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【part3】ビアー?知らない飲み物ですね

僕たちは、勇者ご一行の後について、クラウドホームという町の酒場にきていた。


酒場の席につくまでの道中、一行は次々に街の人々から声がかけられた。

「おっ、ハルフミさん!こないだはありがとうよ!」

「ダンさん最近全然顔出してくれないじゃねえか~」

「リリーナ様、おかげ様で仕事に復帰できるようになりました!本当にありがとう!」

「キャー!シンイチロウ様よキャー!」

どれも好意的なものばかりだ。


失礼な話だけどこの時やっと、この人たちは本当に勇者パーティーだったんだなと納得がいった。


「人気者なんですね」

「そんな大したものではないよ。勇者なら当然さ」


僕と勇者が話していると、注文した料理がテーブルに運ばれてきた。

豚の丸焼きのようなものから、串焼きなど、食べ物は僕たちの世界とさほど変わらないようだった。


「おいハルフミ!俺達金なんてほとんど持ってねーぞ!食っていいのか!」

返事は聞いてないといわんばかりにこうちゃんが目を輝かせながら今にもかぶりつきそうだ。


「はは、もちろんだよ。そのかわり、番長たちのこと、色々と聞かせてくれるかな」

「そうね。まずあなたたちやっぱり異世界から来たの?この辺じゃナギコーなんて地名は聞かないし」

「実は僕たちもよくわかっていないのですが、おそらくこの世界からすると異世界になるんだと思います」


「あとその強さの秘密はなんなんだ。番長みてえに小森も戦えるのか?」

「経験がないのでわかりませんが、感覚的に言うと戦える気は微塵もしません」

そうか…、と少し残念そうに黄色いシュワシュワした飲み物をグイと飲むダン。

もしかして今ターゲットになりかけた?


「今の判断は懸命だ…小森くん…」

シンイチロウが小声で教えてくれる。別に隠したわけではないんだけど。


「おいダン、そのシュワシュワ俺にもくれよ」

「お。番長いけるクチか?ここのビアーはキンキンに冷えてて最高だぜ」

ビアー…


「こうちゃん」

「どうした小森くん」

「お酒はダメだよ」

「ビアーはお酒かどうかわかんないじゃん?」

「わかんないけどお酒だよ!十中八九!」


未成年の飲酒は犯罪だよ!!と言いながら、異世界だし日本の法は適用されないのかなとも思ったり。

何にせよダンが追加で頼んだビアーが届いてしまい、どうやらもう止めても無駄なようだった。


お酒も入り、お食事会はどんどん宴会へと変わっていった。

僕らの席を中心に周りの客も加わり店全体が騒がしくなるなか、パーティーで唯一お酒を飲んでいなかったハルフミが色々とこの世界の話を聞かせてくれた。


魔王や魔物が蔓延る世界。魔王討伐を目指す勇者と、それを助ける冒険者達。といった図式は、僕が好きだったRPGに近かったから、すんなりと理解することができた。


ただ、RPGとは違う点も多かった。

まず、勇者も魔王も1人ではないということ。

こんなリアルな世界だ、言われてみれば当然に思えるが、勇者も普通に死ぬということ。

協会で生き返ったりしないの?と聞くと、ハルフミは「絵本みたいな話だね」と笑った。


そして今の話。

どうやら最近、このクラウドホーム近郊の町の勇者達が、立て続けに魔王軍の襲撃にあっているらしい。

中にはパーティーメンバーが命を落とした襲撃もあったとか…。

そんな状況だったので、街で一番の実力者である彼ら直々にパトロールに出るところだったらしい。


「そんな時に、ヤンキーに絡まれたと…」

「ははは、そうなるね」

「そして今なぜか彼らは一緒にどんちゃん騒ぎをしていると…」

「ハハ…、そうなるね…」

「すみません、深刻な事態だというのに…」


気にすることはないよ、とハルフミ。

「僕は勇者のくせに情けないけど心配症で、よく悲観的に物事を考えてしまうんだ。でも彼らは違う。いつも前向きで、僕の背中を押してくれる。根っからの冒険者達さ」

正直はじめはちぐはぐな4人に見えたけど、なんとなく彼らの関係性が、少しわかった気がした。


「さぁ、酔っ払い達を回収して、今日は宿に戻ろうか」


気づくとなぜかダンとこうちゃんは半裸で相撲をとっているし、リリーナは他の冒険者達を椅子にして高笑い。シンイチロウは床に転がっていた。


「やれやれ。小森くん、手伝ってくれるかな」

可能な範囲で頑張ります。


宴もたけなわとなった時分、さきほどまでの賑やかな騒がしさとは違った大声が酒場に飛び込んできた。


「ハ、ハルフミさん!!大変だ!!またオークが来やがった!!!それに…、いつもと違うんだアイツら…!!!」

転がり込むように飛び込んできた彼は冒険者だろうか、息も絶え絶えで、片腕を抑えている。怪我をしているのか。


そこからの動きは早かった。


さっきまでそばにいたハルフミとダンは気づいたら姿がなくなっており、女王様だった神官は既に彼の左腕の治療にかかっている。


そして僕は気づいてしまった。


「こうちゃん…?」



こうちゃんも消えていることに。



さらに…



シンイチロウがまだ転がっていることに…


初めての投稿なのですが、こんな素人が書いたものでも読んでもらえていると思うと嬉しいですね。

慣れないので執筆はゆっくりですが、頑張って続けていこうと思います。

良い評価でも悪い評価でも、リアクションを頂けるだけで泣いて喜びます。

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