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サディストとマゾヒスト

 黄忠は劉備の額に狙いを定め矢を放った。

「うお」

 矢がビュンッという音を立てながら、劉備の頬を掠めて地面に突き刺さった。

「おっかねえな」

「うふふふ」


 劉備は剣を抜くと、腰を深く落とした。黄忠は矢を一気に三本振り絞ると、劉備に向かって一斉に発射した。


「うりゃあああ」

 劉備は剣で空を薙ぎ払うと、放たれた矢を全て虚空へと弾き飛ばした。そしてその隙に黄忠目掛けて走って行った。リーチの短い剣では、接近戦を挑む他、彼に勝ち目は無い。だからこれは当然の行動と言える。


「おっぱいいい」

 劉備は剣を黄忠目掛けて突き刺した。彼女はそれを避けるが、すぐさま、次の一撃が彼女の胸元目掛けて放たれる。


「なんて奴。黄忠先輩の胸しか狙っていないぞ」

「ああ、分かりやすい奴だ」

 周りの生徒達からの声も、今の劉備には賛美の声にしか聞こえない。そうこうしているうちに、劉備の剣が黄忠の胸元を僅かに掠った。


「ああん・・・・」

「くそ、惜しい」

 まるで深夜のお色気番組のような勝負に、周りの生徒達は何を思っただろうか。少なくとも劉備にとっては真剣勝負だったし、黄忠も負けるわけにはいかなかった。

「近付いてしまえば、あんたの弓は意味が無いぜ」

 劉備は得意気にニカッと歯を見せて笑うと、そのまま黄忠の背後に周り、その豊満な胸を、まるで重さを計るように持ち上げた。


「うりゃ」

「はにゃああん」

 劉備は背後から容赦無く胸を揉んでいた。

「どうだ、オラオラ」

「ああ、ちょっとお、上手じゃないのぉ」

「え?」


 劉備は無意識に黄忠から離れた。そして額からは冷や汗を流していた。今まで、動画でしか見たことが無かったが、まさか本当に存在していたとは、それは痴女だった。彼にとっては今季最大のカルチャーショックである。


「はあ・・・・はあ・・・・もっとしてぇ・・・・」

「おい、嫌がれよ」

 関羽は黄忠の様子を見て小さく笑った。

(劉備、彼女は生粋のマゾだ。その上、露出趣味があるから、張飛のように恥ずかしがって、必要以上に服を守ったりしない。彼女は強いぞ)


「自分から離れるなんて、お馬鹿さんね」

「クソが、俺は女の羞恥に歪む顔が見たいんだ。嫌がらない女なんて触りたくもないぜ」

「あら、酷いわね」

 黄忠は再び矢を劉備に向けて放った。

「当たるか」


 劉備はそれを右に跳んで避けようとした。

「うふふ」

 黄忠の口元が怪しく歪んでいる。何と真っ直ぐ放たれたはずの矢は、風に揺られて方向転換した。つまり、劉備を待ち構えるかのように右に逸れると、彼の右胸に思い切り突き刺さった。

「ぐあああああ」

 劉備は胸を押さえて地面を転げ回る。よほど痛いのだろう。しかし意地でも武器だけは手放さなかった。


「ごめんね~、始めては痛かったかしら。でも大丈夫、二発目からは気持ち良くなるわ」

「ぐおおおお、何の話だああああ」

「うふふ、じゃあ、早急に止めを刺しちゃおうかしらね」

 黄忠は劉備が無抵抗なことを良しとして、先程よりも彼との距離を縮めた。劉備に近付けば、近付くほど、矢の命中率は上がって行く。


「甘いぜ先輩」

 劉備は突然立ち上がると、剣を振り上げた。

「え?」

「演技だよ。演技。三国志演技。なんちゃって」

 劉備はそのまま黄忠を、張飛の時と同じように縦一直線に斬った。

「仏陀斬り」

「ああああん」


 黄忠の体が衝撃で少しだけ浮いた。服のボタンが切れて、彼女の胸元が露わになる。そしてそのまま、地面の上をスライドすると、バタッと仰向けに倒れ、動かなくなった。


「勝者、劉備元徳」

 関羽は赤い旗を上げた。それは劉備の勝利を意味するものであった。

「やったぜえええ」

 劉備は剣を鞘に戻すと、周りの眼も気にせずに一人で喜んでいた。


 その夜、二人の女性が劉備の部屋を訪れた。

「おう、来たか」

 劉備は偉そうにソファーの上に座っていた。

「ご主人様、ただいま戻りましたぁ」

 白い猫耳フードを被った張飛が、顔を真っ赤にしてモジモジとしていた。その隣には、バニーガールの衣装を着た黄忠も立っていた。


「朕は喉が渇いた」

「はい、お飲み物をお持ちしました」

 黄忠は胸元に挟んであるオレンジジュースの缶を開けて、劉備の前に膝立ちの状態で胸を近付けた。

「おおう、ごくろう」

 劉備はそのまま缶を抜こうとすると、何を思ったか、それを黄忠の谷間の奥へと押し込んだ。

「ああん、御主人様。私のティクビに、缶の丸い底の部分が擦れて、気持ち良いです」


「良し」

 何が良しなのか。劉備は指を鳴らすと、張飛を自分の元へと呼んだ。

「はい・・・・」

「俺は偉いか?」

「はい、とても・・・・」

「良いぞ良いぞ」

 勝者とはいつも輝いているものであるが、その下にいる敗者を忘れてはいけない。

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