張飛爆発
地区大会二日目。1回戦を勝ち抜いた劉備達の前に次の対戦相手が姿を現した。
「何だよ、あいつら」
「聖・五米学院だ」
成都高校の次の対戦相手は、聖・五米学院である。生徒達は怪しげな白いローブで顔や姿を隠しており、無機質で不気味な雰囲気を醸し出していた。
「何か部員数多くないですか?」
「あの学校は試合のたびに、部活関係無く、全生徒を集めるからな。ちょっとしたアウェイさ」
「ふうん 」
劉備は興味無さそうにしていると、横から張飛が劉備の脛を蛇矛で蹴った。
「いでえええ、な、何しやがる」
「びびってんじゃねぇ。周りの士気が下がるだろうがあ、何が怖いんだ。あたしはちっとも平気だもんね」
強がる張飛。思えば第一試合は張飛が先鋒で出るのであるから、苛立つのは普通だが。
「というか部長。強いんですか、相手は?」
「相手方の部長は張魯という。特に噂は聞かないな。秘密主義な学校だから仕方ないか」
いよいよ第一試合が始まった。成都高校からは張飛が、聖・五米学院からは楊松が参戦した。
「さあ、両者向かい合って」
審判が銅鑼を叩こうと構えた。
「ふん、確か張飛とか言ったな」
「何だよ。あたしが張飛じゃ悪いのか?」
「いや、別に。ただ随分と小さいのね。私が長身過ぎるのかしら」
楊松は知らない。背の低さは張飛のコンプレックスであり、彼女の琴線であることに。
「テメー、潰す」
試合開始の銅鑼が叩かれた。同時に聖・五米学院の生徒達が全員で、膝を折り、何かをブツブツと唱え始めた。
「な、何だ?」
劉備や関羽達も戸惑っていた。二人の動揺はそのまま周りに伝染する。先程まで勇み足だった張飛も、すっかり戦意を失い、周りを見回していた。気付くと、辺り一帯が青い霧に包まれている。
「な、何だよこれ?」
「あははは、ビビってんのかい」
楊松は矛を振り回すと、それを張飛の鼻先に突き付けた。
「ほら、隙だらけ」
「ちっ」
張飛は矛をはね除けると、必殺の蛇矛で楊松の体を凪ぎ払った。
「ごふ」
楊松の体が大きく宙を舞い、地面に落下した。
「何だよ。見かけ倒し」
張飛が蛇矛を仕舞おうとすると、楊松はすぐに起き上がって、ニコッと微笑んだ。
「いま、何かした?」
「え、嘘でしょ?」
今のは一撃必殺ののはずだった。少なくとも、張飛のパワーをまともに受けて、あんなに早く立ち上がるなど考えられない。




