俺氏、転生するの巻
どこから見ても、モブ顔の青年は、ある日交通事故によってこの世を去った。彼の死を悲しんでくれるのは親と少しばかりの友人だけ。実に呆気ない人生の幕切れだった。
「んん・・・・」
「・・・・きろ」
「ん?」
「起きろ」
突然額を硬い物で小突かれて、青年は眼を覚ました。目の前には漆黒の長い髪の毛をした少女が立っていた。手には長い槍のような形状の武器を携えて、眼は切れ長で、胸と尻の膨らみに対して、腰はキュッと引き締まっている。スッと鼻筋の通った美人だった。
「はへ・・・・?」
青年は生前、男子高校生であったが、自身の通う公立高校にこんなレベルの美女はいなかった。だからこそ、大変に驚いた。
「貴様、ここが何処だか分かっているのか?」
「分かりません」
青年は即答すると、その少女から手を借りて、何とか起き上がった。少女の手は暖かくて細かった。こんな美女と会話できる自分はきっと特別な存在なのだろうと、青年は考えていた。
「あのう、あなたは誰ですか?」
「私は、成都高校3年の関羽雲長だ。武芸部部長をしている。お前は誰だ?」
「俺、あれ、俺誰だっけ?」
「呆れた奴だ」
関羽は溜息を吐いて言った。しかし、すぐに何かに気付いた様子で、青年の顔をじっと見つめた。
「ま、まさか、お前、新入生の劉備元徳か?」
「え、ああ。そうすよ」
適当だった。しかし、名乗るべき名前が無い彼にとって、仮初でも名前が与えられたのはラッキーなのかも知れない。
「そうかそうか、済まなかったな。じゃあ、早速だが、部室にいる皆に挨拶しに行こう」
関羽に手を引かれ、劉備は森の中を駆け足で抜けて行った。
数分後・・・・。
関羽によって、武芸部の生徒達が校庭に集められた。劉備以外全員が女性だった。それも全員が美少女で、劉備は、かつて自分が通っていた高校の女性と交換して欲しいと、不謹慎にも考えていた。
「さてと、彼が噂の劉備元徳君だ。まだ一年生ながら、武芸のトップクラスの実力を持ち、前にいた学校でも高い評価を受けていたらしい。早速だが、もうすぐ、地区大会が始まるな。早速、彼には我が部の先鋒として活躍してもらおうじゃないか」
関羽は嬉しそうに言った。すると、生徒達の中から一人、手を上げる人物がいた。それは小柄で、一見、小学生にも見える体格をした少女だった。手には自分の体と同じぐらいか、それよりも大きな槍を持っており、髪はツインテールで、眉毛も眼もキリッと鋭く、どこかツンとした挑戦的な顔の美少女だった。
「何だ張飛」
「いくら強いからって、レギュラーになれなくて悔しい思いをしている生徒達だっているのに、いきなりそんなことして良いんですか?」
「張飛、うちはな、知っていると思うが、去年もその前も、地区大会予選で負けている。今回こそは全国に行きたいんだ」
「でも・・・・」
「そんなに言うならば仕方ないな。おい、劉備君。ちょっとあいつを懲らしめてやれ」
黙って聞いていた劉備の顔が歪んだ。皆の視線が劉備に集中している。どうやら異論は認められそうにない。
「ちょっと待って下さい。何で勝負するんですか?」
「何って、それは武芸に決まっているだろう」
「武芸?」
「ああ、互いに武器を持って一対一で闘う。武器はレプリカだが、当たればそれなりに痛い」
「へえ・・・・」
「何だ。知っているくせにいちいち聞くな」
関羽は更衣室の中に入ると、そこから剣を一つ持って来ると、それを劉備に投げ渡した。
「ちょ、危ねえ」
劉備はそれを避けると、すぐに足元に落ちた剣を拾い上げた。本能による行動である。
「ルールを教えてくれよ」
「知っているだろ。だが、まあ、他の生徒達もいるし、改めて確認しておくか」
関羽は部員達の前に立つと、早速武芸のルールについて説明し始めた。
武芸とは、この世界で最も普及しているスポーツである。互いに一対一で予め用意した武器のみで闘う。3ラウンド制で、1ラウンド3分。相手が降参するか気絶するか。はたまた、相手の衣服を破壊して全裸にする。俗に言う脱衣KOを決めれば勝ち。時間内に決着が着かなかった場合はサドンデスに、それでも時間が掛かる場合は、怪我の具合で勝敗を決める、判定による決着となる。
「脱衣だと・・・・?」
「ああ、脱衣による勝利は難しいがな。決めれば最高の屈辱を相手に与えることができる。そして、部毛にはもう一つの規則がある」
「規則?」
「ああ、それは敗者は勝者に絶対服従ということだ」
「絶対服従」
「お、やる気が出て来たな?」
劉備の瞳に真っ赤に燃える炎が現れた。合法的に皆の前で美少女を全裸にし、その上で、少女に対して様々な辱めを敢行することができる。まさに男のロマンである。
「やってやらあああ」
劉備は叫ぶと、剣をブンブンと振り、それで空を斬っていた。対する張飛もやる気満々である。もちろんそれは、生意気な一年生に恥を掻かせてやりたいという気持ちから来るものだったが、劉備のそれは、純粋な性的な欲求から来ていた。