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第13話:暗殺者

 自分の作品がきちんと投稿されたか確認するため、私は携帯の更新通知にも自作品を登録するのですが、どうにもサブタイがきちんと表記されないんですよねぇ~。

 予約投稿の数分前まで修正作業しているとなりますが、今作は朝のうちに次話の修正を大体済ませているので単純に深夜零時に投稿する人が多いからかもですね。


 次回作からは時間を変えるべきか……。


 

 アイバスの街よりも割と北に位置するカライン男爵領。その領地を治めるカライン男爵は面倒くさがりな人間だった。


 物語に出てくる悪徳貴族を絵に書いたような愚鈍で、さらに暗愚で、そして愚かな男。


 とはいえ、物語に出てくる悪徳貴族と違うのは、領民から不当に重税を課して搾取するのも面倒と考え、

 自分で行動することすら面倒がって優秀な部下に領地経営を丸投げしていることだろう。


 おかげで土地柄的には特に特産品があるわけでもなく、優秀な冒険者や私設騎士団を持っているでもないのに金には困っていなかったりする。


 贅沢は好きだが、味覚に優れている訳ではないのでスーパーの見切り品コーナーに売っている肉や野菜でも満足する男。それがカライン男爵。


 流行に疎いため、「これが今ブームの服です」と部下から言われればワンコインの安物の服でもドヤ顔で着こなしてしまう男。それがカライン男爵。


 外出も面倒がって、部屋でゲームや漫画に熱中する男。それがカライン男爵。


 周りの太鼓持ちの部下も、主のことをよく分かっているために媚びへつらう。

 そしてお金をケチるために、スーパーの特売は必ずチェックし、主に勧めるゲームはやり込み系のマゾゲーばかりだ。


 一本、七千円ほどのソフトを買い与えれば半年は部屋で遊び続ける。それがカライン男爵なのだ。


 そんな訳で、領民からの印象は屋敷に篭って出てこないことから、内向的で領地経営は有能な貴族だと思われている。


 有能なのは部下であり、カライン男爵自身は愚鈍で暗愚で愚かな三流貴族なのだが、それを知るのは彼の部下のみ。


 なのだが、時たま無茶振りすることもあるのがこのかライン男爵の悪癖でもある。なにせ物語に出てくるいかにもな悪徳貴族だから悪人なのだ。


 遠く離れたアイバスの街に、産業スパイのノリで送り出したピエーホールが裏切りに近い行為をしたことで、怒り心頭となったカライン男爵。


 そんな彼がまっ先に行ったこととは!?



「むっふふふぅ♪ チンピラを送り込んで嫌がらせをし、そいつらをピエーホールが改心させたら過去の罪が襲いかかる的な流れでチンピラ集団もろともアイバスの街に吾輩自らが出向いて大打撃を与えてやろう♪」



 こうして面倒くさがりのカライン男爵は珍しく自発的に、典型的悪徳貴族らしさを発揮することとなった。


 まぁ、それは実際問題、失敗に終わったので放っておくとしよう。かライン男爵はちょっと頭がアレな人なので自分が愚かなことにすら気づいていないのだから。


 そして失敗すれば次の作戦を考えれば良いと思い、実際そうやって今回はおとなしくしているのであった。


 そもそも、自分から出向くだなんて深夜のノリでハイテンションにでもならない限りありえないのだから。



 ◆ ◆ ◆



 草木も眠る丑三つ時。アイバスの街は辺境に位置しつつも、その巨大さと人口の多さで歓楽街はこの時刻にあっても賑わっていた。


 そんな歓楽街の喧騒に後ろ髪を引かれるものはあるものの、Aランク冒険者のゴランは暗くなった路地裏を提灯の輝きを頼りに一人帰路に着いていた。


 独り身の彼にとって家に帰っても待つものはいないが、それでも長年住み慣れた愛着のある我が家。そしてそこに続く帰り道。


 提灯すら必要ないくらいにその道は覚えているのだが、ゴランはいつもの帰り道に違和感を感じていた。



「(二人……いや、三人か)」


 暗がりから様子を伺ってくる怪しげな気配が三つ。丑「三つ」時なだけに、というギャグが浮かんだ彼だが、隠れている気配は冗談の通じる相手ではないことを察して言わなかった。



「出てきたらどうだ?」


 立ち止まって声をかけても気配は動かない。

 ゴランを狙っているのは確定的に明らかだというのに、まだ隠れきれていると思っているのだろうか?


 否! この気配の主たちは、自分たちの存在が気づかれていても不意打ちで確実にゴランを殺すための作戦を今から練っている最中なのだ!!


