かは分からないけどね。」
「何人居るか分かれば十分だ、じゃあな。」
「ええ、健闘を祈るわ。」
そう言うと入ってきた窓から飛び出していった。
「...コロシアイゲーム...か...」
「にぃに...」
「セラ、次からは俺が能力者達を殺す。
だからセラは安全な場所に居といてくれ。」
「嫌。」
「セラ!」
「嫌だよ!お兄ちゃんが傷つくのは嫌!」
そうか...同じ気持ちか...
「...分かった、ありがとう。
戦いになったらお互いに力を合わせて戦おう。」
「うん。」
でも、やはりセラの為に、危険を冒し、この手を汚す。
覚悟は出来ている。
...麺伸びた
「あれ、にぃに食べきれて無かったんだ、私は伸びないうちに完食したよ~」
「食べるの早すぎん?」
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