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凍れる劉備

 劉備は折れて短くなった剣を構えた。斬られた右肩は冷たく、感覚が無くなっていた。

「まだやるのか」

「当たり前だぜ。俺は負けず嫌いでね」

 劉備は夏候惇に向かって斬り掛かった。すると夏候惇は再び刀を思い切り振り上げた。

「無駄だ。氷刹雷」


 再び青い斬撃が劉備の体を斜めに一閃した。劉備の体は宙を舞い、受け身も取れずに倒れた。

「はあ・・・・はあ・・・・」

 全身から冷気を放つ劉備の姿を見て、関羽はフェンスを両手で掴んだまま、何かを考えていた。

「まずい、あのままじゃ。早く温めないと、皮膚に血液が行かなくなって腐ってしまう。この試合は棄権に・・・・」

 関羽が審判の元に向かおうとしたその時、劉備は関羽の方をキリッと睨み付けた。


「待てよ部長。まだ俺は闘えるぜ」

「ダメだ。お前には次がある。こんな地区大会でお前を失うわけにはいかない」

「だから、もう終わらせますから」

「だ、だけど・・・・」

「一分で良いですか?」

「はあ?」


 関羽は劉備の大胆不敵な態度に呆気にとられていた。しかし、彼は本気だ。本当に一分で決着を着けようとしている。


「や、やれるなら」

「よし」

 劉備は折れた刀を投げ捨てると、喧嘩でもするかのように夏候惇に向かって走って行った。

「馬鹿な、舐めるな」

 夏候惇は刀を振り上げると、止めの氷刹雷を放とうとした。


「後顧の憂いはここで絶つ」

「いや、お前の負けだぜ。夏候惇」

 劉備の右手から、緑色の気でできた剣が発現した。何と彼は、気そのものを剣に変化させたのである。

「部長から教わった斬だ」

 瞬間、夏候惇のブラが宙を舞った。彼女とて妙齢の女性である。咄嗟に両手で胸を隠すと、劉備の接近すらも忘れてしまった。


「し、しま・・・・」

「遅い」

 劉備は夏候惇の刀を素早く引っ手繰ると、それで思い切り、彼女の後頭部を殴り付けた。

「がは・・・・」

 夏候惇はそのままうつ伏せに倒れると、そのまま動かなくなった。どうやら劉備の言っていた一分という公約は無事に果たされたらしい。夏候惇はノックアウトし、この瞬間、成都高校は二点リードすることとなった。


「そ、そんな夏候惇先輩が負けるなんて・・・・」

 許昌高校にとって一番の痛手は、先程から合わせての二敗ではない。夏候惇が敗れたという衝撃の結果による士気の低下こそ、曹操が最も恐れていることだった。

「次は許緒よね。早く出なさい」

 曹操は後ろに控えている許緒を指名した。あれだけ夏候惇の敗北で萎えている生徒達をよそに、許緒は一点を向いたまま静かにしていた。

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