狐の高校生
「ほら早く着ろ。遅刻しちまう!」
「ねぇ、私も高校入りたい!ねーいいでしょ?!」
「昨日からそればっかりじゃねえか。ほら、靴履いて」
「校長せんせんに頼んだらいいじゃん」
「校長先生だろ。って時間がねぇ!ユズ、行くぞ!」
「あぁ!!まってよー!!」
今日から高校2年生が始まる。家にユズ1人をおいておくと、帰ったら家がなくなってそうだからなんとなく連れてきてしまった。
「どうすんだ俺…涙」
「はぁ…はぁ…ユキト、は…はやいよぉ…」
「とりあえず校長先生に頭下げに行くか」
校長先生にこのトラブルメーカーのことを説明し、どうするか相談に行ったら…
「という事なんですけど、どうすればいいですか」
「う〜ん。今日から君のクラス入りなさぁ〜ぃ」
「あざす」
…ナンテコタ。なんだこれ。このひょろひょろメガネの校長が優しいのか適当なのか分からない。
「わぁ!!人がいっぱい!!」
「いいか、絶対に迷惑はかけるなよ?」
「分かってるよー♪」
一応、みんなにも話しとけって言われたけど、信じるわけ……
「まじでー⤴︎?!?!」
「すごい!ユズちゃん、狐さんだったの?!」
ほんとなんだこれ。しかも一瞬で馴染んでんじゃねえか。
「おい、ユキト。羨ましすぎてお前をぶち殺したい」
「俺も以外とキツイぞ。あと、お前はクラスで人気あるんだからいいじゃねえか」
「ユキトー!」
「なんだーユズー」
「ユキトって友達いたんだね!!」
「いるわバカッ!!…はぁ…友達はできたか?」
「いっぱいできたよー。それよりこの人は?」
「あぁ、こいつは三原陽向。昔からなぜかずっと一緒だ」
「ユズちゃん、よろしく!」
「うん!よろしく。ヒナタ」
「ウホッ」
「ウホッってなんだおい」
クラスのメンバーは受け入れてくれたみたいだからいいけど、大丈夫か。
「御子柴君ー!」
あ!あれはっ!
「よ、よう!古寺」
俺が中学の時から片思い留年中の古寺!おしとやかで優しい、そして可愛い憧れの女の子
「あ、ユズちゃん。よろしくね」
「ええっと……あっ!古寺美優ちゃんだ!」
「ありがとな、古寺。迷惑かけないようには言っといたけど…」
「うんうん。いいよ。ユズちゃんかわいいね」
古寺もです。
「まぁ、しばらくは人間の常識とかも教えつつだから、みんなに迷惑かけるかもな」
「俺は全然いいぜ」
「ヒナタ。セリフはかっこいいけど、ひん曲がった欲望が顔に出てるぞ」
「私も大丈夫だよ。ユズちゃんと仲良くしたいしね」
自然なニッコリのその笑顔。ストライク。
「ありがとー!みんな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「といった感じです。九様」
「よかったー。みなさんもあの子を受け入れてくださったのね」
ユズと学校から帰ったらあと、一応、九様に報告に行った。
「これなら、あなたも大丈夫ね」
「どうゆうことですか?」
「ふふふっ。右手に十分力を入れたあと、その手を大きく広げて、手のひらに神経を集中させて前に重っきり突き出してみてください」
「な、なんスカそれ、難しいな。まぁ、やってみます」
「まず強く握りしめて…」
「手のひらに神経を集中させて…」
「………ふんっ!」
ヒューーーッ
「え?!何これ?!風?!」
「やっぱり。それは風華の能力ですよ」
「ななななんで、俺が使えるんですか?!」
「心を許し、味方意識を強く持ったり、それ以上に思ったりすると、少し使えるのですよ」
古寺もいいけど、この九様の笑顔も凄まじい。ごっつぁんです。
「すげぇ!!これ!ちょーきもちー」
「あ!でも、使いすぎてはいけませんよ!?あなたが人間じゃなくなってしまいます」
「え?。つまり?」
「私は母から聞いたのですが、人間じゃなくなり、体と心が狐に侵されていき、狐になりきれず体がもたなくなってしまい…」
「Oh……」
まじか。つまり使いすぎるなってことだな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
一方その頃家では
「ぅう………」
「どうしたの?ミユ」
「ユズちゃん……御子柴君は留守番を頼める人を探してって言ったんだよね?どうしてユズちゃんは私を。何だか男の子の家にいるの恥ずかしいよ」モジモジ
「今はユキトいないから大丈夫だよー」
「で、でも…」
「あ、ももも、もしかしてユキトのこと嫌いだった?!ゴメン!」
「え?!いや違うよ?!す、あ…ぅ……」
「す………?」
「………ぇっと」
「まさか!ユキトのこと好きなの?!?!」
「こ、こここ声が大きいよぉ!!!////」
「ゴ、ゴメンゴメン」
「その、御子柴君には内緒で…ね?」
「うん!わかった!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「晩御飯の材料を買ってたら遅くなっちまった!」
今日は古寺も食べれるように鍋にしようと思ってたのにー!!
