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昼飯時の一騒動

午前中は特に何事もなく、昼休みになった。


机のものを全部かたずけたあとに

「今日はどうする」、と上村が言ったので、

朝日は一度見てみたかったらしく、

「今日は食堂に行って食おう」と答えたので食堂に行って昼食を食べることになった。


(ホントーに食糧確保合戦ってたいへんなんかなー。)


元より岡崎は食堂に行く予定だったので、

「俺先に行くから場所取っといて。」

と言って教室を飛び出して行った。


他の人もちらほらといそいで食堂に向かって教室を出て行って静かになったところで、

「俺らも行こうぜ。」

と、声を掛けた。


朝日と上村は鞄からなにもプリントされていなく地味な色をした包みに包まれている弁当を取り出すとゆっくりとした足取りで食堂に向かって歩いて行った。







食堂について直ぐの所に空席が少しあったのでそこに岡崎の席の所に包みを置いておいて二人は向かい合うような形で座った。


「なかなか活気があるなあ。なぁ、もう先に食べ始めとかねえか?別にあいつをまって食ってもなんもないだろ。しいて言えば、あいつが少し喧しくなりそうだってとこだけだろ。」

特に反対することもないので先に食べ始めておくことにした。

食堂の中は教室と違って生徒の数もかなり多く、それに購買の方は食料の確保のためかひときわ騒がしかった。


「そうだね。僕も今日まで来ること無かったから全然知らなかったよ。」


岡崎はもう何回か来ているらしいが、上村はずっと弁当でいつも教室で食べていたので今日が初めてらしい。


「そうなんか。・・・・・・・でも、こうゆうのも悪くないな。お、先生も結構いるなぁ。」


この学校の学食はメニューが多くあって、値段も安いので先生方に人気があり先生の半分以上がここで昼を済ましている。なんでもメニューが多いのは先生方の意向だそうだ。(新聞部談)


「あれーっ、俺らの担任が来てないぞ。」

あの面倒くさがりが弁当、・・・・・そうか、いや、でもまさかな。


「僕らの担任なら職員室で弁当を食べてるよ。」


「コンビニによって買って来てるのか?」


「え、知らないの。あの人もう結婚してるんだよ。奥さんがよくできるってことでこの学校では結構有名なことなんだけど。明君なら普通に知ってると思ったんだけど。」


クッ、あいつは結婚なんてありえないだろうと思ってリサーチなんて全然してなかったからなあ。人は見かけで判断するな、という言葉を浸透させた人はホント凄いな。




「・・・・・・・・ん、誰か僕にいちゃもんをつけているみたいだね。・・・・・・・・・誰だ全く見つけたら・・・・・・フッ。」





ビクッ、うおっいきなり何か寒気がしたぞ。


「大丈夫、少しおかしかったよ。」

突然ブルッ、と震えたので不思議に思った。


「ああ、・・・・・たぶん大丈夫だ。」



「ふぅ、待たせたなっ、てかもう食べ始めてんのか。ちょっとぐらい待っててくれてもいいじゃんか。」


岡崎がパンを買って二人の所に来た時にはもう既に食べ始めていたので、それまで2人を自分が待たせて申し訳ないなーと思っていたので、思わず口に出た。


「別にお前を待って食べても先に食べてもそんなに変わらんだろ。それより結構早かったな。まだ買えてないやつもたくさんいるみたいだけど?」


「ああ、それなら。何か今日は4限目に2,3年は集会があったらしくて、俺がここに来た時はまだ一年しかいなかったから人数が少なかったんだ。」

言われてみてみると、確かに今並んでいる(?)のは大半が2、3年生だった。一年生はもう大半が買い終えてご飯を食べ始めている。






そして、3人共々何とも無しにぼーっと見ていたら集団が急に乱れた。


上村と岡崎は何がどうなったんだろうとその場で考え始めて、二人がほぼ同時に朝日に意見を求めようと思って見てみるとすでにその場に朝日の姿はなく、辺りを見て見ると、案外直ぐに朝日の姿は見つかった。


いつの間にか、朝日は購買の前の人ごみの中心らしきところにいたので2人は顔を見合わせて驚いてしばらくの間、傍観者になって状況を把握することにした。





(ホントだ、購買の所は2,3年しかいない。・・・・・・・・・・・・・ん、少し様子が変わったな。・・・・・・・ヘッ、行ってみるか。)

