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紡がれし罪の血と偽りの  作者: サン
災厄のパズル
57/123

真実を見つけ出すために。 ~外伝~






 可愛らしい少女と優しい笑みを見せる母親の。






 「イアちゃん、あの丘の向こう側に興味があるって?」


20代ぐらいの女性が手を繋いでいる少女へ話しかける。


「...そうよー!イアちゃん、あっちに遊びにいきたいの!」


その名はイア。

そう、これはイア・ネイラーデの幼少期の頃である。


「イアちゃんはいい子よ、だけどあっちに行っては悪い子になってしまう。

お化けやこわーい人がたくさんいるんだから。

絶対にクルーシア領内から出てはだめ、母と約束は守れるわよね?」


彼女はしゃがんでイア目線になると小指を出し、


「...約束しなさい」


笑ってはいるが、かなり低い声でそう言った。

その表情は娘であるイアでさえも恐怖を感じる。

それほど若い頃からメドリエ・ネイラーデは不気味な人物だったようだ。


「イアちゃんはいい子なんだからー!約束なんかしなくても守るわー!」


そう言うとイアは頬を膨らまし、領内へ一人で走って行った。

彼女を見送る母の視線は...非常に怖いものだった。




 「イア様、おかえりなさいませ!一人では危ないですよ!

メドリエ様と一緒ではなかっ、こらー!」


城内に駆け込んできたイアを見ると見張りのクルーシア兵は

彼女を捕まえ、肩をポンポンと叩きながら話しかけるが

そんな話もイアは聞く気はなく見張り兵の鼻に人差し指を突っ込んだ。


「イアちゃんは足が速いのよ!お母様なんて置いてきたわ!」


イアは舌を出しながら走り城内の奥のほうへ走って行く。


(...イアちゃんはクルーシアで一番偉いんだから!)


そう思いながらも、


(...あ、あれ何かしら...)


イアはふと立ち止まり、右のほうにある大きな扉に興味を持った。


「イア様ーーー!どこですかー!」


さっきの見張り兵が追いかけてきたのだろうか、男の声が聞こえてくる。


(しつこいわね、ダモス...イアちゃんは捕まらないんだから!

入っちゃえ!)


イアはその部屋へ踏み込もうと扉に手が触れた。

すると脳内に誰かの記憶が入ってくるような感覚に襲われ、まだ幼少の

イアにとってよほど辛いのか、頭を振りながらもドアノブに力をこめる。

そしてさっきの見張りはまだ若かりし頃のダモスだったようで

やはり幼少のイアも知っていたようだ。


「...あぶなかっ...うおーーーっと違うわ、全然危なくなかったんだから!

イアちゃんをいじめようとしたみたいだけどそんなの無意味なんだから!」


イアは部屋内にいる者の仕業だと思った。

だが辺りを見渡すと誰もおらず、おびただしい数の本で埋め尽くされていた。


(...絵本が...いっぱい...!)


イアは目を輝かせながら本のあるほうへ向かおうと駆け出す。

数ある本の中から1冊手に取り、近くの椅子に座りながら読み始めた。


「...むかーしむかし、おかのはなばたけにかこまれたきれいなばしょに

ひとりのかわいいおんなのこがいました。おんなのこはあるひ、はなばたけ

からかえるとちゅうにいっぴきのりゅうがたおれているのをみつけ、

りんごをもっていたかのじょはげんきがでるようにとさしだしました。

のいちごもさしだし、もっていたものすべてりゅうにたべさせてあげました。

みんながまってるからとしょうじょはりゅうにつぶやくとしんぱいしながらも

ちずをひろげ、いつもどおりかえりみちをいそぎました。

びりびりーととつぜんかみなりがなりはじめます。

きらーいかみなりなんてだいきらーいとしょうじょははしりだし

てなんとかいえにつきました。

はぁはぁといきがきれるもいえについたらぱぱとままがしんぱいしてくれて

いて、ぱぱはあめにぬれたかみをたおるですぐさまふいてくれます。

ままはかみなりのりゅうさんがけがをしたのかもしれないというとぱぱ

もしんぱいだねーとやさしいこえでいいました。しょうじょはあのりゅうだ

なーとさっきたおれていたりゅうのことをおもいだしました。

おねがい、たすけてとおねがいするとぱぱもままもたすけてくれました。

おしろではりゅうがしょうじょへおれいだととあるものをくれ、しょうじょは

うれしがっていました。それからなんじゅうねんもたちしょうじょ

のこどもができるとこどもにこういいました。おぼえておくとい

いわ、らいでぃあぷとってことばはね、しあわせになるまほうよと」


まだ物語は続いているようだったがそこで突然イアの耳に何かが聞こえた。

それは正面の扉だ。


ガチャ


その音にイアは扉を見つめ、

入ってきたその存在を見た瞬間、心臓の鼓動が速くなったのを感じた。


「イアちゃん、母はこっちの建物には入るなと言ったわよね?

いい子なイアちゃんなら来ないはずだと思うのだけど悪い子なイアちゃんに

はお仕置きが必要、そうよね...?」






 幼きイアが呼んでいた本の続きが今現在もなお彼女の記憶にあるのなら。


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