ガチャンッ
「あ、帰ってきたー!!」
「……///」
「ゼェ…ゼェ……ゴメン!遅くなっちまった」
「6:00ギリギリセーフにしといてやろう!♪」
「それはお前が帰る時間だろ…ハァ…ハァ」
古寺も鍋に誘いたい!ど、どうすれば……!!
「あ!そうだ!ミユも一緒に食べようよ!」
でかしたトラブルメーカー!!!今日だけはフォーチュンメーカーと呼ばせていただきます!
「えぇ?!でで、でも」
「今日は鍋にしようと思ってたし、ユズも喜ぶし、た、食べていくか?」
よし!完璧だ。頼むっ!頼むっ古寺!
「でも家に、蓮香と紬しかいないし…」
「ん?ツムギ?古寺の妹って蓮香ちゃん一人じゃなかったっけ?」
「あ、あれ?言ってなかったっけ。ちょうど春休みに入ったくらいの頃に…」
「ねぇねぇ!お鍋、食べながら話そうよー」
「えぇ?!でも蓮香たちが…」
「みんなで食べよん!♪」
げっ。行き過ぎやがった。まぁ、いっか。ツムギって子もきになるし。
「俺はいいよ」
「よしっ!ユキトは準備しててー!」
「おぅ!まかせろ」
「ミユ!二人を呼びに行こー!」
「えぇちょちょちょっと引っ張らないで〜!!」
「うぉ〜速っ」
古寺の分は恥ずかしながら買ってたけど、あと二人分か……野菜の残りを使えば足りるか。
よしっ。つまり……。
「古寺と晩御飯キタァァァ!!!!!!!!よしゃぁぁぁ!!!!!!!」
それから20分後〜
「たっだいまー!!!」
「ツムギ。ちゃんとお礼言ってね」
「おかえり〜。ちょうど出来たぞ〜」
「ひゃっはー!いい匂い〜」
「こらっユズ。ちゃんと手洗えよー」
「ほいさっさ〜」
「ごめんね、御子柴君。晩御飯読んでもらっちゃって」
「気にすんな!賑やかなのもいいしな。ってあれ?二人じゃなかったっけ?」
「蓮香が、学校初日から提出物が多くて…」
「そかそか、まぁまた今度時間あるときに誘うよ」
「ほらツムギ、おいで」
「ぅ……」
「こんばんわ、つむぎちゃん」
「………こ…こんばんわ…」
「ご、ごめんね御子柴君。この子、私と蓮香以外の人と関わるのが苦手で」
「まぁ、知らない男の家は緊張するよな」汗
「よしっ。二人とも上がって、飯食おうぜ!」
「うん。ありがとね」
「………」
ツムギって子、不思議な雰囲気だな。
もし、見てくれている人がいるなら、見てくれてありがとう!
まだまだ続くぞい