魔導大会
魔導大会は校長の挨拶から始まった。
それにしてもあの校長何者なんだろうな。誰も名前を知らない。挨拶も魔導学院の校長としか名乗らない。校長は聖人と言われているし、確かに良い人そうだ。噂によると黎明能力者って聞いたが。
参加者50人のトーナメントだ。今回は全員が能力を持っているらしいな。あっちゃんは第1試合か。
「第1試合!Bクラス 田中一郎 対 Aクラス AKKO ..... 始めっ!」
「アイスアロー!」
いきなり中級氷魔法か。でもあっちゃんの方が上手だ。
「ファイアーボールよ」
初級火魔法で軽く受け流す。蒸発する音が会場に響く。
あっちゃんは魔法も流石だ。魔法戦でも余裕で勝てそうだ。伊達に黎明能力者ではない。
「ちっ、キモいオカマのクセにやるな」
プツン.....。
「ダレがキモくて汚い醜いオカマじゃボケェ!ど突きまわしたろかワレェ!」
見れるかもな。あっちゃんの黎明能力。
「ふぅ..... 《ご う り き 〜》」
「身体強化したところで!」
いや、あれはただの身体強化ではない。彼は少し黎明能力を舐めすぎだ。
「上級氷魔法!アイスランス!」
飛来した巨大な氷の槍を手の甲で小突くようにすると..... 。
パァァン..... 。
氷が弾けた。
そして目にも留まらぬ速さで相手に接近すると
「せ お い な げ 〜」
地面に叩きつけた。地面にヒビがはいった。魔法師は常に身体強化をしているので、死にはしないだろう。あっちゃんがそんな真似するとも思えない。
あっちゃんの黎明能力は《剛力》。腕力で彼女に敵う奴はいない.....と最近まで思っていた。
「勝負あり!勝者!Aクラス AKKO」
「お疲れ。良い試合だったよ」
「AKKOさんはやっぱり強いね。羨ましいよ。」
山中、お前は黎明能力もってるだろ。
「手応えなさすぎよ!しかもアタシのことキモいっていったわよ」
「俺もそろそろ準備しようかな」
「頑張りなさいよ!」
「ああ」
.....俺の相手、詩織だけどな。
あっちゃんに聞いたらこの学院で1番強いのが1年の詩織らしい。しかもあのあっちゃんよりも力が強いという。
闘技場に下りる。
「久しぶり、雄二くん!」
「これって偶然じゃないよね?」
「まあまあ。出られたんだからいいよね?だって確実に戦うにはこうするしかなかったんだもん」
笑いながらそう答える。
「もうすぐだね」
彼女は獲物を狩る目になった。