【part4】赤眼のオーク
僕は慌てて酒場の外に飛び出した。
すると町の入口の方向へ走る勇者と戦士とヤンキーの姿が見えた。
どんな並びだ。
仕方なく僕は3人を追いかける。無論、離されていくのだが。
町の外まで出てから、オークを見つけるのに時間はかからなかった。4体いる。
さっき助けを求めにきた冒険者の仲間だろうか、数人が傷つき、追い詰められているのが見て取れる。
オークは体が大きく、人間の武器をそのまま重く大きくしたような装備だ。
RPGのイメージとそう違わないが……、眼が赤いせいで不気味さが増している。。
―――怖い
全身が、身の危険を感じている。
僕の位置からだとオーク達までは30mほどあるが、怖くてたまらない。
ゲームでは何度も倒していても、ここはリアルだ。
この世界がどうなってるのか。僕たちがどうなっているのかはわからないけど、間違いなく殴られたら痛いし、血が出る。そんな気がする。
これ以上近づくことができない。動いたらオークがこちらに来る気がした。
立ちすくんでしまった僕は、そこからハルフミとダンとこうちゃんの背中を見ることしかできなかった。
…なんでこうちゃんは普通に駆けつけてるの?
「そこまでdッ「てめーらどこ中だ!!うちのシマ荒らしてんじゃねえぞオラァ!!」
勇者の登場シーンを邪魔するヤンキー。
「ハ、ハルフミさん…、ダンさん…!!………?」
助けられた冒険者も「台本と違う」と言わんばかりに困惑している。
遠いのでわかりづらいが、ハルフミも少しショックを受けている。
「こ、このオークその辺のやつらと違うんです…!一回り体がでかいし、パワーが全然違う…!」
「ダン、彼らを安全なところへ」
「了解だリーダー。番長、気をつけろよ。こいつらは普通のオークと違う」
「オーク知ってて当たり前みたいな雰囲気やめろや。俺が世間知らずみたいじゃねーか」
なんでこうちゃんはこの状況で平常運転なんだろう。
のんきな会話を待っていてくれるはずもなく、こん棒を持ったオークが二人に殴りかかった。
――――攻撃を躱しつつ、ハルフミは考えていた。
傷を負った彼らを守らなくてはならないから、ダンは動きが取りづらい。
小森くんは距離があるからひとまず大丈夫。あとは番長だが…。
いくらダンを殴り飛ばしたといっても、相手は報告にあった赤眼のオーク。
ここは『加護』を使ってでも、自分が4体を相手取る必要があるだろう。
「番長!!力を疑うわけではないが、ここは私に任せてくれな「ゴルァ!!!!くたばれえ!!!!!!」
赤い眼をしたオークが番長の鉄拳に吹き飛ばされ、後ろの2体を巻き込み転がっていく。
奇しくも、残されたオークとハルフミは感想を同じくしていた――――
「「えぇ…」」
ハルフミは普通にショックを受けた。