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紡がれし罪の血と偽りの  作者: サン
災厄のパズル
62/123

予想外。






 偽りの者達が手放したモノと正統な者達が守ってきたモノの価値の違い。






 「雷撃は少しの間だけ我が氷で止める!

極寒の地であるサリーシャに棲む竜がどれほど強いか、王家に知らしめるぞ!」


雷門付近まで来たアイアスは雷門の雷撃の通る場所を氷で包むと

周囲の氷竜達に告げる。

アイアスの背にいるアルマと竜達だけなら雷門を通る必要もなかっただろうが

この後にサクリが通るためにだ。

叫びを聞いた竜達はザイスと似たように甲高い声を上げながら

王家に入っていった。


「...備えろー!」

「竜共が攻めてきたー!」

「クルーシア兵は恐れを知らぬ!」

「...ひぃぃぃ!!!メドリエ様ーーー!!!」


一瞬でその場に人は集まってきて向かってくる者が大半だが、中には

王城のほうへ逃げてく者もいる。


「...こんなもんではないだろう、王家は!

この前の小僧はどこだ!私は氷龍アイアス!!!

これほどで私を抑えられるとでも思っているのか!?

愚かな者共よ、まだまだ数が足りぬ!!!!!」


アイアスは雷門を通り言い終えると、彼女の体から放たれた矢のように

鋭い冷気が周りにいた兵達を襲った。

運良く致命傷は避けても冷気でできた矢に少しでも触れてしまうと徐々に

体が凍っていくようだ。

そして空中では竜に乗るクルーシア兵達と氷竜達が激しく争っていた。


(...力が違いすぎる...アイアス様...強い!)


サクリは雷門からそれなりに離れた場所にある林のような場所の1本の木の

影でアイアスの合図を待っていた。




 「忙しいようだね、姫様。手を貸そうか?」


王城の中であろう廊下を歩いていた不気味な衣装の女。

その耳にどこからか声が聞こえてきた。


「フェディオ様が出る必要もないとは思うのですが、ひとまず我と

クライズに任せてみてください」


振り向いたその女性はメドリエだ。


「僕もめんどくさがりだから本当はこのまま待機してようと思ったんだけど

外から予想外な思惑を持つ龍の意志が聞こえてきてね...姫様でも

雷撃を封じられたら厳しいんじゃないかなー...とりあえず見物はしとく

から危なそうだったら僕達も手伝うよ、頑張ってねー」


その声がどこから聞こえてくるのかは分からない。

付近から聞こえているのか、彼女の脳裏だけに聞こえているのかはまだ謎だ。




 「ダモースーへデヴーフィン...ダーモスへデーヴフィン...ダモスー

へデヴフィーン」


場面はあの拷問部屋だ。

ダモスは拘束されてしまっていて意識はないようだ。

そして目の前にはあのゲス老人、ヨゲスがいて頭に残っている少量の髪の

1本をくるくる回し遊びながらダモスの名を呼んでいた。


「王はー楽しみーを求めーている、ダーモスへデヴーフィン。

分かったーらさっさーと起きーて楽しーませなーさい。

我が兄弟ーよ」


ヨゲスはそう言うとダモスの頬をペロリと舐める。

兄弟とはどういう意味か。


「ヒーヒーヒーヒーヒー!!!!!」


そして笑いながらその部屋を後にし、扉を見ると鍵は開いていた。




 「思ってた以上に竜も捕まえていたのか、気付いてればもっと早くに

助けにきたんだが...なぁ?」


アイアスは襲ってくる竜達を見ながらフードの人物、アルマに問う。

竜達は翼を持たず4足歩行でずっしりとしていたり、2足歩行で

足の速い、騎士兵達がよく扱う竜とそっくりなのがほとんどだった。


「雷撃はどちらかといえば苦手な部類だが相手できない事もない。

私達の氷が溶けて地に落ち、水になった際に感電するのは翼で逃げる事の

できない貴様らクルーシアの愚か共だけだからな」


アイアスとアルマは圧倒していた。

アイアスは冷気を扱いながらするどい氷を纏った尻尾を剣のように振るい、

うまく生かしていて女からも惚れられそうなほどかっこいい。

アルマはフードで前が見えているのか疑問だが敵へかざした手の平から

氷球や氷矢のようなものを放ちながら敵を倒していた。




 「龍の分際でいつから我が王家に逆うようになったのだ!!!!!

王家がなめられては困るではないか?」


突然怒りに満ち溢れたような女性の叫びが聞こえ、正面を見ると

大きな網状の雷撃がアイアスとアルマを捕えようと迫っていた。


「やっと相手になりそうな者が来た、閉じようか。

...サクリ、後は任せたよ」


アイアスが林のほうを振り向き、呟いた瞬間彼女の周辺の冷気が大きな

リング状となり周りのクルーシア兵や竜、女を逃さず包むと10cmほどの

氷の結晶がゆらゆらと雷門を抜け、林のほうへ飛んでいく。




 「...あ!意外と大きかった...!」


サクリは小指ほどのサイズの冷気かと思ったが予想が外れ少々驚く。

そして彼女の足はついに王家の門へ踏み込む。


(アイアス様、アルマ様...)


サクリは門を入ってすぐちょっとした広場のようになっている場所の

氷で作られたリングの中で戦っているアイアスとアルマを見て無事を祈り、

奥のほうへ駆け出す。




 「...んおおおおお!!!開いた!!!」


牢屋のような場所にいる彼はグレム。

ずっと閉じ込められていたようだが外で戦う氷竜やクルーシアの影響か、

牢屋の壁が壊れすぐにでも抜け出せる状況だ。


「アルディア様ー!姉貴ー!ブルード!サクリー!皆どこだ!?」


グレムはその場所を抜け出すと王城内で叫ぶ。

だがそれが不幸を呼び寄せてしまった。


「...せっかく騎士兵達ほとんどぶっ殺して当分戦いはねえと思って

たんだけどなー、ったく...どんな竜だよ、めんどくせぇな...あ?

...あいつ...長ネギがなんで歩いてんだぁ...!?」


クライズは外へ向かおうと城内を歩いていたら目の前の後ろ姿と

その声に違和感を覚え、


(クライズ様による長ネギの刻み方講座のお時間ですよぉぉぉぉぉ!!!)


そう心の中で叫び、槍を手に一瞬で間合いを詰めた。






「...んおーーーーー!?」


グレムが振り向くと自分以上に目つきの悪い男が槍を振りかざしてきている

のだから恐ろしかった。




 この大陸、最後の戦いが始まろうとしている。

それは先人達のように。


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