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紡がれし罪の血と偽りの  作者: サン
血筋の復活
27/123

風に乗り。






 逃げずに抗った先にあったのは。






 アルディアはアスルぺの背に乗りながら戦闘が始まっているであろう、

ヘリサ達の場所へ向かっていた。


「そういえば聞きたい事があった、なぜ森を毒で覆う必要があったのだ?」


アスルペは翼を羽ばたかせながらアルディアへ問う。


「『本当の悪』だけを逃がさないためにだよ...アスルペがさっきまで

戦っている間に4人の仲間が加わったんだ。

元々本心ではなくてもクルーシア兵として過ごしてきたらしく、

僕がライド家でアルマの息子だと気付いたら逃走を手助けするって

言ってくれた...クルーシアの狙いはおそらく僕だと思ったからその4人に

僕を見つけたと偽りの情報を流してもらって森の中で地形の険しい場所へ

敵が来るように仕向けたんだ。

本当に僕を殺したい者は真っ先に来るはず...そこで騎士兵達に

足止めさせて、地の利と夜の暗闇の中でアスルペの毒からも逃がさないように

月が出ないうちにアスルペに頼みに来たんだ。

味方はトーダスの加護のおかげで毒の効果は受けないから本当の悪だけが

息絶える...残酷でも仕方ない...僕は生きなきゃ。

森全体に毒が広がれば権力に従うしかなかったクルーシア兵達は

なおさらまた戻ろうとは思わないだろうからそっちの助けにもなればいいな」


アルディアは俯いた。


「トーダスがグラウンドアースの末裔でよかったな...木や土に守られ

毒を防ぐのか...。

一度私の毒が効かない光景も見てみたいものだ」


アスルぺは興味深そうに言う。


「...毒や加護とか...か弱いイアには規格外だわ」


イアはそう呟くと、


「...何か唱えて雷撃出せる女の子のどこがか弱いんだろう...」


アルディアは独り言のように言い、その言葉にイアは頬を膨らませながら

お得意の見下すような視線を送った。


「なんにせよ優しすぎるところもあるが...それもアルディアの個性だ。

大事にするといい...その個性に仲間は自然とついてくるのだから」


アスルぺは優しい声で話すと、出始めた月を見ながら飛ぶスピードを

上げる。






 場面が変わるとグレム達が口を開けたまま森のほうから出てくる影を

見つめていた。


「...あれーは...なーんで...すかーーーっ!?」


最初に口を開いたのはトロールを呼んだあの男だった。

自分のトロールが来るはずが、一瞬吹いた風と共に嫌な空気が影になり

流れてきたことに驚く。


「アルディア様達が成功して俺らが死にました!

...なんてかっこ悪すぎっからよー、てめえらは俺がぶったぎる!」


グレムは剣の先を男の首めがけて、そういい放つ。


「...わたーしの...かわーいい......トロールをおおおーーー!!!」


男はそう言うと目を見開き、涎を垂らしながら襲い掛かってきた。


(あいつはトロールの上にいた...おそらくボス格...!)


ヘリサは確信を持っているような目で、そのボス格を睨み、


「グレム、足止めごときで死んだらアルディア様に合わせる顔がないこと

覚えておきなさい!!!」


と3人のクルーシア兵を相手しながらもグレムへ叫んだ。


「なーぜ、そこまーでアルディーアライードを慕うーのだー!!!?」


男は剣を振りかざしながらグレムへ叫ぶ。


「...アルマ様には幾度も救われ...賢く...強く...美しい人で

尊敬していたーーー!ならその息子であるアルディア様が慕うに値する

方であることには間違いねえだろ!?...てめえはまずそのきもっちわりー

話し方と皮をむきかけの玉ねぎみたいな頭なんとかしてこいや!」


そう言うとグレムは男の膝へ剣を勢いよく突き刺す。


「ぎゃあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

...ちょ!ちょーーーーーーーーーーー!!!待ってーくだーさいよー!

わたーしたちーは分かーり合えーる!!!」


ボス格は痛みを堪えるような表情で語りかけ、ヘリサ、ダモス、ブルード、

騎士兵達はその光景を見ると、自分も負けてられないと闘志が彼らの背中を

押した。


「一度生きるってことをやり直してこいよ、それしかてめえが償える方法は

ねえんだ。来世でいいやつに生まれて来たら俺の弟子にしてやんよ。

ってわけだからおれーたちーは分かーりあえーねーんだーーー!!!」


グレムは馬鹿にしながら言い放ち、勢いよく剣を引き抜き、血を払った。


「...くっーーー!!!わたーしを...どうーする気...ですーか!?」


男は空気を吸うたびに息苦しくなることを毒とは気付かず、

刺されたからだと思っていて、傷口を抑えながらグレムに問う。


「...俺なんかが命の審判はできねえよ!あとはそういう存在の方が

てめえが行くべき場所へ誘ってくれるさ、じゃあーな」


グレムは背を向け、残ったクルーシア兵のほうへ歩みだす。






(おまーえは仲間をー...)


遠くなるその背へ男は何かを言った。




 風は複雑な真意さえ許さず掻き消す。


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