彼女の心境や如何に
いじめ、とは一口に言うが、それには程度も方法もいろいろある。
被害者の物に外的損傷を加えたり、どこかへ持ち去ったり、間接に精神的に追い込む物と、対象人物に直接危害を加えたりし、肉体に対してダメージを与える物とに大体は二分されるであろう。
そして、どうやら今回のいじめという奴は肉体的に負荷をかけるものらしく、どうやら発端となったのは実に三月程も前の事でクラスのやんちゃっ子な三人組の暇つぶしだったらしい。
この学園の先生は情けない事に一月後には気づいてはいたが、暗黙の了解の様なものが、三人組の親と結んでいたようなので手が出せないでいたそうなのだ。
他のクラスの生徒も流石に社長も息子ということもあり、手出しも出来ずにいたのである。
最初は数度殴ってお終い程度だったのだが、じょじょにエスカレートしていき、今学期になってからは救急車に乗れる位まできているのである。
とまぁ、上記の事は少し中が良くなったとある部の部長が教えてくれたことと少し自分で調べた結果である。
此処まで状況記載があって犯人が解っていないなんてそんなことはまったくなく、ほんの数十分で判明したのだが、一日経って今は何と学校からそう遠くない所にある良く見つけたな、と思わず褒めてしまった程のひとけのない工場跡にぶるぶる震えだした岡崎を引きずって三人できていた。
「あ〜っ、先輩A、B、C、D、……E、F、Gまでいんのか?A〜 G君お願いされたんで月に変わってお仕置きしにきたわけだけどよ。大人しくお縄についちゃあくれんかね。こちとらお前らみたく暇を親にしがみついてまでいじめして埋めるようなことしてる事の欠片程しか暇がねえんだわ。
今投降するんなら……そうだな、7人もいるし某戦隊物のコスチュームっぽい俺のオリジナルバージョンの物を着て一日挨拶運動で手を打ってやらんこともないぞ。みんなも恐らく十分反省したことはわかって許してくれるだろうし、これほどまでのことは今は考え付かない程の譲歩だぞ。どうだ、受けるか?」
扉を開けるとどこからかメガホンを取り出し、満面の笑みを浮かべて工場跡の奥の方にいる7人の男達とその目の前に転がっている傷ついた依頼者の方に向かって声を発した。
朝日の発言に上村はくすくすと笑いだし、岡崎はさっきとは違う感じに震えだしたのだが、どうやら男達は大変ご立腹な様子である。
「てめえ、ふざけてんのか!!??
つか、お前転校生のくせに何様のつもりなんだ?ちょーしこきすぎなんだよ!!」
男達の中の真ん中に位置していた者が地が少し震える程の声で怒鳴った。
「ふふふっ、俺はふざけているつもりは四割程度しかありませんよ。それに…何様、…ふむ。あまり考えたことなんかなかったな。面白い話題だな。まあ、差し詰め……。」
言葉を切り、突然ニヤニヤ笑いを止めて真剣な顔をして多大なる自信を持って言い切った。
「神様、と言った所かな。何の神か?という所は後々考えるとしてな。」
その時、その瞬間のその場にいた全員の人が思わず息を飲んだ。
「・・・・・ッ!!てっめえは、一度痛い目見ねえと分からねえみてえだな。」
「くふふっ、はなからそのつもりでいた人達がよく言いますね。それに、痛い目なら一度でっかいのを見てるから俺には必要ありません。むしろ、先輩達が見るべきだな。今ならタダで見れるがどうします、見ますか?」
「ははっ………ぶち殺せ!!」
男の掛け声と供に6人の少年が飛びだした。
「あ〜あ、熱くなっちゃって。多対小でしか戦う事も出来ない人が、そんなに痛い目に早くあいたいんですか?
