それこそが個々の。
目に見える災いへ、目に見えない知識で。
ここは遥か上空で何千体もの竜達が翼を動かし、どこかへ向かっていた。
「......もう近いな。いつも通りに神殿に入ったら静かにな、父はうるさいのが嫌いらしい」
雲を突き抜け、竜達の先頭にいたのはアイアスだ。
それから約数分後、何千体もの竜達が入りきってもまだ広々とした建物の中で、
「...父上、父上!」
とアイアスは自分の父親の名を叫んだ。
「......やかましい娘が帰ってきたか。どうせ仲間に建物内では静かにしろとでも言っているんだろうけどな、お前が1番やかましいぞ...アイアス」
突如、後方から低い声がして一斉に振り向く。
「...すまない、だが父上が無事でよかった。さすがに大罪龍もこんな深海に父上がいようとは思わないのでしょうね」
彼女が話しているのは自分の肉親で当然、アイス・ウォーターだ。
そしてアイアスは父の姿を見つめ、どこかホッとしたような表情を見せる。
「何を呑気に安心している」
だが彼女の父は娘の姿にホッとするどころか、厳しい目つきで我が子を見つめていた。
「......は、はい?」
怒りがこもっているようなその低い声にアイアスは一瞬、恐怖を感じた。
「...何を呑気に安心している...我が孫の姿が何故どこにも見えない!!!?」
その怒鳴り声に周りの氷竜達は肉体が硬直したように動かなくなり、アイアスは、
(......ザイス...レイラ...さすがに隠し通せないか......)
何かを諦めたようにその場に龍ならではの服従の姿勢を見せながら、
「...私の判断不足でザイスとレイラは敵の闇に呑まれてしまいました......どうか父上の知恵をお貸し頂きたい...」
彼女が言い切ったとほぼ同時にアイアスの肉体を強烈な痛みと共に衝撃波が襲った。
場面が変わるとクルーシアの広場にフェディオと呼ばれる龍、それに現在復活を果たした色欲以外の大罪龍達が何やら話し合っていた。
「...っていうわけだから神の一族が代々守っている神器を全て見つけ出し、それの破壊をするんだよ...あ、サンダリアンのはもう持ってるから大丈夫。それができればもう6龍体も残っている神もアスルペ・テミルスですら僕達が恐れる必要はないからね」
フェディオはそう言って、その場を後にした。
「...で、神器ってのはさ...えーと、まず『心眼』ヴァルゴの持っている『幻鏡水晶』、『氷姫』アイアスの持っている『知識の書』、『緑癒』のドライズが持っている『命の樹』、『闇狼』シャーガンの持っている『破壊の牙』、『天主』パルミアの持っている『鼓動の揺り籠』、『地主』サイドアの持っている『無限時計』で合ってる?」
ヴァリーは微かに記憶に残っていたその物の名を言って、隣の大罪龍へ問う。
「...あ、ヴァレーの兄貴...こっちはガリバード......あ、まって...今気付いたんだけどミラースいないと意思疎通できるやつ誰もいないんだけど!?まじで大丈夫、このチーム?え、今アスルペ・テミルスに奇襲されたら壊滅じゃない?え...?...フェディオの兄貴ーーー!ちょっと質問ーーー!!!」
ヴァリーは慌てた様子でフェディオの後を追った。