周りの人たちが反応するよりも早く朝日は動き出した。


そして、列が乱れたのはある一人の生徒が、生徒を殴ったからである。


殴った生徒はガタイのいい3年生で、殴られた生徒も3年で身長は平均的だったが、如何せん体重が軽かったので少し吹き飛ばされて、背中から仰向けに床に倒れた。

ここでようやく周りの人達は何が起こっているんだと騒ぎ始めた。


殴った生徒が追撃に入ろうとして、近づいたところで二人の間に一人の生徒が割って入って来ると、いったん足を止めた。それをちゃんと確認してから、倒れてる方に向かって言った。


「僕に任せますか?場を治めてあげますよ・・・・・・・・・・・・・・・・はいorいいえ。」


反応が遅かったので促すと、その生徒は少し体を起こしてから首を縦に一度大きく振って肯定を表した。その答えに満足したのか、一度倒れている生徒に微笑みかけてから体の方向を180度回転させて殴りかかっていた生徒に向かい合った。


「だそうですー、鬼島先輩。」

鬼島 則之 朝日作成清高有名人リストに載っている人物で、本校で3,4番を争うほどの強さで、少しカッとし易い性格をしていて、先生方の注意人物の一人。


「お前は関係ないだろ!!出しゃばるな!ブンッ、・・・・」

すごい剣幕でどなし立てて、朝日目がけて右腕を振りおろした、

が朝日は左手で相手の攻撃をいなしてかわした。


はぁっ、この人も世話が焼けるなぁ。

「無関係ではありませんよ、・・・・・・・部長に頼んだんだから。それに、・・・・・・・」

鬼島の近くによって小声で本人にだけ聞こえるように言った。


「・・・ここはギャラリーが多すぎます。それに先生もたくさん見ていらっしゃるようですし、退学にはなりたくないでしょ先輩。やるなとは言っても意味がないから言いませんが、今は止めといた方が良いですよ。」

そう言って離れて最後に周りの人みんなに聞こえるように一言、


「この事の顛末は俺に委ねられたんですよ。」と言った。


小声で言った言葉で鬼島は落ち着いてきたらしく、話しを聞いてやるとゆう感じでこちらを睨んで来た。


ひとまず落ち着いたみたいだな。


「先輩がここに座ってる人に殴りかかったのってこの人に変な言いがかり付けられたからですか?」


「ああ、そうだ。こいつがいきなり・・・・・・・・・・ってお前、何で知ってんだよ。」

鬼島は途中で変に思って尋ねたが、朝日は黙ったままでいる。


そうか、やっぱりな。・・・・・・・これで9割方は解決した。今回はすっきりとまではいかなかったのが少し残念だな。・・・・・・・だが、俺の近くで二度はさせてやらんし、これは恐らくこれで終わるということは絶対ないだろ。今回も後ろに誰か・・・・・か。

フフッ、せいぜい簡単に終わるようなことはしないでくれよ、謎は深ければ深い程面白いからな。




「おい!何で知ってんのかって聞いてんだよ!!」

おっと、まだこの人達が居たんだったな。さっさと終わらすか、そんなに時間も掛けてられんし。


「僕が分かったのは、ずばり・・・・・床におそらくこの人のだと思うんすけど、こんな財布が転がってたんですよ。」

朝日はポケットの中からブランド物の財布を取り出して床にいる先輩の前で見せた。


「確かに、これは僕のです。」

財布は先輩に直ぐに渡して聞いた。


「で、先輩あなたはいきなり後ろから財布を取られて振り返ったら、怖ーいこの人が立ってたから直ぐに疑ってかかったんでしょ?」


「そ、・・・そう、です。」

2,3度鬼島の方に目をやりながら答えを返した。


当然鬼島は切れそうになったが、朝日が鬼島の眼を見たことで寸前のところでこらえた。


よかった、ふぅ、こんなんでよく今までこの人学校にいれたなあ。


「鬼島先輩。財布盗ったんですか?」


「んなことするわきゃあねえだろ!!」

ついつい茶化しちまった。まあ、これはもう俺の性分みたいなもんだから仕方ないとこがあるからなあ。それに、直す気も無いしな。


「冗談ですよー。貴方がお金が欲しいんならこんなところでこんな取り方しないと思いますし、どうせやるなら後ろからじゃなくて前からですよね?」

そうなんだよな、誰だってこんなところで取ろうとしたりするはずは無いんだけどな・・・・・・・・・・・・・・・・普通は。


「俺はカツアゲなんてしないが、こんな所では絶対やらんだろうな。」


「でしょーっ、てことでもう鬼島先輩は帰っていいですよ。必要ならこっちから伺いますんで。」

この言葉には周りにいる人のほとんどが驚いた。

そして、鬼島が言葉を発しようとしたが、その声はちょうどいいタイミングでなり始めた余令のチャイムの音で誰にも聞こえなかった。・・・・・・・・・・・聞くことはできなかった。


