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紡がれし罪の血と偽りの  作者: サン
血筋の復活
31/123

死神。






 逃れるか、追いつくか。






 「これから...クライズが...あの...を...から...その...を消しにいく!」


どこかの広場で微かに誰かの叫びが聞き取れる。


「体中焼かれたようにいてえ...くっそ、何が起きてるんだ?」


意識が朦朧とするなかクライズは立ち上がり、周りを見渡すとメドリエのいた

王城の目の前にある広場にいた。

かなり広い事を考えるとここで月に数回、王からのお言葉を頂いたり、

何か行事に使われているようだ。


「ここは...広場か...メドリエは何を叫んでいる...」


クライズの視線の先にはメドリエがいた。


「...ん?...やっと、起きたのね!クライズこっちにいらっしゃい!」


クライズに気付くとメドリエは広場の中心へ招く。


「...は、はい!」


クライズは内心嫌でも仕方なく急ぎ足でメドリエの元へ向かう。


「皆、聞いてちょうだい...!

我らを混乱へ貶める者達がいる...その者らはかつて争った忌まわしい

残酷な一族なの...そう、それは龍を扱って弱き人を殺し、龍に食わせ、

クルーシア育ちであれば災いを運ぶと教えをうけたであろう、ライド一族...。

私は怖い...最近は恐怖で眠れなくて体調が優れないの...。

皆にも当然逃げてほしいとは思う...でも奴らは龍で追ってきて殺しに来る

のよ...。だからどうか今、クライズと共にこの平和なクルーシアを守るために

立ち上がってほしい...!

位なんて関係ないわ...我の誇れる国の強き男たちよ、民間人でも

構わない...家族を守るために戦いましょう...!

クルーシア軍も全軍で立ち向かいます、皆でなら怖くなんてないはず...!

奴らが襲いに来る前に、こちらから仕掛けて今まで無念に亡くなってしまった

人達のためにも...どうか...」


メドリエは腰を下ろすと土下座をした。


(演技が上手いな...俺だけは騙されねえからな、本当は心の中で

汚ねえ笑みを浮かべてんだろ...いいさ、今は。

いずれ根こそぎ俺のもんにしてやる)


クライズは心の中で呟くと、


「シャーダクーーーッ!!!」


と天へ向かって叫んだ。

すると空が割れ、割れた箇所から影が広がった。


「なんだ、あれは!?」


一人が発した言葉に皆の視線が天へ向くと、

薄暗い雲の中から赤い3つ目を持ち、鋭利な牙が生えそろった不気味な容姿の

龍のような生き物が現れていた。


「これは俺の龍、シャーダクだっ!!!

俺も軍の一部も扱えるから敵だけが龍を扱えるわけじゃない!!!

恐れるなーっ!母のためーっ!国のためーっ!俺は戦うぞー!

共に戦ってくれる仲間は準備を整え30分後にこの広場に集結、いいなー!?」


広場に集まった人達にそう叫び、クライズの叫びを聞き人々は

大きな声をあげた。

家族と話す者、武器になりそうな物を探す者、今広場は慌ただしい

状況だった。


「民間人から恐怖を掻き消すとは見事よのう、クライズ!」


突然すぐ後ろから男性の声がした。


「お父様!」


彼がお父様と呼んだ男は小太りでスタイルのいいメドリエよりも身長が

低く、威厳のある王とはかけ離れた体形だった。


「厳しい戦いになるとは思うがのう、何とか生き残りを残さないように

処分するのじゃぞ、愛しいクライズや」


そういうと彼は背を向け城のほうへ戻っていった。


「アイアスも連れていければいいのだけれど痛めつけても従おうと

しなくて今衰弱してるとの報告だからシャーダクとこちら側に

根付くライド家に対龍戦は任せなさい」


メドリエは言い終えると急にクライズを抱きしめた。


「...愛しいわが子...。その両手で二人の首を持って帰ってくるのよ」


と言葉を残し、城へ戻っていく。


「そういえば...前回の帰りに見た龍は何だったんだ...ま、いいや」


クライズは突然思い出した事を疑問に思いつつ、出向く準備を始めた。






 「アルディア様、ここらからは慎重に」


場面が変わるとヘリサがアルディアへ警戒を促した。


「そういえばここらへんで俺達はばらけたもんなあー」


グレムが呟くと、サクリは頷き騎士兵達は警戒しつつ進む。

辺りは岩肌がゴツゴツしていて夕方だからなのかより一層不気味な

印象だ。


「グループ分けして進むと前回と一緒になってしまうかな?」


アルディアは提案を述べた。


「前回は本当にばらけてたのでグループ分けとは言えないです。

私もそうしたほうがいいとは思いますし後方の騎士兵達へ

声をかけますがよろしいですか?」


ヘリサはその案の確認をアルディアへ問う。


「...いや、戦い方とかがまだ僕はよく分からないから...

それで何か起こってもどうしたらいいか...」


アルディアは相変わらず素直に戦闘不足を認める。

その返答には一瞬誰もが困ってしまったが、


「アルディア様よ、自分が少しでもいいと思って言ったんなら

とことん突き進んじまえばいいんすよ!

リーダーの判断なら誰も反対しねえし、もしそれが誤った判断だった時は

俺らがきちんと止めるんでやっちまいましょうや!」


グレムがアルディアへ意見を述べる。


「グレムの口の悪さはどうかご勘弁ですよ、アルディア様!

...でもその意見には同意です、少しずつ学んでいきましょう!

まだまだ知らない事ばかりですが逆にまだまだアルディア様は知る事ができます。

1歩ずつゆっくり踏みしめて共に歩みましょう、私でさえ知らない事は

あるんですから」


ヘリサもグレムに続いて意見を言うとイアやダモス、サクリ達は

ホッとしたような笑みを浮かべた。


「で、グループ分けはどうするおつもりかしら?」


イアがアルディアへ問うと、


「僕とヘリサさん、イアさんとダモスさん、グレムさんとサクリさん、

そこに騎士兵30人ずつぐらいで加わる形で」


付近にいる者に説明すると、早速グループ分けをした。

騎士兵は前回の戦いで多少犠牲者も出たが後から自分も人の助けに

なりたいと志願する者が増え、アルディア達が修復の手伝いをしてる

間に数十人増えた。


「峡谷なので多少響くとは思うので何か起きた時は叫んで知らせ合える

ように近くのグループの叫びが聞こえるぐらいの間隔、遠くに姿が見える

ぐらいの距離で行動してほしいです、とりあえず月も出てきて近くに川も

あるので一旦休憩しましょうか!」


彼の言葉に大勢の集団は川で水浴びする者、水を飲む者、魚を捕る者、

雑談する者、仮眠をとる者に分かれ英気を養った。






 場面が変わると峡谷の開けた場所でトーダスとアスルペが翼を休め、

寝ている。




「..........アスルペ」


ふとアスルペは名を呼ばれた気がして振り向いた。






「...死神が何故私を呼ぶ...」


小さく呟くとアスルペは再び体を丸め、眠りについた。




 前へ突き進む者達と、その後を追おうとする者達。

複雑な世界で複雑な鬼ごっこが幕を開けようとしていた。

そして幻龍の呟く死神とは...?


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