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《那由多》の魔法師  作者: あ
5/5

霊長類最強

「Fクラス 佐藤雄二 対 Aクラス 吉田詩織 .....始めっ!」


  合図と同時に飛び込んでくる。


牙突タックル!」


  俺は何メートルも吹っ飛ばされた。余裕をもって身体強化を20にしておいてたが、身体中ズキズキと痛む。


  そして彼女は吉田詩織といった。俺は苗字を初めて聞いた。あっちゃんわざと教えなかったな。

吉田家。霊長類最強の家系だ。詳しくなっていないが、あらゆる黎明能力の中でも最強と謳われる。彼女の始祖の吉田沙織は生身の人間の状態で物理攻撃に強い魔族を引きちぎって北海道を防衛していたらしい。


「最初から苗字ぐらい名乗ってくれよ。それにしても身体系の能力だったとは」


「違うよ。私に勝ったら教えてあげる。」


「できるだけがんばるよ」


  口ではそういうものの、少し本気でやってみたくなった。とりあえず30ぐらいかな。


「ファイアボール!」


  俺の前に30の火球が並ぶ


 俺の能力は《那由多》。魔法同時展開、技量を上げれば上げるほど数は多くなる。

  人間は大規模な魔法を行使すると、身体が反動に耐えられない。しかし普通は耐えられないほどの魔法を放つ魔力がない。だが、俺にはあった。じいちゃんによると自壊するのを防ぐために、無意識にストッパーがかかっていて、一定以上の規模の魔法は使えないらしい。そんな俺が手にしたのが《那由多》。魔力が多い俺だからこそ発現した能力。複数に分散し魔力を放出するので身体に負担がかかりにくい。


「やばいね、そのスキル。黎明能力を超えてるよ」


  そういいながらも火球を殴りつけ強引に消火する詩織さん、あなた人間ですかね?


 でも、俺がずっと練習していた技、やっと実戦で使える。


魔法の雨(マジックレイン)


  詩織に向かって火、水、氷、雷、土、基本属性全ての初級魔法が嵐のように襲いかかる。その数は100を超える。


  しかし彼女は動かない。


「名前の割に恐ろしい魔法だね」


 土煙が晴れると彼女は平然と立っていた。傷一つつかずに。


  俺は次の手を打つ。魔法の混成。じいちゃんの能力だ。しかし魔法同士は反発しあい混ぜるなんて能力でもない限り不可能だ。

  だが俺はファイアボールを無理矢理に1つに合成していく。反発し爆発する。それをさらに新しい爆発で押さえ込む、これを繰り返す。爆発を繰り返し爆風を内部に留まり続けされる。


隕石メテオ


  一軒家さえ飲み込まんとする巨大な火球が詩織に向かって落ちる。


  詩織はずっしりと腰を落とし拳を構えている。そして身体を捻り拳を突き出した。


「破壊」


 隕石と彼女の拳が触れる。

 爆発音が鳴り響く。やばい!流石にやりすぎた!


「.....いやー、ヒヤヒヤしたよ。私が怪我したのなんて生まれて初めて。私もそろそろ本気でいこうかな」


「やっぱ霊長類最強は違うな」


「私の目標はもっと先。世界最強」


  あんたならなれる気がするよ。


  詩織が地面を踏みしめる。突然目の前に現れた。なんとか反応し、腕をクロスさせ攻撃を防ごうとしたが、直前に下半身へのタックルに変わった。そのまま右足を掴まれ地面に叩きつけられた。咄嗟に身体強化を50の魔法でかけ直したが、あまりの衝撃に肺から空気が漏れる。


  おいおい、俺の1回身体強化は普通の生徒の5分の1だから50回かけたら通常の10倍だぞ。俺以外にやったら死んでるぞ。普通に。


  左足で破れかぶれの蹴りを顎にいれたが、右足は離してくれない。次は相手の頭掴み顔面に膝蹴りをいれ、さらに超至近距離で自滅覚悟のファイアボールを3つ放つ。やっと右足の拘束が解除された。立ち上がろうとするが、頭を片手で鷲掴みにされ地面に叩きつけられた。視界が暗転する。






 目が覚めると俺は医務室にいた。


「心配したよ。佐藤が泡吹いて痙攣してたから」


「山中か。今試合はどんな感じだ」


「次の試合準決勝だよ。AKKOちゃんと吉田さん」


とそこにあっちゃんが来た。


「詩織は怪物だ。怪我する前に棄権したほうがいい」


「あら、目が覚めたのね。でも棄権はしないわ。アタシは戦わなきゃいけないもの」


「そういえばお前が戦う理由ってなんだ?」


「アタシってオカマじゃない?だから小さい頃いじめられていたの。でもそれを強い人に助けてもらったわ。だからアタシも強くなって助けたい。同じ悩みを持っている人にアタシを見て元気になって欲しい。そしてその人に恩返しがしたい」


「強いんだな。お前は」


「そんなことないわよ。アタシを助けた人ほどではないわ」


 へぇ、すごい人もいたもんだ。


「じゃあ試合がんばれよ」


「アタシを誰だよ思ってんのよ。あんな小娘けちょんけちょんにしてやるわ」

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