1話
景鱗と申します。
よろしくお願いします。
胸糞注意。苦手な方は注意。ほんとに注意。
俺は元から狂ってたんだと思う。
毎夜毎夜代わる代わる連れてくる男は変わる。
そんな母親から生まれ、DV気味でギャンブル依存症の父親。
育ちがいいとはとても言えない人生を送ってきた。
それでも生きるために死に物狂いでバイトはしたし、勉強もした。
その甲斐あって彼女もできた。
高校から付き合い続けた彼女だ。
今俺は23歳だが、その彼女と結婚するつもりでプロポーズした。
了承してくれた。
超うれしかった。
死んでもいいと思えるほどに。
ある日同棲していたはずの彼女から実家に帰ると言われ、ついには連絡が一切来なくなった。
おかしいとは思っていた。
男ができたのかと思って後を付けたりしたが、おかしなところはこれと言って無かった。
ただ日に日に付き合いは無くなりついに居なくなった。
喧嘩別れをしたわけではない。
不安になる中、彼女の両親とは仲も良いので電話をかけた。
俺の所為で帰ったのなら怒号が聞こえてきてもおかしくはない。
しかし、電話の返答とテレビにより頭は真っ白になった。
「あなたの所為じゃない!!」
『本日未明〇〇町△△山にて女性の死体が見つかり……。女性の身体には殴られた跡や裂傷などが見られ……。犯人はまだ捕まっておらず……。被害者は〇〇町に住む……。この女性の発見に伴って同様の女性被害者が見つかり、警察は同一犯だとして調査しています…。』
テレビには彼女の顔が映っていた。
「は……?」
「あなたに嫁がすんじゃなかったわ!!」
「待ってください…。何故俺の所為なんですか!?」
「あなたの父親を名乗る人から動画が送られてきたからよ!!」
は……?父親……?
なんで今あのクズの名前が……?
「動画…?」
「娘があなたの父親に犯された動画よ!!」
「そ、の、動画、送ってくれませ、んか?」
「そんなこ――」
「すまない、今代わった。私も大分混乱してきているが、君が詳細を全く把握できていないというのであれば動画を見せよう。これが嘘か真かは私たちに判断できない。ただ、これをそのまま受け取れるほど私たちの心はそう強くない。…ほら、もういいだろう母さん」
「――ちょっと!私は絶対あなたを許さないんだからね!!」
そこで電話は切られた。
数分後、動画が送られてきた。
『よぅ。見えてるかぁ?クソガキィ。今からてめぇの大切な人と楽しむことにするぜぇ……?俺はこいつの彼氏の親父だぁ…』
目を背けたいような内容だった。
動画を全部見るのに何回も吐いた。
俺の彼女は何人にも相手され次第に壊れていっている。
相手は正真正銘あのクズだった。
『ああぁ…?壊れたかぁ……?ウハハ…じゃあもういらねえなぁ……』
殺意。
殺す。
生まれてきたことを後悔させてやる。
俺は父親の殺人を決めた。
それからというもの仕事にも行かず、実家に帰ったりあのクズの居場所を特定するため奮闘していた。
クズのいる場所はこの辺でも有名な暴力団の中だった。
そうと決まればどう殺しに行くかを考える。
生にしがみつきながら苦しみを味わい死んでいく方法を探したところ、毒殺が一番良かった。
たった一人で暴力団を相手するには力不足だった。
だが、誰かに頼れるというわけではない。
これは俺の役目だと思った。
まず行ったのは俺自身がありとあらゆる毒に慣れることだった。
暴力団の中に一息であの世に行くような毒を散布すればあのクズも一緒に死んでしまうかもしれない。
それでは困るのだ。
俺の顔を見て苦しみながら死んでもらう必要がある。
そのためにはガスマスクを付けるなど以ての外だ。
どんな薬物、毒物に慣れどんな毒でも調合できるようになり、毒に対する知識も豊富になった。
肉体も鍛えた。
銃を撃たれても多少なら耐えられるようになった。
ありとあらゆる武術も身につけた。
剣術、格闘術、杖術、詐術など言ってしまえばキリがない。
俺の考え得る全てのことはやった。
あとは殺すだけだ。
この話はフィクションです。