真実を見つけ出すために。 ~外伝~
彼が起こした出来事の...。
「...おう、ルヴィー」
ここは真っ暗な場所。
首、手足を鎖で拘束されている一人の男性と、彼に語り掛ける看守の
ような大柄の男がいた。
拘束されている彼こそルヴィー・ライド本人であり、これは彼の晩年の物語だ。
「...おーうおう、看守さん...ご苦労なこった。
食堂のおばちゃんにもっとうまい飯作れって言っといてくれや」
看守は彼に夜食を持ってきたようだが、
「...毎回、毎回...罪人が気安く俺に話しかけるな!!!」
と怒鳴りながら、味噌汁のような物を容器ごと彼の顔へ投げつけた。
「...熱いじゃねえかい。
もう死ぬのを待ってる身なだけだろ?少しぐらい贅沢させろっての」
だがルヴィーは話し続け、その様子をイライラしながら看守は
見ていて、看守の腰周辺にはクルーシア兵の紋章が目立つ。
「...お前の処刑日はまだ決まらん。
その時はこれまでにない一番残酷で、苦しい死に方をさせてやるからな」
そう告げると看守は彼へ唾を吐いて、出て行った。
「...きったねえよう...最悪だー...。
本当の事を言って、正しい事をしたのに何で俺は死なないといけない?
おかしいのは自分達ってわかんねえんだなー...。
俺は死ぬんだろうが、俺の子はあいつらもまだ気付いてねえはずだ。
...たくましい子を産んでくれよ、嫁さん。
おっかねえ顔してっけどあんたの血は俺が死んだ未来で生きる子達の
希望となるはずなんだ。
希望が必要ないなら俺はもっと美人な人と結婚してたんだからなー?
せめて夢見させてくれや...俺の血を継いだ奴らがあのくそったれな
連中に一泡吹かせる場面をよう」
そう呟くとルヴィーは笑う。
...
突然、その真っ暗な部屋のドアが開く。
「...お?逃げちゃっていいのかい?」
彼は喜んだ表情で立ち上がるも人影が入ってくる。
この時のルヴィーはおそらく30代後半で、グレムが多少老けたような
容姿だと思ってくれれば大体イメージとしては合ってるだろう。
入ってきた者は黒いフードと黒いマントを身に着けているせいか、
姿が全く分からない。
「...ヒーヒーヒー...バーカなクソガーキめ!!!」
突然ルヴィーはその人物のげんこつを食らう。
「...いってぇだろう、こっちは動けねえんだ...暴力はやめてー!
きゃー!こわいー!」
ルヴィーはふざけた様子だ。
「...親父、何しに来たんだ...?自分の命が無事なら子供さえ簡単に
見捨てるようなあんたが俺を助けにきたってか?」
その人物はルヴィーの父、ヨゲス・ライドだ。
「...お前ーを助けたーら俺がー死んじまーうだろーがー!
あんなー馬鹿なー事をーしなけれーば、お前-は死ぬこーとなかったー
んだがー!!!」
姿は見えないが、その話し方はあのヨゲスと全く同じだ。
「...馬鹿なのはどっちだよ...親父も守った一人じゃねえか。
いいか?守る事は罪だ。
今ならまだ間に合う、今すぐあれを手放せ...!!!」
いつのまにかルヴィーの目は真剣だ。
「...そんなー事、できるはーずないでしょーうが...俺がーここに
来たのーはお前ーを終わらせーるたーめになんーだい!」
そう言うとヨゲスは拘束されているルヴィーへ馬乗りになり、
ルヴィーは嫌がるも彼の口へ何粒かのモノを入れた。
(...やべー、眠いわ...)
その瞬間、少しずつ眠気が襲ってくる。
彼の様子を確認するとヨゲスは足早にそこから去っていった。
(...あの糞親父...。
親が子にそんな事するかよ、普通...)
瞳を閉じないようにするのに精一杯になりながらも、泣いていた。
(...けど痛いのに比べれば...ありがとさん...親父。
これもあんたの優しさだと思っとくよ、じゃねえとさすがに俺も
寂しいかんな...。
...だらしねえ、最後になっちまった。
いや、んな事ねえか...俺はちゃんとやったぞ。
誰もやらない事をきっちりやったぞ?
俺ほどメンタル強い奴はいねえからな...この世の全てが敵だったよ。
いつも一人、逃げて、隙を見て抗って...あの連中に会って、
賭けだったが、子にも恵まれた...あ、俺は幸せじゃねえか。
本当は顔ぐらい見ておきたかったけど十分すぎるほどかっこいい生き方
だったよ、自画自賛するわ...。
若い時は不安なんてたくさんあったけど結果的には最高よ。
本当に信じれるものは自分自身しかねえ...ルヴィー・ライド、
神に希望と称された男はかっこいい生涯でした...と。
お....すみ...アス...ペ...」
彼の最期は薄暗い牢屋の中だった。
そして彼を殺したのは実の父、ヨゲス・ライド。
彼の最期に放った言葉は...。




