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紡がれし罪の血と偽りの  作者: サン
命の樹へ。
118/123

妄想。






絶望への希望の上書き。






「......暴食かー、まだお前でよかったよ」


森の中で一人の男と一体の神が睨み合う。


「いつまでもちょこまかとととおおぉ!!!!!

もう鬼ごっこは終わりにしませんかいいいいいいいいいいいぃ!?」


神、いや暴食は男へそう言った。


「んあ?バーカ、それは俺のセリフだろうが!

お前らが俺を追っかけなければ終わることだぜい?」


男はそう返答するも暴食はどこか呆れた表情を見せ、


「少女はどこに隠しましたあああああぁぁぁ!?」


と叫びながらその場でバタつき始めた。


「...おいおい、赤ん坊じゃねえんだから暴れんな!そんなに暴れたって出てくる訳じゃねえし、

あの子は渡さんぜ」


男は暴食の様子を見て笑いながら言った。すると突然、


「リオさん!」


と人の名を呼ぶ少女の声が聞こえてきた。


「...あちゃー、花摘みはもう終わったのかい?まだメイコと暴食は会わせたくなかったんだけど...」


男の名はリオ、そして彼の名を呼んだのは16歳ぐらいの小柄で巫女のような服装、左眼が眼帯に覆われているメイコという少女らしい。


「はい、終わりました...が、あれが暴食......パルミア様の命の元、封印を」


少女が何やらニヤついている暴食に気付くと睨みながら何かを言おうとしたようだが、


「...ちょっと待てーい、まだ早いんだわ。今はまだ『その時』じゃねえし、お前さんの力は暴食には効かないだろう?いずれ来る世界を揺るがす程の戦争になったらパルミアを守ってやってくれよ」


リオという男性はメイコという少女へ優しく微笑み、頭を撫でながら呟いた。


「.....鍵の子の匂いがしましゅでしゅしゅしゅうううぅぅぅ!!!!!?もう逃しまままままませんよ?」


暴食は少女から視線を外さずに突然、突進してきた。


「...うっし、退散しよう。俺らはまだまだやんなきゃいけねえ事があるから捕まってらんねえんだ。アスルペだって...あ、そういえばお前アスルペをぼっこぼこにしたんだって?婆さんに聞いたぞ?お前にしてはよくやったじゃねえか、どんな小細工でアスルペに傷つけたんだい?お兄さんに聞かせてごらんよ」


彼は少女へ話してる最中にふと思い出した事を暴食へ問う。


「...アシュルペエエエエ???幻龍!?んんん????テミルス!!!!!アシュアシュテミリュス...って誰だっ......でしたっけええええええ!???あ、あああ頭がわれわれわれ割れるううううぅぅう」


暴食はアスルペの名を聞いた瞬間、その場に伏せをするかのように地に崩れ落ちた。それから間もなく、どこか苦しそうにその場でまたもやバタつき始めた。


「...ムーンイーター......神が暴食に負けてどうするってんだ?ライドの末裔が今アスルペと踏ん張って生きてる、あんたもまだ踏ん張れ...上書きされた心に上書き仕返してやればいい......それ以上呑まれたらもう戻れなくなるぞ」


男は暴食の点滅するかのように輝く紫色の両目を見つめながら言い、少女と森の奥へ去っていった。






「...このような異常気象はここ数百、いや数千年観測されていなかったはずなんです。それが最近立て続きに起きているということは世界のどこかで再び伝説上の大罪龍が目覚めようとしているのではないか...と。わたしも大変馬鹿らしい話だと思っていたのですが、最近のこの国近辺で相次ぐ龍の目撃情報と一週間前に起こった最強寒波を詳しく調べさせた結果、その事を起こしている龍があの有名な「氷姫」アイアスとその一族なのだと判明しました。不穏な動きで彼女が大罪龍の復活を目論んでいるのかもしれないし、最強寒波がこれ以上悪化するようならこの国からすればどちらにしろ脅威でしかない事から今日この場で彼女、『氷姫』アイアスとその一族の完全撲滅とそれに伴い、近々世界会議であるロワ・フェスタンを開く事をここに宣言致します」


記者のシャッターとフラッシュが止まぬ中、どこかの建物内でスーツ姿の老人がそう告げた。




勝手な思い込みと確信のない正しきは時に誰かを傷つける。


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