表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/57

馬超の因縁

 第一試合は張飛の勝利に終わった。すっかり意気消沈している聖・五米学院とは裏腹に、成都高校の式は大いに上がっていた。始めに出鼻を挫くというのは、勝負の上で非常に重要なことなのだ。


「さてと、次は僕だね」

 馬超はニコッと微笑むと、槍を強く握り締めてグラウンドに出た。対する相手は龐徳という、噂では五米学園の真のナンバー1とも呼ばれている相手である。馬超が緊張したのは言うまでもない。


「久しぶりだね龐徳」

「先輩こそ、元気そうで何よりっす」

 馬超と龐徳は知り合いのようだった。これから闘うというのに、両者の表情には笑みが含まれていた。

「西涼中学の時はお世話になったッす。でも今日は私が勝つっす」

 龐徳は女子にしては大柄で、分厚い牛乳瓶の底のような眼鏡を掛けていた。手には大斧が握られており、並みの相手ならば見ただけで、闘うことを躊躇ってしまうような外見だった。


「悪いけど、僕も勝ちたいんだ。後輩相手だけど本気で行くよ」

「気にしなくて良いっすよ。先輩だから後輩に手を抜かなきゃいけないわけじゃないですし、寧ろ、私は先輩を潰すつもりで今日来ましたっす」

「そうかい、じゃあ遠慮なく」


 試合開始の銅鑼が鳴った。まず動き出したのは龐徳だった。彼女は必殺の大斧を引っ提げて、巨漢からは想像もつかないほどの速さで、一気に馬超の元に迫った。そして大斧を思い切り放った。


「乾坤一擲っす」

「ふふ、相変わらずだね」

 重い武器は威力は高いが、その代わりに速さに難がある。当たれば高い打撃を与えられたとしても、それが一撃も当たらないのでは、素手でやりあった方がマシである。しかし、龐徳はそれを物干し竿のように、悠々と扱うことができた。


 龐徳の大斧が馬超の頭上目掛けて振り下ろされた。その瞬間、馬超の体が風に揺られて消えた。まるで透明人間でもなったかのようであった。


「き、消えた・・・・」

 龐徳は地面に刺さった大斧を持ち上げた。僅かに先程よりも重量を感じる。見ると、大斧の刃の部分に馬超が両足を乗せて立っていた。

「な・・・・」

「やあ、久しぶり」

 馬超は彼女らしい天真爛漫な笑顔で、大斧の刃から飛び降りた。そして槍を構えると、今度はこちらからとばかりに、龐徳に突き掛かった。


「ちょっと痛くするよ。幻影陣」

 にわかに信じがたいことだが、馬超の体がその場で3体に増えた。そして一斉に槍を構えると、龐徳の腹部に向けて連続突きを繰り出した。

「うわああああ」

 龐徳は悲鳴を上げながら、背後に吹き飛ぶと、そのまま仰向けに倒れた。3体の馬超は1つに重なり元に戻った。


「げほ、げほ・・・・」

 龐徳は仰向けのまま愕然としていた。馬超の強さがここまでとは予想外だったからだ。しかし、彼女とてレギュラーである。この程度で挫ける人間ではない。すぐに立ち上がると、再び大斧を構え直した。その時、ふと、彼女の視線に部長の張魯と視線を合わせた。彼女はベンチに座ったまま、手で何かを合図している。


 龐徳は小さく頷くと、意を決したように馬超の顔をじっと見つめた。


「ん?」

 馬超の顔から笑みが消えた。龐徳の様子が変わったからだ。今の彼女からは悲壮感にも似たものを感じる。

「先輩、先輩さえいなければ、私は西涼中学のトップにもなれたし、成都高校を避けて、聖・五米学院に入ることも無かったんすけどね」

「何を言って・・・・」

「目障りなんすよ。その勝負を心から楽しんでますって態度が。そんな先輩には私の技を喰らって頂くっす」

 龐徳の両目が妖しく光っていた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