分かりました、鬼島先輩!!お待たせしました。出番ですよ。」
朝日がドアの方に声を掛けると、ドアを蹴破って鬼島が入って来た。
「ふん、そいつがいるからいい気になってやがったのか。だが、こっちは6人だぞ。舐めるなよ。」
6人は怯む事なく前へと進む。
「6人なら勝てるそうですけど?先輩。」
そして、鬼島の所に四人が到達する。
「はん、6人だと。どうせなら、30人位連れてきやがれ。」
数秒で全員呻き声を上げながら地に伏せていた。
「にししっ、30人ですか。勇ましいですね。見てみたいな。」
「おめえが言うと冗談に聞こえねえんだよ。それより、もうお前に借りは返したからな、俺は帰るぞ。」
鬼島は帰り際に後ろから迫って来た男を一人を吹っ飛ばして帰って行った。
「冗談?はさておき、これで後は先輩一人ですよ。もう、謝っても効果ないっすから。」
リーダーの男はついさっきまでの自信に満ちた顔とは違って情けなく青ざめた顔になっている。
「は、ははっ、あ!!そうだ。こっちにはなぁ、女が……。」
男が見た先のどこにもさっきまでいた女の子はいなかった。
「女の人を人質に取ろうと男としてどうかとは思いますけど、残念でしたね。俺と先輩で楽しく話し合っていた時に俺と一緒に此処に来た人が2人いたでしょ。あの二人が連れてっちゃいましたよ。
これでチェックメイト、あんたを守る駒はもうないよ。クフフッ、何して遊びましょうか?」
「お、俺には、親が社長やってるんだぞ。お前なんて……。」
もうその少年の姿は情けない事この上なく、それが朝日の勘に触れた。
「この後に及んで親だと、それに言っただろ。チェックメイトって、摘んでるんだよ。言ってる意味は家帰ってママに聞いてみろ。お前みたいに情けない顔で教えてくれるから。言うまでもなくお前は有罪だ。退学何かではもう済まさないよ。お前の処遇は俺の掌の上に乗ってるんだからな。」
私が彼らの標的にされたのは3学期のことだった。
良い分は成績が良かったからだと言っていた。
その日から友達だった人達も私を避けるようになった。
痣を作って帰った時には親にかなり心配された。
だけど、すぐ春休みに入ってそれから始業しても何の音沙汰も無かったからもう終わったんだと思っていた。
ある日廊下ですれ違う時にふと目線があい、そこからまたいじめが再開された。
そんな時だった彼が転校してきたのは、残念なことにその目立ちすぎた転校生は彼らの次の標的に選ばれてしまったのだ。
彼らは私に言った。彼を誘き出したらもう金輪際関わらないと、私は悪いとは思ったけどそんなのは今の状況と比べたら遙かに小さな物で直ぐに彼を利用して終わらして、また普通の日常に戻ろうとした。
そして、彼の前で彼らに言われた通り依頼をした時に彼に言われた言葉に深く動揺してしまった。
これで、失敗になってしまうかと思ったら、思わず涙が出そうになった。
けど、彼は微笑んだ。
私の心の内を知ってる見たいに、酷く安心してしまって罪悪感で胸がずきずきと痛んで、それでいて胸の内が熱くなって、ドキドキして、頭を下げて飛び出して行っってしまった。
その晩は彼の微笑んだ顔が浮かんでは消えて、今日は授業にもなんだか集中できなくて、昼に彼が教室に来た時には思わず眼で追っていた。
でも、心がうわついていたのはそこまでで彼らが廊下で彼を見ているのを見た時には又胸が痛み出して、胃がどうにかなるんじゃないかとさえ思った。
そして、放課後になり彼らに連れられて人気の無い工場跡にきて10分程で彼が来て途中で岡崎君と上村君が私を7人の後ろの方にあるドアから連れられ外に出たのだが、驚いた。
彼は7人もの人に対して物怖じする事なく心底楽しそうに会話していて。
上村君が10分もすれば終わると言った通りに10分程で彼は出てきた。
四人は一旦学校の部室に戻ってきたが、上村と岡崎は帰宅して2人になった。
「先輩俺が依頼を受ける前に約束した事、覚えてますか?」
「えっとー、・・・対価のこと。」
恐る恐るといった感じで聞き返した。
「そう、話が早くて助かります。今回は結構俺頑張ったんですよ。だからね、強制はしませんけどここの部員になってもらいたい。正直、人数少なくて困ってるんですよ。いいですか?」
もっと凄い事を言われるんじゃないかと身構えてしまっていたので、少し拍子が抜けてしまって笑みがこぼれた。
「ふふふっ、いいですよ。」
こうして、三か月も続いたいじめ問題はあっさりと朝日の手で解決され,なぜ彼女は部員になるだけで済んだのかというとこのことにより生徒からの評判も、生徒会からの印象もよくなったからだという事は朝日以外誰も知らないことである。
第9回目
黒霧 彩
役職 裁判部新入部員
身長 156cm
成績 上の下 容姿 上の下
性格 少しお人好しな所がある
この子は今まで普通の模範のように暮してきたが、学年に普通で無い生徒が現れた事によりそれも崩壊してしまった。