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関羽と劉備

 地区大会の第二回戦に向けて、今日も成都高校武芸部の面々は、部長の関羽とともに武芸に励んでいた。


「今日からはそれぞれの特性を生かした。個人ごとのスペシャルメニューをこなしてもらう。レギュラー選手はメニューの紙を渡すから取りに来い。その他のメンバーについては柔軟で体を解しておくように」

 諸葛亮によって作成されたスペシャルメニューの内容は、本当に生徒ごとに異なっていた。特に目を引くのが、劉備と趙雲の練習内容である。他の生徒達がグラウンドを使用するのに対して、劉備と趙雲は関羽に呼ばれて、裏山の森の中に連れて行かれた。


「ちょっと、部長どこまで行くんすか?」

 劉備は不満そうな顔で枝を足で蹴った。隣で歩いている趙雲は静かに関羽の後に付いている。

「あの、趙雲先輩?」

「何だい?」

 黒髪を後ろで一本に結んだ大和撫子、趙雲が優しく劉備の方を見て微笑んだ。彼女は成都高校武芸部唯一の良心と呼ばれている。曲者ぞろいの武芸部メンバー唯一の常識人として、後輩からも非常に慕われているのだ。


「その剣何すか?」

 劉備は趙雲の腰に履かれている、金色の装飾の綺麗な剣を指した。

「これはね・・・・」

 趙雲は剣を鞘から出すと、鮮やかな紅色の刃が劉備の前に姿を現した。

「青紅の剣。私が一年生の頃に、ある他校の生徒と自分の武器を賭けて試合をしたんだ。その時に手に入れたんだ」

「てことは、先輩が勝ったんですね」

「ああ、まあね。運が良かった」


 趙雲の謙遜に前を歩く関羽が笑った。

「何が運が良かっただ。圧勝だったじゃないか。確か相手は・・・・」

「許昌の夏候恩です」

「ああ、そうだった。確か彼女も今回はレギュラーとして参戦するらしいぞ。ひょっとして当たったりして」

「その時は、もう一度倒します」

 趙雲の顔付きが真剣なものに変わっていた。


「許昌って何です?」

「許昌は。正しくは許昌高校といって、先日に闘った冀州大付属や江東高校と並ぶ、武芸部の名門校よ。確か洛陽にこの前に勝利していたはずだ。部長の曹操孟徳率いる徹底的な実力主義校で、彼女のカリスマ性もあるみたいだけど、様々な地方から有力な選手をヘッドハンティングしているの。そのおかげで、あそこは人材の宝庫、全国から強い選手だけが集まるから当然だがな」


 関羽は足元の枝を踏み潰すと、劉備の方を振り向いた。


「私も曹操に許昌への転入を勧められたことがある。もちろん断ったけどね」

「へ、へえ・・・・」

「部長は、我が校の部長ですからね。もし行っちゃったらどうしようかと思いました」

「大丈夫だ趙雲。私は曹操と協力するつもりは無い。許昌は徹底的な実力主義によって、生徒達を階級別に分けている。負けた生徒はすぐにレギュラーから外され、代わりに新しい生徒が入るから、常にメンバーが安定しない。それゆえに、私達からすれば対策が取り難い」


 関羽は突然立ち止まると、劉備と趙雲を自分と向かい合わせに立たせた。

「さあ、ここで「気」の練習を始めるぞ。他の生徒には内緒だ。気を完璧にしなければ、地区は優勝できても、全国では通用しないからな。これは私自身の修業でもある」

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