 今回のお話に出てくる敵キャラ達の作戦では、

 自宅に帰ったゴランがポケットから玄関の鍵を探すために片手、もしくは両手が一瞬でも塞がる瞬間を狙い、

 玄関マットを引っ張って受身を取れない状態で転ばし、

 玄関戸なり地面なりに頭をぶつけて事故死したようにみせる大作戦だったのだ。


 万全の状態のゴランはアイバスの街でもトップクラスの実力者。

 そんな彼を相手に、事故死に見せかけて上手く殺すのは難しいだろう。そもそも普通に戦って殺すことすら困難だ。


「……」


 しばらく様子を伺っていた謎の気配たちと同様に、ゴランもまた気配の主を探っていた。


「(気配Aは緑色の長い髪、赤い瞳。性格は打算的でしっかり者の美少女。

 気配Bはショートボブの赤い髪、青い瞳。性格は行動派のおてんば娘の美少女。

 気配Cはパーマがかかった金色の髪、青い色の瞳。性格は甘えん坊で人見知りの美少女。……一番好みだな)」



 Aランク冒険者洞察力により探った気配たちは、全員が少美女のようだ。


 暗がりの障害物に隠れて物理的に姿を見ることは出来ないのだが、

 Aランク冒険者のゴランにしてみれば空気の揺れ方で隠れた相手の容姿や性格を看破できる。


 しばらく探り合いをしていたが、気配の少女たちは意を決して同時に飛びかかった。


 多勢に無勢。暗殺少女たちの方が有利に思われるかもしれないが、掛け声とともにアンブッシュを仕掛けた彼女たちの攻撃は不発に終わる。


 ゴランは雄叫び一つで彼女たちを吹き飛ばし、武器のみを自壊させる「音」による攻撃を行った。


 ゴランは巨大なハンマーを背負っているためハンマー使いに思われがちだが、音を武器として使う繊細な音楽家でもあるのだ。


 以前、ハタカも声を使ってオークの群れを爆発四散させていたし、ゴランも同じことはできるのだが、

 可愛らしい少女たちを、不意打ちで殺されそうになった程度で殺し返すのは後味が悪いので手を抜いたのだ。


 次にゴランは、できる限り穏便にすませるために脅しの意味も兼ねて背のハンマーを構える。



「おい、オレの岩をも砕くハンマーが振るわれる前に狙った理由を言ってみろよ」


 少女たち三人は寄り添うようにして震えていた。


「……そういえば、オレって顔が恐かったよな。

 悪ぃ、声も出ないほど恐ろしいか?」


 さもありなん。ゴランは実際強く、確かな技前に裏打ちされた高ランク冒険者だ。


 雄叫び一つで彼女たちの戦意を喪失させ、なおかつ物凄く顔が恐い。


 子どもが想像する恐い顔そのまんまな傷だらけでゴツイ顔。そんなゴランが震える少女たちを睨みつけているのだから、傍目にはゴランが悪人のように見えるだろう。


 だから、そう見えた一人の保安部隊長の武士団リーダーが介入した。


「スタァァァァァーップ! 動くな!

 貴様は見目麗しい少女たちが恐怖する顔立ちをしているという罪を犯した!

 黙って付いてきてもらおうか」


 Sランク冒険者でもあるタロウだった。


「ぅえ!? え、ちょっ、タロウさん!? オレは別に何も……」


「言い訳は詰所で聞く」



 目にも止まらぬ速度でゴランに接近すると、パンチ一発で首の骨を粉々に殴り砕くタロウ。


 それと同時に回復ポーションをゴランに振りかけたので瞬時に治癒。


 だが、砕けた骨が血管やら神経やらを傷つけた衝撃でゴランはそのまま気絶。



「しっかし、ゴランはハタカを好いていたからショタかと思ったが、普通にロリもイけたのか。

 知らなかったな」


 まぁ、ゴランはタロウにとって冒険者の後輩のようなものだし、本気で疑っていたわけではない。


 だが普通に話し合いで解決しては面白くないので必殺・骨砕きパンチで意識を落としたのだ。



「さぁ、麗しき可憐な少女たち。

 私はこの街の保安部隊長のタロウだ。君たちを助けてあげよう」


 無駄に爽やかな笑顔を見せるが、少女たちはタロウではなく気絶して倒れているゴランへと向かった。



 首の骨を砕かれ、ぴくぴくと痙攣しながらも持ち前のAランク治癒力でこの瞬間にもポーションの効果と相まって骨を再生しているゴランを、気遣うように少女たちが取り囲む。


 最初こそ、恐い顔に驚いた彼女たちだが、ハタカのキラキラな瞳を常に見続けたゴランの心は完全な円さを持っている。


 よ~~く見てみれば心根の優しさが感じられるのだから、小さい子どもからも最近は特に懐かれるのだ。


 かくして! カライン男爵の放った第二の刺客……ではなく、ただの物取りの少女たちはゴランの家で居候することになるのであった!!


 明日が最終回で二話同時更新の予定です。深夜零時は込むようですし、投稿時間をどうしたものか。


 お読みいただき、ありがとうございます。

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