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Episode 2

 アクションパートの撮影になり、俺は冴子の吹き替えや、変身体を担当した。

 大変なのは、スーツを着てのアクションだった。

 視界が狭く、熱もこもり、真夏の炎天下では本当に大変だ。

「はい、OK!」

 アクション監督が叫ぶ。

 俺はマスクを外した。

「よし、今日の撮影は終わりだ!」

 総監督がそう言う。

 俺は車へ移動し、スーツを脱いで着替えた。

「暑い……」

 車から出る。

「坂上さん」

 主人公の変身前を演じる俳優のさかき 哲夫てつおが声をかけてくる。

「ああ、榊さん」

「あ、あのさ、俺この後オフだから、お茶でもしていかない?」

「いいよ。ちょうど私もオフで暇だから」

 俺と榊は帰路に就くと、途中にある喫茶店に入った。

 入りぎわ、背後に見えた冴子は何をしているんだろうか。

「いらっしゃいませ」

 店員が出迎える。

「お好きな席へどうぞ」

 俺と榊は適当に席に着く。

 俺の腹の虫が鳴いた。

「運動したから小腹が……」

「好きなもの食べて。俺が持つよ」

「いや、悪いよ」

「いいから」

「そうお?」

 俺はメニューを見る。

 パリン!

 店の窓ガラスが一斉に割れた。

 マナを感じた俺は、店を飛び出す。

 外では怪人が暴れていた。

「きゃああああ!」

 冴子が怪人に襲われている。

「田中さん!」

 俺は怪人を体当たりで突き飛ばした。

「あ、ありがとう、坂上さん」

「逃げて」

「坂上さんは?」

「あいつを倒す」

「倒す? って、アクション俳優は格闘家じゃないのよ!」

 俺はそれを無視して怪人とバトルをおっ始めた。

 先制攻撃をかわされ、反撃を受ける。

「うえあ!」

 前方に吹っ飛び、地面に転がる俺。

 こいつ、できる……。

「人間ごときがこの俺に戦いを挑むなんざ、十万年早い」

「喋れるのか?」

 その時、時間が止まった。

「え?」

 俺の前にスクリプト人が現れる。

「これを君に」

 スクリプト人はブレスレットのようなものを差し出してきた。

「これは?」

「ガーディアンクイーンへ変身するためのブレスだ」

「えっと……はい?」

 ガーディアンクイーンは、続編が刊行されたガーディアンナイトに出てくる、女性変身ヒーローである。今、俺が撮影に臨んでいる作品がそれだ。

「あの、ガーディアンクイーンはドラマの登場人物では?」

「始まるよ」

 聞いちゃいねえし。

 スクリプト人は姿を消し、時間が動き出した。

「なんだかわかんねえが、やってやる!」

 俺はブレスレットを、劇中と同じように左腕にはめた。

 そして、ブレスレットに内蔵された超小型コンピュータを操作し、ガーディアンクイーンへの変身プロセスを完了させる。

「なに、変わっただと?」

 疑問符を浮かべる怪人。

「さ、坂上さん?」

「わりーな。こんなとこで負けるわけにはいかないんだよ」

 劇中では超高速移動はCGだが、こちらはそれが再現できるか、俺は試した。

 体感速度が遅くなり、俺は高速で動き出す。

「は!」

 腰部の剣を抜き、一瞬で怪人を切り抜く。

 真っ二つになり、爆裂霧散する怪人。

 俺は変身を解いた。

「田中さん、怪我は?」

「ないけど、あなたこそなんなの? 変身しましたよね? しかも私が演じてる役に! 説明してくれませんか?」

「それが、何が何だか私にも……」


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