因縁の二人
美少女は突き飛ばされても、堂々としていた。その代わりに、彼女を取り囲む他の生徒らの方が、関羽許すまじと殺気立っていた。
「部長、彼女らは?」
劉備は関羽の制服の裾を引っ張って聞いた。
「アイツは許昌高校の武芸部部長の、曹操孟徳だ。真正のレズビアンで、部活の生徒を何人も喰っている」
関羽の説明が不本意なのか、曹操は少しだけ不愉快そうにしていた。
「ところで関羽。今回の地区大会、あたし達は決勝戦で当たるわよね。楽しみだわ」
「負けるのがか?」
「貴様、言わしておけば」
曹操の隣でそれを聞いていた一人の生徒が、関羽に掴み掛かった。
「止めなさい夏候惇」
「でも」
「止めなさい」
曹操の一言で、夏候惇は引き下がった。すると今度は、彼女と入れ替わりで別の女子生徒が、曹操の前に出た。
「部長、趙雲と話させてください」
「ああ、夏候恩。確かにあんたには因縁があったわね。彼女と」
曹操は趙雲を見て、ニヤリと口元を歪めると、夏候恩を前にやり、自身は後ろに下がった。
「久しぶりね趙雲」
夏候恩は、黒髪を肩まで伸ばしたセミロングで、瞳は大きく、人形のような容姿をしていた。
「随分と変わったね、夏候恩さん」
趙雲は鼻で笑うと、昔を思い出すように言った。
「昔は、日焼けして肌も褐色だったし、髪だって金髪で、おまけにヘソにはピアスしてなかった?」
「あはは、それは前の話よ」
夏候恩は趙雲の腰に履いている剣を見ると、突然人が変わったように、眼を充血させた。
「見て、この傷」
夏候恩は突然服を脱ぎ、背中を趙雲に見せた。白い肌の中心部に、ひび割れた傷が刻まれていた。
「あなたにやられた傷よね。でも、おかげで私は強くなった」
夏候恩は全身から青いオーラを放った。
「それは気の力」
「ええ、気の使い手であった、あなたに付けられた傷が元で、私も気を体得したの。あったでしょ、気を使えるようにするには、気を持った人物と闘うのが手っ取り早いって、そんな法則が」
劉備はすっかり茅の外にいたが、夏候恩の様子を見る限り、彼女は趙雲に対して、並々ならぬ憎しみを抱いていることが分かった。
曹操は夏候恩の肩を叩くと、彼女を後ろに下げて、関羽の方を見た。
「最後に、許昌高校の今回のレギュラーは皆、気をマスターしているわ。精々楽しみにすることね 。自分達の敗北を」
曹操はそのまま、生徒達を引き連れて草むらの中に消えて行った。




