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全国大会の狼煙、主役は誰だ

 いよいよ全国大会の日が訪れた。張飛はあの日以来、部活には一切顔を見せていない。皆の心が揺れ動く中で、ついにその日を迎えたのだ。


「結局、張飛さんは来ませんでしたね」

 諸葛亮は眉を潜めて言った。関羽はそれには答えず、偃月刀を掲げて、苦楽を共にしてきた部員達の顔を一人ずつ見た。

「今日は全国大会の第一回戦だ。全国に来れただけでも凄いだなんて思うな。私達の目的は優勝すること、それだけだ」

 熱心に演説している関羽を茶化すように劉備が笑った。


「何だ一年生、文句があるのか?」

「いえ、何にもありませんよ。ただ、何も堅くなることないじゃないですか」

「まあ、それもそうだけど」

 選手の登録を済ませて、開会式を待つ劉備達の前に、物々しい雰囲気の洛陽学園武芸部員達が現れた。彼女らは黙していたが、その先頭にいる、部長の呂布は関羽を見るなり、彼女の元にゆっくりと近付いた。


「第一回戦から、貴様の高校と当たるとはな」

「ふん、楽しみにしてる」

「公約通り、関羽、貴様は私が直々にぶちのめしてあげる。今回は精鋭メンバーだからね、以前のような無様なことにはならない」

 呂布は踵を返すと、部員達を引き連れて選手の登録に向かった。

「全く、試合前から暑苦しい」

 関羽は溜息を吐くと、劉備の方を突然じっと見つめた。

「何すか?」

「呂布は私が倒す。だから、お前も負けるな」

「へいへい」


 開会式が始まった。何進理事長の長い話が終わり、ただ立っていることに飽きてきた頃、ようやく、全国大会が幕を開けた。


「先鋒は黄忠だ。任せた」

「うふふ、関羽部長。この試合で張飛よりも私の方がレギュラーに相応しいと証明してあげます」

「それは結構だけど、油断だけはするな」

「油断だなんて、この数週間はずっと我慢の日々だったわ。油断なんて愚問よ」

 黄忠は身の丈ほどもある大弓を力強く握り締めると、今回の戦場である、許昌高校のグラウンドに出て行った。許昌高校の大きさは、成都高校よりも遥かに広く、グラウンドの周辺にもいくつもの装飾が施されていた。驚いたのが、ただの砂地にしか見えなかった成都高校とは違って、ここには、夜でも試合ができるように設置された照明と、四方を取り囲む観戦席があった。言うならばまるで競技場だ。


「高まるわね」

 黄忠は武者震いしていた。そこに、彼女の対戦相手である華雄が槍を担いで現れた。

「あら、あんたは確か、一年生にレギュラーを奪われた黄忠さんじゃない?」

「そういうあなたは、前に部長に吹き飛ばされた華雄さんじゃない。あの時はどうも」

「あたしの対戦相手は張飛だと予想していたが・・・・」

「一年生にレギュラーを取られたから、二年生のレギュラーを奪ったのよ」


 黄忠は皮肉を含んだ笑みを浮かべると、華雄もそれに応えて笑っていた。


「これだから年増は困る。いい加減後輩に譲ったら?」

「悪いけど、生涯現役よ。三年生は負けたら引退なの。二年生には来年があるじゃない」

 二人の会話を遮るように、試合開始の銅鑼が叩かれた。成都高校の銅鑼よりも大きく、重厚な音が辺り一面に響き渡った。

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