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冷徹な微笑

 馬超と于禁の試合が始まろうとしていた頃、関羽と趙雲は病室で横になっている張飛の姿を心配そうに見守っていた。


「華佗先生、張飛は大丈夫でしょうか?」

「大丈夫よぉ。このセクシーダイナマイトの華佗ちゃんが診察しているんですからぁ」

 だからこそ不安だったとは言えない。華佗は白衣を着崩して、黒いシャツを露わにした状態で聴診器を首に掛けていた。男が妄想するセクシーな女医のイメージを地で行く、今年で27歳の独身だ。

「でもぉ、しばらく試合には出れないわぁ。安静にしないとね」

「そうですか」


 関羽は趙雲を連れると、病室を後にした。本当は彼女が目覚めるのを待つべきだろう。しかし、大事な試合に部長が不在というのは、すでに負けている気がしてならない。関羽は敢えて心を鬼にした。


「関羽部長、張飛とは何年の付き合いになるんですか?」

「ああ、幼馴染だよ。物心ついた時から一緒だった。昔、中学の頃だったかな。学校近くの桃園の木の下で、姉妹の契りなんて交わしたこともある。私が姉で、張飛が妹だ。事実、私の方が年上だったしね」

 趙雲は張飛を羨ましく思った。自分も姉妹の契りを誰かと交わしたいと、少し張飛に嫉妬していた。



 一方、馬超と于禁の試合は白熱していた。試合が始まってから、両者ともに一歩も譲らず、ずっと小競り合いをしていた。槍同士が刃鳴散らし、ひたすらにぶつかり合っていた。まだ互いの体は一撃も受けていない。ずっと武器と武器との衝突だけが続いていた。


「せやあああ」

「はああああ」

 凛とした少女の声が空に響き渡る。一瞬の隙から、馬超の槍の柄が于禁の腹を突いた。

「うう」

「隙あり」

 馬超は槍で于禁を殴ると、彼女の胸元がビリビリっと破けて、黒のブラが露わになった。


「はあ・・・・はあ・・・・」

 于禁は一歩後ろに下がると服を手繰り寄せて、ブラを隠した。背後にいる曹操が彼女の後ろ姿を睨み付けていた。


「君、せっかく強いのに隙だらけだよ」

 馬超は槍を回しながら言った。

「そうかしらね・・・・」

「何か焦っているの?」

「無駄口を叩かないで」


 于禁は再び馬超と距離を詰めると、無言の小競り合いを再開した。


「だから、隙だらけだって」

 馬超が于禁の横腹目掛けて槍を振るったその時、于禁の口元が不気味に歪んだ。

「え・・・・?」

 于禁は笑っていた。冷徹な表情のまま笑っていた。

「氷の微笑」

 于禁は小声で言うと、突然、体をその場でグルグルと渦巻き状に回転させた。


「ああ・・・・」

 馬超はベーゴマのように弾かれると、そのまま劉備達のいるフェンスに激突した。

「げほ、げほ・・・・」

 砂を呑み込み咽ていると、于禁は曹操の方を振り返って微笑んだ。これが彼女の底力だった。

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