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第十四話「ゴーゴーゴー」

幻視・幻聴の所為で日常生活に支障をきたす寸前です。

電車で相席したりしました、龍輝・喜一コンビと。

このままだと創作活動もムリです、怖いです。

誰か教えて。この症状の抑え方。

 ………………………?固い?

 それが俺が目を覚ました時、真っ先に思った事だ。

 狭いは、固いは、暗いは無音だわと最悪の環境だ。

 この状況から脱するべく力一杯回りの壁を押してみる。 微動だにしない。

 …………ヤバい、息が苦しくなってきた。

 早くどうにかしねぇと。

 渾身の頭突きをかます。

 ヨッシャッ!

 ピキッていったぞ!

 もう一度すると今度はヒビが入った。

 亀裂から光が差し込む。

 更にもう一撃で穴が空いた。

 両手を穴に突っ込んで、力任せに広げる。

 壁、と思っていたが実際は膜状でかなり薄い。

 それでも強度があるようで、俺は全力でやらなければならなかった。

 パカリッと縦に割れる。

 目をすがめていたのでそこまで眩しくない。

 急に復活した聴覚が覚聞き覚えのある声を拾った。

「タッチャン!身体何とも無い!?ちゃんと生きてる!?ホラ!この指は何本!!?」

 ピエロが俺の目の前で手を振る。

 超高速だ。

 指がどうこうより、先ずそれが手かどうかすら分からない。

「バカが一人」

「ああ!ダメだ!!頭の方がボケちゃってる!!!大至急病院に!!!!」

「行かなきゃ何ねぇのはお前だ!動態視力でも計りてぇのかテメェは!?限度を知れ、限度を!」

 俺が怒鳴ると漸く動きを止めた。

 再度聞いてくる。

「タッチャン、本当に大丈夫?」

「別に何ともねぇよ、どこも」

 身体を目で見て確認する。

 俺が入ってたのは卵だったみたいだ。

 俺の左右に殻が割れている。

「大丈夫…………見たいですね」

「良かったぁ。いきなりリタイアさせちゃったかと思って目茶苦茶ヒヤヒヤしたよ」

 屈む様にして俺を見る。

「大丈夫だって、俺はこんなんじゃ死なねぇよ。っとステータス」

 一応確認して見る。


ベビードラゴン


 HP78/78

 PP0/30

 SP0/15


「PPとSPがゼロになってるが、HPは全回復してるな」

「卵になったお陰ですね。自動で回復するみたいです。PPとSPが残ってたら死なないみたいですね」

「俺死んだのか!?」

「ウン。死んだ人用のエフェクトがかかってたもん、さっきまで」

「そ、そんな事よりさぁ!!PPとSPを回復させるお菓子を買ってきたよ!遠慮せずに食べなさいよぉ!!」

「ムグゥ!!」

 口に菓子を突っ込まれた。

 ペロペロキャンディーを口から引っこ抜く。

「ブハァッ!!何しやがる!!」

「エッヘヘェ………今すぐ冒険に出掛けたいから早く回復して貰いたくて」

 嘘だな。

 滝汗流して更にキョドってたら誰でも気付くぞ?

 まぁ、冒険がしたいのは俺も同じだが。

「………………そういや、モンスターバトルをしてるわけだが…………何して遊べば良いんだ?」

「ウ〜ン、言われてみればそうだねぇ。何して遊べばいいの?」

「水晶に聞けば良かったんじゃなかったけ?」

「ですね。公開表示、どうやって遊べば良いの?」

 ディスプレイが大きく広がる。

 図説付きだ。



 のんびりとしよう!


 自然を愛でるのも良し!コミュニティを作るのも良し!気ままな生活を楽しむのだ!



 大会に出よう!


 己の身体を鍛えあげて大バトルだ!



 冒険をしよう!


 旅に出て、冒険をするのだ!



 この三つだ。

 俺の目を引いたのはやっぱり、冒険をしよう!だ。

 漢は黙って冒険だ!!

「ヘェ、大きく分けて三つのグループがあるんだね。どれも遊び甲斐がありそう」

「どれにするか迷いますねぇ」

「私は冒険かなぁ。一番楽しそう」

「空野もそう思うか。冒険だよな、やっぱり」

 俺がそう言うと空野が目を輝かせて頷く。

「流石東君!!私と東君は冒険に一票!!」

 高々と挙げられた空野の右手を見て、喜一が苦笑する。

「咲花さんはどうしたいの?僕は大丈夫だけど?」

 そう聞かれた咲花ははにかんで笑った後言った。

「さっきは悩むとか言ってましたけど……実は私、その時にはもう冒険にしようって決めてて………笑田君はどうなんですか?」

「僕も断然冒険かな」

「満場一致ね!!そうと決まれば…………」

 挙げていた手を胸元に引き付け、そして止め―――

「どうすればいいの?」

 首を傾げた。

 思わず脱力する。

 勝手に反応してディスプレイの上に新しいディスプレイが重ねられた。



 先ずは魔法具を貰おう!


 自分専用の道具入れ等を貰っちゃえ!



 装備を整えよう!


 何も無いなんてノンノン!!



 パーティを揃えよう!


 一人より二人、二人より三人!ワイワイガヤガヤ楽しんじゃお!



 全部出来たら冒険の旅に出発!



 一つ一つの項目に地図が付いてる。

 これなら迷う事は無さそうだな。

 つーか、何でそんなにノリが軽いんだ、説明?

 まあいいか。

 俺は舐めていたキャンディーを噛み砕く!ハズだったが予想外に硬くて砕けなかった。

 気を取り直して言う。

「ヨシ!じゃあ、チャッチャッとやろうぜ!俄然ゲームしてるって気になってきた!!」

 何か燃えてきたぁ!

「あ、タッチャン。羽根がパタパタしてるよ」

 何!?ホントか!?

 見てみると羽根は動いて無い。

「動いてねぇじゃねぇか。目の錯覚か何かじゃねぇのか?」

「ウウン、さっき絶対動いてた」

 そう言って羽根を指でなぞる。

 サワサワしてスゲェくすぐったい。

「ヤメロ。こそばいだろうが」

「エッ?くすぐったいの?どの辺が?」

 くすぐったい場所を確かめてみる。

 序でに動かしてみた。

「アッ!また動いた!もしかして飛べたりするんじゃない!?」

 頑張って動かしてみた。

 身体がゆっくりと浮き上がる。

「オオ!俺今飛んでる!?」

 バサリバサリと少し長めの周期で羽音がする。

「スゴい!飛んでますよ東君!」

「ホント、スゴい!」

「ヤッタネ、タッチャン!」

 これで物扱いからは脱却出来るぞ!

 テンション上がってきた!!

「魔法具屋まで競争な?ゴー!!」

 俺は地図を見て飛ぶ。

 距離はちょっと遠い様な気もするが、こっちは飛んでるんだ。

 直ぐに着くさ。

 飛びながら後ろを振り向く。

 ……………………目測五メートル。

 喜一達がこちらを見ている。

 確実に憐れんでいるだろう表情で。

 徒歩四歩で追い付いた喜一が俺を頭の上に乗せる。

「ホラ、まぁ、落ちても大丈夫!って事でね!?」

「そ、そうですよ!落ちても飛べるんだから平気です!」

「ホラホラ、アメならまだ在るから、機嫌直して!」

「な、慰めるなよ!別に落ち込んでねぇし!その内速く飛べるようになるし、なってみせるし!」


 龍輝の精一杯の強がりを喜一達は優しく流してあげた。








纏めてゴー!!


この作品はフィクションです。実際の企業・団体・人物とは一切関係ありません。


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