「フフフッ、切りもいいのでここら辺でお開きにしましょう。授業に遅れると少しまずいでしょう。鬼島さんも一発思いっきりやったんだから一先ずここは帰って下さい・・・・・・・・・・・・先生方と先輩はちょっーーとだけ付き合って下さい。」

生徒と供に教室に戻ろうとしていた数人の先生と当事者の先輩だけ呼び止めた。




「先生方は鬼島先輩がこの人を殴ったということに対しては罪に問わないで頂きたいんです。」


このことには全ての先生が納得できなくて、一人の人が皆の思いを代弁して言った。


「それは納得しかねますね。何があったとしても人を殴ったりしてはいけないのに、彼はそれをしてしまったんだから。」

ハハッ、面白い事を言うなあこの人達は。いっそのことこのままほっといてこの人達が先輩にぼこられる姿も見てみたいんだが、今ここに先輩居ないし、当事者が居ないとこでこういう話しされるのは嫌いなんだよな。


「先生方も少し冷静になってみて下さい。今、この先輩が一番恐れていそうなことは何ですか?・・・それは鬼島先輩のことでしょ。貴方達があの人を自宅謹慎にでもしたら、恐らくこの人は危なくなるでしょうねぇ、夜道には特に気を付けなくちゃならないかもしれない。

けど、これは事を穏便に済ませれば済むことなんです。・・・・・・・・先輩は仕返しとかしたいんですか?」

この問いかけに対する答えも首を縦に振るだけで口を動かさずに答えた。


「この人は出来るだけ穏便に済ますことを望んでいるんです。この申し出を貴方達が断るのはいささか、出すぎたことじゃないんですかねえ。」

ここまで来ると先生も答えに詰まった。


「ハハハッ、まさかとは思いますけど別に先生たちは生徒に体罰をするのが好きなんじゃないんでしょう?」

この言葉にもうまくいい返すことができない。


「だったら、この件はもう無罪放免ってことでいいですね?」

渋々頷くしか無かった。


「では、この話しも終わりにしてもう僕と先輩は先に行きますね。」

と言って二人で食堂を足はやに出て行った。





「先輩はこの結果には満足なんですよね。」

2人が廊下を歩きながら話をしているところである。


「う、うん。あのままだったらどうなってたか分からなかったし。」

それを想像するだけで、体が震えだしてしまう。ホントに今隣にいる少年が間に割って入って来てなかったらどうなっていたことか。


「フフッ、なら。・・・・・・・・・・・・・先輩は僕の部の事は知ってますか?」


「知ってるよ、有名だから。」

今この学校であの部の事を知らない人は宝くじで1万円当てることより遙かに難しい。


「そうですか、ありがとうございます。じゃあ、・・・・・・・・・・・・・僕の部がタダで動いているというわけではないということは知っていますか?」


「・・・・・・・・・・うん」


「見返りを要求したいところなんですけど、今のところ無いんですよ。だから、今回の事は貸しにしときます。・・・・・・・・じゃあ、僕はこっちですので。機会があればまたご利用ください。」

先輩は少しその場で考え込んでから、教室に戻って行った。






フフッ、これで動かせる人が結構集まってきたな。

それに、今回の件はまだ何かありそうだし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・楽しくなってきたかな?



あーーーーーーーーっっ、そういえば、昼飯まだ全部食ってない。

弁当はたぶん気が利く上村が教室まで持って行ってくれてるだろうけど、・・・・・・・・・・・・まったく〜、ほんと人騒がせな人達だったな。




紹介No,7


鬼島きじま 隆一りゅういち


身長188cm 体重86kg


成績 中の下


容姿 中の上 この人は顔は整っているが、髪で顔が隠れてしまっていて、ちゃんとしたら上クラスには行くだろう


性格 短気、喧嘩っ早い 



教師たちのブラックリストに記載されている


喧嘩が校内で3,4番ぐらいに強いらしいが、後の上位2人は・・・・・・・・・・・・・

そして、この強さの人のパンチを平然とかわした朝日はいったい・・・・・・・・・・・・


今回の事件の本当の目的は何処に?


この回もここら辺で終わりにします。

よろしければ、次からも読んで下さい。


追記;いきなりあとがきを増やしました、済みません。自己紹介をどこで使用か考えた結果あとがきの欄にすることに決めました。



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